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えびらぼ

カルシウムは骨折の予防に効果なし?

カルシウム(炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、カルシウム+ビタミンD)論文6本で格付け2026-10-04 更新

結論

50歳以上の人が骨折を防ぐ目的で飲んでも、効果はほとんどありません。

  • ビタミンDと一緒でも、骨折が減るのは100人に約1人ほど
  • 骨粗しょう症の治療中の人には当てはまらない
  • ビタミンDと一緒に飲んで、腎結石が増えた試験もある

効くと言われていること

論文では

S〜D の決め方は格付けの決め方

飲む前に:公的機関の注意があります

飲む前に知っておくこと

甲状腺ホルモンの薬、キノロン系の抗菌薬、一部のHIVの薬、リチウムを飲んでいる人は、飲む前に医師・薬剤師に相談してください。厚生労働省の情報サイト(eJIM)によると、カルシウムは甲状腺ホルモンの薬・キノロン系の抗菌薬・一部のHIVの薬の吸収を妨げ、リチウムと一緒だと血液中のカルシウムが多くなりすぎる危険が上がるおそれがあります。米国の上限量は大人で1日2000〜2500mgで、サプリの多量摂取と腎結石との関連を根拠にしています(出典: ejim.mhlw.go.jp)。ビタミンDと一緒に飲んだ試験では、腎結石が増えました(出典: doi.org)。

よくある質問

やめてもいい?

骨折の予防を目的に飲んでいる場合は、続けることを支持するはっきりした結果はありません(格付けはD)。

ただし、医師に勧められて飲んでいる人、薬を飲んでいる人、検査で不足を指摘された人は、自分の判断でやめずに、医師か薬剤師に相談してください。続ける場合は、このページの「飲む前に知っておくこと」(公的機関の注意情報)を先に読んでください。

飲んで効いた気がするのはなぜ?

成分を含まないもの(プラセボ)を飲んだ人でも、体調が良くなったと感じることはよくあります。飲んでいるという安心感や期待で、感じ方が変わるためです。体調にはもともと波があるので、つらい時期に飲み始めると、自然に戻った分まで効いたように感じることもあります。えびらぼでは、こうした分を差し引けるように、成分を含まないものと比べた試験の結果を重視して格付けしています。

形や量が違えば効く?

格付けは、試験で使われた形と量での結果です。

  • 骨折の予防:カルシウム1日500〜1200mg程度(単独またはビタミンD併用)を数年

これと違う形や量で効くかどうかは、その形や量で試した試験が無いと分かりません。吸収が良いことと、体に効果が出ることは別で、試験で確かめる必要があります。

効いたという論文もあるのでは?

1件の試験では、偶然や試験のやり方の偏りで、良い結果が出ることがあります。このページでは6件の論文を読み、そのうち4件は複数の試験をまとめた研究です。格付けは、試験どうしで結果が一致するかと、試験の質で決めています(格付けの決め方)。効いたという試験があっても、ほかの試験と合わせると、はっきりした差が出ないことがあります。

効果ごとの論文の中身

D

骨折を防ぐ?

Dランク・効かないという根拠対象:50歳以上の成人(大半は地域で暮らす人、閉経後の女性を含む)

カルシウムをビタミンDと一緒に飲んでも、骨折は100人に約1人減る程度で、意味のある差の目安に届かないことが確かめられています。カルシウムだけの場合も、骨折はほとんど防げないことが示されています。

