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サプリと同じ基準で格付け / 19項目
運動の効果を論文で格付けしました
筋トレ・ウォーキング・ヨガなどの効果19項目を、サプリのTier表と同じ基準(試験をまとめた論文など)で調べました。
結論
筋トレで筋力がつき、運動で血圧が下がります。
- 地域で暮らす高齢者は、バランスや動作の運動を含むと転倒が約2割減る
- 2型糖尿病では、指導つきの運動でHbA1cが0.4〜0.7ポイントほど下がる
- 過体重・肥満の人は、有酸素運動で数kg減る程度
- サプリ119項目
- ABCD
- 3%
- 運動19項目
- SAB
- 21%
S(根拠が強い)は、サプリが119項目中4項目、運動が19項目中4項目でした。運動のSは筋力・筋量(筋トレ)、血圧、血糖値、転倒の予防です。サプリと運動では調べた効果や対象者が違うため、同じ目的で直接比べた結果ではありません。
運動のTier表
Sランク:根拠が強い、4項目
Aランク:根拠あり、9項目
Bランク:根拠は限定的、6項目
運動の始め方
持病や、運動で悪くなるおそれのある痛みがある人は、始める前に医師などに相談し、軽い運動から少しずつ増やしてください。インスリンなどで治療中の人は低血糖に、血液をサラサラにする薬を使う人は転倒や打撲に気をつけてください。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」の注意です(出典: mhlw.go.jp)。
運動の試験で報告された有害事象
転倒予防の試験(Sherrington 2019)では、不調の多くは筋肉痛などの軽いものでした。一方で、筋肉や関節の不調は、結腸がん治療後の患者の試験(Courneya 2025)で運動をした人の18.5%、比べた相手の11.5%に起き、腰痛へのヨガの研究(Wieland 2022)でも、ヨガをした人で増えていました。
自分で始める
お金をかけずに始めるなら、歩くことと、自宅での筋トレ・バランス運動が研究されています。歩数計を使った取り組みでは、増えた歩数が1〜2年で小さくなりました。ウォーキングの研究の多くは指導つきで、一人で同じ効果が出るとは限りません。
研究で分かっていること
- ふだんの歩数を測り、その後の死亡を追った15の研究をまとめると、1日の歩数が多い人ほど死亡のリスクが低くなっていました。60歳以上では1日6000〜8000歩、60歳未満では8000〜1万歩あたりから先は、歩数が増えても死亡のリスクはほとんど下がりませんでした。歩数と死亡の関係をみた研究で、歩いたことで死亡が減ったかどうかは確かめられていません。[1]
- 試験をまとめた研究では、高齢者が自宅で行う筋トレ・運動でも、筋力やバランスが少し改善しました。1回の時間で分けると、効果がみられたのは1回30分以下の区分だけでしたが、時間の区分どうしには、はっきりした差は出ませんでした。指導つきの方が効果はやや大きいという研究もあります。[1][2][3]
- 歩数計を使って歩数を増やす取り組みの試験をまとめると、始めてから4か月以内の時点で、1日の歩数が平均約1100歩増えました。この差は1年後には約460歩に小さくなり、2年後にははっきりした差がなく、3〜4年後には約430歩の差がありました。スマホアプリや活動量計は、単純な歩数計より効果が小さいという結果でした。[1]
- ウォーキングだけの試験をまとめた研究でも、上の血圧が平均約4mmHg下がっています。ただ、その試験の多くは指導つきでした。[1]
一人で続けにくい人向けのサービスPR
格付けしたのは運動そのものの効果で、ここに載せたサービスの成果ではありません。
自宅でオンライン
SOELU(ソエル)
スマートフォンやパソコンで、インストラクターのオンラインレッスンを自宅で受けるフィットネスサービスです。
- 始め方
- 12ヶ月コースの最初の1ヶ月が100円(期間中に解約しないと、そのまま有料のコースが続きます)
- 初期費用
- 入会金の記載なし
- 料金
- 月3,278円〜(ライト・12ヶ月コース。12ヶ月未満でやめると違約金)。1ヶ月コースは月4,378円
通う・マンツーマン
RIZAP
完全個室で、トレーナーがマンツーマンで指導するプライベートジムです。
- 始め方
- 無料カウンセリング(入会しなくてよい)
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- 入会金55,000円
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- 2ヶ月16回327,800円〜(BASIC)
通う・女性専用
ボディーズ(Bodies)
女性専用のフィットネスジムです。マシンを使ったサーキットトレーニング(1回30分)が中心で、店舗は首都圏・関西・福岡にあります。
- 始め方
- 7日間無料体験
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- 入会金6,600円・事務手数料3,300円
- 料金
- 月5,970円〜(サーキットか温浴のどちらか)
通う・女性専用
FURDI(ファディー)
女性専用のパーソナルジムです。トレーナーの指導つきで、AI を載せたマシンを使うトレーニング(1回30分)が中心です。
- 始め方
- 無料体験(約60分)
- 初期費用
- 事務手数料5,500円・カード発行手数料3,300円(入会金なし)
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- 月7,678円〜(1年契約が前提のプラン。店舗で違う)
料金は税込みで、2026年10月4日に各社の公式サイトで確かめたものです。
悩みごとにサプリと運動を並べたページ
運動の種類ごとの効果
運動の種類どうしを比べた研究などから、種類ごとに分かっていることを並べました。記号は運動全体での効果ごとの格付けで、運動の種類ごとの格付けではありません。血圧の数字は、運動しない場合と比べた安静時の血圧の平均の差です。有酸素運動の解析では、下がり方は高血圧の人で大きく、血圧が正常な人ではごくわずかでした。
筋トレ
器具や自分の体重を使って、筋肉に負荷をかける運動
筋力と筋肉量が増える。血圧が高めの人では血圧も下がり、2型糖尿病の人では血糖値(HbA1c)も下がった
運動全体での格付け
研究の結果を見る(7件)
筋力・筋量
健康な成人を対象にした研究で、調べた筋トレのやり方はいずれも、しない場合より筋力と筋肉の太さが増えました。筋力が最も伸びたのは重めの負荷・複数セット・週3回で、筋肉の太さの増え方はやり方による差が小さいという結果です。この解析は、指導者のいない自宅での筋トレを含めていません。2023年・ネットワークメタ分析
血圧
運動しない場合と比べ、安静時の血圧が平均で上4.55mmHg、下3.04mmHg下がりました(血圧の水準を分けない成人全体)。筋トレだけを血圧の水準ごとに調べた研究では、血圧が高めの人で下がり、血圧が正常な人では、はっきりしません。2023年・ネットワークメタ分析
血糖値
2型糖尿病の人(12週以上の運動。研究の多くは指導つき)で、HbA1cが0.40ポイント下がりました。下がり幅の推定値は、有酸素運動(0.58)や高強度インターバル(0.61)より小さめでした。2025年・ネットワークメタ分析
うつ症状
うつ病の人で、症状が中程度に改善しました(効果量-0.49。確実性は非常に低い)。2024年・ネットワークメタ分析
慢性腰痛
18〜65歳の、原因のはっきりしない慢性腰痛で、生活動作の改善がこの解析の上位でした(ピラティス・体幹の運動と並ぶ)。2022年・ネットワークメタ分析
LDLコレステロール