注意点

  • 骨粗しょう症の治療中の人:骨粗しょう症の薬の治療ではカルシウムやビタミンDを併用するのが一般的で、この結果は当てはまりません[1]。
  • 介護施設の高齢女性:介護施設で暮らし、ビタミンDとカルシウムが不足した虚弱な高齢女性の1試験では骨折が減りましたが、高リスクの人の根拠は限られています[1][3]。
  • 股関節骨折:ビタミンDと一緒に飲むと股関節骨折がわずかに減るとした解析もあります(コクラン・レビュー(国際的な非営利団体コクランが決まった手順で作るまとめ)[6]、Yao 2019)。
  • 食事のカルシウム:食事からのカルシウム摂取量と骨折に関連はみられていません[3]。
  • 米国の勧告:利益なしとされたのは、骨折歴や骨粗しょう症などがない地域在住の閉経後女性がビタミンD 400IU以下・カルシウム1000mg以下を毎日飲む場合で、それより多い量や男性は根拠不十分とされています[5]。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本・ほかの成分と運動

効果の大きさ

プラセボ(成分の入っていないもの)や補給なしと比べて、カルシウムだけの試験をまとめると[1]、全骨折のリスク比は0.91でした(95%信頼区間(結果のぶれの幅)0.81〜1.01、確実性は中)。ビタミンDと一緒に飲んでも、骨折は100人あたり約1人減る程度でした(解析全体の追跡期間の中央値は約2年)。

試験の内容
カルシウム1日500〜1200mg程度(単独またはビタミンD併用)を数年
確実性(中心にした解析の著者による評価)
中程度
根拠にした論文
メタ分析 3本・ランダム化比較試験 1本・診療ガイドライン 1本・コクラン・レビュー 1本

格付けの理由

69試験・15万人超の解析[1]で、カルシウム単独でもビタミンD併用でも、骨折予防の効果はほとんどないとされました。効果は臨床的な閾値未満で、確実性は中〜高とされます。地域の高齢者の解析[2]と偏りの少ない試験に限った解析[3]も同じ結果でした。ビタミンD併用の3.6万人のWHI試験[4]の主解析でも骨折は有意に減らず、米国予防医療専門委員会(2018)[5]も骨折歴などのない地域在住の閉経後女性の少量の補給に骨折予防の利益なしとするため、D(効かないという根拠)としました。

根拠にした論文

  1. 1.

    メタ分析・Massé(2026年)・BMJ・69研究・153,902人

    69件のRCT(153,902人、大半は地域在住)の系統的レビュー。全骨折への効果は、カルシウム単独(11試験・9067人、リスク比0.91、確実性は中)もビタミンD併用(リスク比0.91、確実性は高)もほとんどない。併用の減少幅は骨折約1%で、事前に決めた臨床的に重要な差に届かなかった(本文)。

    Calcium, vitamin D, or combined supplementation to prevent fractures and falls: systematic review and meta-analysis. doi:10.1136/bmj-2025-088050

  2. 2.

    メタ分析・Zhao(2017年)・JAMA・33研究・51,145人

    地域で暮らす50歳超の成人の33件のRCT(51,145人)のメタ分析。カルシウム(リスク比1.53、95%CI 0.97〜2.42)、カルシウム+ビタミンD(1.09)とも股関節骨折のリスク低下と関連せず、他の部位の骨折とも関連がなかった。

    Association Between Calcium or Vitamin D Supplementation and Fracture Incidence in Community-Dwelling Older Adults: A Systematic Review and Meta-analysis. doi:10.1001/jama.2017.19344

  3. 3.

    メタ分析・Bolland(2015年)・BMJ・26研究

    26件のRCTでカルシウムのサプリは全骨折をやや減らした(リスク比0.89)が、股関節・前腕の骨折は減らさず、出版バイアスが示唆された。偏りの最も少ない4試験(44,505人)ではどの部位にも有意な効果がなかった。食事のカルシウムと骨折にも関連なし。

    Calcium intake and risk of fracture: systematic review. doi:10.1136/bmj.h4580

  4. 4.

    ランダム化比較試験・Jackson(2006年)・New England Journal of Medicine・36,282人

    閉経後の50〜79歳の女性36,282人を7年追跡したWHI試験。炭酸カルシウム1000mg+ビタミンD3 400IU/日で股関節の骨密度はわずかに上がったが、股関節骨折(ハザード比0.88)・全骨折は有意に減らず、腎結石が増えた(1.17)。

    Calcium plus vitamin D supplementation and the risk of fractures. doi:10.1056/nejmoa055218

  5. 5.