148件の試験の解析では、筋トレだけでは、LDLコレステロール・中性脂肪・総コレステロールにはっきりした差は出ませんでした。HDLコレステロールは上がりましたが、質の高い試験に絞ると、はっきりした差は出ませんでした。2025年・メタ分析
LDLコレステロール
筋トレの29件の試験をまとめた別の解析では、LDLコレステロールが6.1mg/dL、中性脂肪が8.1mg/dL下がりました。HDLコレステロールには、はっきりした差は出ませんでした。2009年・メタ分析
ウォーキング・ジョギング
歩く・走るなどの有酸素運動
血圧と体重が下がる。2型糖尿病の人の血糖値と、うつ病の人の症状も改善した
運動全体での格付け
研究の結果を見る(7件)
血圧
有酸素運動全体で、運動しない場合と比べ、安静時の血圧が平均で上4.49mmHg、下2.53mmHg下がりました。2023年・ネットワークメタ分析
血圧
高血圧の人では、有酸素運動を週30分増やすごとに上の血圧が1.78mmHg下がり、週150分で最も下がりました(上の血圧で7.23mmHg。確実性は低い)。2024年・メタ分析
血圧・体重など
運動習慣のない成人がウォーキングだけをして、運動しない場合と比べ、体重が1.37kg、体脂肪率が1.22ポイント、腹囲が1.51cm減りました。2015年・メタ分析
血糖値
2型糖尿病の人(12週以上の運動。研究の多くは指導つき)で、有酸素運動全体でHbA1cが0.58ポイント下がりました。ウォーキングやジョギングだけの推定値ではありません。2025年・ネットワークメタ分析
中性脂肪
日本の試験が多い、健康な東アジアの成人(平均40歳以上の試験)の有酸素運動で、中性脂肪が13.7mg/dL下がり、HDLコレステロールが2.2mg/dL上がりました。LDLコレステロールは4.3mg/dL低かったものの、有意差はありませんでした。ウォーキングやジョギングだけの推定値ではありません。2019年・メタ分析
うつ症状
うつ病の人で、ウォーキング・ジョギングにより症状が中程度に改善しました(効果量-0.62)。確実性は低く、ほかの運動では非常に低いと評価されました。2024年・ネットワークメタ分析
睡眠の質
不眠症の人で、不眠の重症度が下がりました(確実性は低い)。2026年・ネットワークメタ分析
ヨガ
ポーズ・呼吸法・瞑想を組み合わせた運動
ストレスの強い人で、ストレスが短期的に軽くなった。不眠症の人の睡眠時間が増えた可能性がある
慢性腰痛には、改善が小さく、腰痛の悪化などの有害事象が増えたという結果もあります。
運動全体での格付け
研究の結果を見る(4件)
ストレス・不安
ストレスの強い成人で、何もしない場合と比べ、短期的にストレスが軽くなりました(確実性は低い)。約4か月後は、ほかの活動をした人の方がよい結果でした。2024年・メタ分析
睡眠の質
不眠症の人で、睡眠日誌に記録した総睡眠時間が増えた可能性が高いという結果でした(確実性は中)。2026年・ネットワークメタ分析
うつ症状
うつ病の人で、症状が中程度に改善しました(効果量-0.55。確実性は非常に低い)。2024年・ネットワークメタ分析
慢性腰痛
慢性腰痛では、運動しない場合と比べた3か月時点の改善は小さく、臨床的に意味のある差を下回りました。腰痛の悪化などの有害事象は増えました。2022年・コクラン・レビュー
ピラティス
体幹を意識しながら、ゆっくりした動きで体を鍛える運動
原因のはっきりしない慢性腰痛の痛みが軽くなった。肥満の人の体重と、うつ症状のある女性の症状も改善
高齢者の転倒の回数は、減ったという結果が出ていません。40歳を超える健康な人の睡眠の質も、はっきりした差は出ていません。
運動全体での格付け
研究の結果を見る(8件)
慢性腰痛
原因のはっきりしない慢性腰痛で、痛みに中くらい〜臨床的に意味のある大きさの効果がみられました。この項目の研究は、医療者が計画した運動療法が中心です。2021年・ネットワークメタ分析
慢性腰痛
18〜65歳を対象にした別のネットワーク・メタ分析では、痛みと生活動作の両方で上位でした。2022年・ネットワークメタ分析
体重・体脂肪
過体重・肥満の成人のRCT11件で、比べた群(ほかの運動か何もしない)より体重が2.40kg、体脂肪率が4.22ポイント減りました。ウエストには有意差がありませんでした。試験の多くは週3回・1回約60分で、10週を超える試験では3.30kg減り、10週以下の試験でははっきりした差が出ていません。2021年・メタ分析
うつ症状
うつ症状のある女性のRCT18件で、うつ症状(標準化平均差-0.73)と不安症状(-0.62)が軽くなりました。試験は6〜16週・週2〜3回・1回40〜70分です。この解析は、GRADEによる確実性の評価をしていません。2023年・メタ分析
睡眠の質
RCT6件で、睡眠の質の点数(PSQI)が運動しない群より3.60点よくなりました。ただし試験の間のばらつきが非常に大きく、40歳を超える健康な人と閉経後の女性に限ると、有意差はありませんでした。2020年・メタ分析
血糖値
RCT15件で、全体ではHbA1cが対照より0.78ポイント下がりましたが、試験の間のばらつきが大きい結果でした。糖尿病の人で「薬だけ」と「薬とピラティス」を比べた試験では、HbA1cに有意差がありませんでした。糖尿病でない人では、血糖に有意差はありませんでした。2021年・メタ分析
血圧
高血圧の人の試験11件(偶然で分けたRCTは4件、ほかは比較研究)で、比べた群より上の血圧が4.76mmHg、下が3.43mmHg下がりました。著者は、ほかの運動より優れるとは限らないとしています。2024年・メタ分析
転倒の予防
高齢者の39研究で、バランスの指標は対照よりよくなりました(確実性は非常に低〜中)。一方、転倒の回数と転倒への不安は、有意には減りませんでした。ほかの運動とは同程度でした。2024年・メタ分析
高強度インターバル(HIIT)
きつい運動と休みを短い間隔でくり返す運動
2型糖尿病の人の血糖値(HbA1c)の下がり幅が大きかった
運動全体での格付け
研究の結果を見る(3件)
血糖値
2型糖尿病の人(12週以上の運動。研究の多くは指導つき)で、HbA1cの下がり幅の推定値は0.61ポイントで、比べた運動の中で最も大きい値でした(有酸素運動と組み合わせは0.58、筋トレは0.40)。2025年・ネットワークメタ分析
血圧
運動しない場合と比べ、安静時の血圧が平均で上4.08mmHg、下2.50mmHg下がりました。2023年・ネットワークメタ分析
中性脂肪
一般の人を対象にした97件の試験で、運動しない場合と比べ、中性脂肪が約8mg/dL下がり、HDLコレステロールが約1.4mg/dL上がりました(mmol/Lからの換算)。2023年・メタ分析
壁スクワットなどの等尺性運動
壁に背をつけて腰を落とした姿勢を保つなど、体を動かさずに筋肉に力を入れ続ける運動
上の血圧の下がり幅が最も大きかった(試験は少数)
運動全体での格付け
研究の結果を見る(1件)
血圧
運動しない場合と比べ、安静時の血圧が平均で上8.24mmHg、下4.00mmHg下がり、比べた運動の中で上の血圧の下がり幅が最も大きい値でした。ただし、2013年の別の解析(Cornelissen 2013、93件のRCT)では、等尺性運動の試験は少数でした。2023年・ネットワークメタ分析
有酸素運動と筋トレの組み合わせ
ウォーキングなどと筋トレを同じ期間に両方行う
血圧と2型糖尿病の人の血糖値(HbA1c)が下がった
運動全体での格付け
研究の結果を見る(3件)
血圧
運動しない場合と比べ、安静時の血圧が平均で上6.04mmHg、下2.54mmHg下がりました。2023年・ネットワークメタ分析
血糖値
2型糖尿病の人(12週以上の運動。研究の多くは指導つき)で、HbA1cが0.58ポイント下がりました。2025年・ネットワークメタ分析
LDLコレステロール