    診療ガイドライン・米国予防医療専門委員会(2018年)・JAMA

    米国予防医療専門委員会の勧告。地域で暮らす閉経後の女性では、ビタミンD 400IU以下・カルシウム1000mg以下の毎日の補給に骨折予防の利益がないという十分な根拠があり、行わないよう勧告(D)。それより多い量や男性などは根拠不十分。併用で腎結石が増える。

    Vitamin D, Calcium, or Combined Supplementation for the Primary Prevention of Fractures in Community-Dwelling Adults: US Preventive Services Task Force Recommendation Statement. doi:10.1001/jama.2018.3185

  6. 6.

    コクラン・レビュー・Avenell(2014年)・Cochrane Database of Systematic Reviews・53研究・91,791人

    53試験(91,791人)のコクランレビュー。ビタミンD+カルシウムで股関節骨折がわずかに減少(リスク比0.84、質は高)。地域在住者では年1000人あたり1人、施設入所者では9人の減少に相当。ビタミンD単独は有意な効果なし。胃腸症状と腎疾患がわずかに増えた。

    Vitamin D and vitamin D analogues for preventing fractures in post-menopausal women and older men. doi:10.1002/14651858.cd000227.pub4

このページについて

サプリの広告や販売リンクは載せていません。専門家の監修は受けていません。格付けは格付けの決め方に沿って、論文の結果から決めています。最終更新日は2026-10-04です。誤りに気づいたら誤りを知らせるから送ってください。

このページの言葉
プラセボ
見た目は同じで、調べている成分を含まないもの。「飲んだ」という思い込みや、自然に良くなる分を差し引くために、比べる相手として使います。
ランダム化比較試験(RCT)
参加者を、くじ引きのような偶然でグループに分けて、たとえば成分を飲むグループとプラセボを飲むグループの結果を比べる試験。分け方の偏りが結果に混ざりにくい方法です。
メタ分析・統合
同じテーマの試験の結果を集めて、まとめて計算し直した研究。1つの試験より、偶然に左右されにくくなります。
系統的レビュー
決めた手順で、関係する研究をもれなく集めて評価した研究。メタ分析を含むことが多いです。
コクラン・レビュー
国際的な非営利の団体コクランが、決まった手順で作る系統的レビュー。利害関係のある企業からの資金は受けない決まりで作られます。
確実性
結果がどのくらい確かかについて、解析した研究者が付けた評価(高・中・低・非常に低)。低いほど、今後の研究で結果が変わる可能性が高いことを表します。
有意差
偶然だけでは説明しにくい差があること。差が大きいという意味ではありません。
95%信頼区間(95%CI)
結果の数字のぶれの幅。本当の値がおそらく入っている範囲の目安です。差の範囲が 0(比の場合は 1)をまたぐときは、差がない可能性を否定できません。
リスク比(相対リスク)・率比
起きた人の割合を2つのグループで比べた比。率比は、観察した人数と期間をそろえた起きる頻度(たとえば100人が1年あたりに起こす回数)の比。どちらも 1 なら差がなく、0.8 なら2割少ないことを表します。
eJIM
厚生労働省の「『統合医療』に係る情報発信等推進事業」のサイト。サプリなどについて、海外の公的機関の情報を翻訳して載せています。

運動の効果も同じ基準で格付けしています

運動は19項目中4項目がSでした

掲載した項目の内訳Sの割合
サプリ119項目
3%
運動19項目
21%

S(根拠が強い)は、サプリが119項目中4項目、運動が19項目中4項目でした。運動のSは筋力・筋量(筋トレ)、血圧、血糖値、転倒の予防です。サプリと運動では調べた効果や対象者が違うため、同じ目的で直接比べた結果ではありません。

運動のTier表を見る

ほかの成分の格付け(Tier表)