148件の試験の解析で、有酸素運動と筋トレの組み合わせでは、LDLコレステロール・中性脂肪・総コレステロールが下がり、HDLコレステロールが上がりました。HDLコレステロールは、質の高い試験に絞るとはっきりした差は出ませんでした。総コレステロールの下がり方は組み合わせが最も大きかったものの、著者は有酸素運動だけとの差ははっきりしないとしています。2025年・メタ分析
バランスの運動・太極拳
片足立ちや立ち座りなどのバランス・動作の練習と、太極拳
60歳以上で転倒が減った
運動全体での格付け
研究の結果を見る(3件)
転倒の予防
地域で暮らす60歳以上で、バランス・動作の運動により転倒の回数が24%減りました(確実性は高い)。筋トレなどと組み合わせると34%(中)、太極拳では19%(低)減りました。2019年・コクラン・レビュー
睡眠の質
不眠症の人で、太極拳により睡眠の質の点数(PSQI)が改善しました(確実性は低い)。2026年・ネットワークメタ分析
うつ症状
うつ病の人で、太極拳・気功により症状が中程度に改善しました(効果量-0.42。確実性は非常に低い)。2024年・ネットワークメタ分析
各項目の根拠
筋力・筋量(筋トレ)に効く?
Sランク・根拠が強い対象:健康な成人と高齢者(研究の多くは指導者つきの筋トレ)
筋トレをすると、運動しない人より筋力と筋肉量がはっきり増えることが、一貫して示されています。高齢者でも、筋力は大きく伸びました。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本
効果の大きさ
運動しない人との筋力の差は大きく、効果量(差の大きさをそろえた数字)は高齢者の平均で0.84、解析で最上位だった方法で1.60でした。筋肉の太さの差は、最上位だった方法で「中くらい」(0.66)でした。偶然で分けていない研究も含む解析[3]では、50歳以上の脂肪以外の体重(除脂肪量)が平均約1.1kg増えました。
- 試験の内容
- 筋トレ(多くは週2〜3回を数週間〜数か月。器具・自重などの抵抗運動)
- 根拠にした論文
- ネットワークメタ分析 1本・コクラン・レビュー 1本・メタ分析 4本
注意点
- 主な解析の対象:主な解析は指導者のつく筋トレが中心で、健康な成人の解析[1]は自宅での指導なしの筋トレを除いています。
- 自宅での運動:健康な高齢者の自宅での運動で筋力は少し改善しましたが、複数の運動の組み合わせでは有意な効果がなく[4]、地域で暮らす高齢者の指導なしの筋トレで改善したのは脚の筋力で、握力に有意な改善はありませんでした[5]。高齢者では指導つきの方が膝を伸ばす筋力の増え方がやや大きいという解析[6]もあります。
- 負荷の重さ:筋力の伸びは重めの負荷で最も大きく、筋肥大は比べたどの方法でも同程度でした[1]。
- 日常の動作:高齢者の身体能力全体や歩く速さの改善は筋力より小さく、椅子からの立ち上がりは中〜大の改善でした[2]。
- 確実性の評価:中心にした解析では、確実性の格付け(GRADE(結果の確かさを評価する国際的な方法)等)は報告されていません。
根拠にした論文
- 1.
ネットワークメタ分析・Currier(2023年)・British Journal of Sports Medicine・178研究・5,097人
健康な成人のRCTのネットワーク・メタ分析(筋力178研究・5097人、筋肥大119研究・3364人)。すべての筋トレ方法が運動なしを筋力・筋肥大で上回った。筋力は高負荷・複数セット・週3回が最上位(標準化平均差1.60)。筋肥大の最上位は高負荷・複数セット・週2回(0.66)で、方法の差は小さい。
Resistance training prescription for muscle strength and hypertrophy in healthy adults: a systematic review and Bayesian network meta-analysis doi:10.1136/bjsports-2023-106807
- 2.
コクラン・レビュー・Liu(2009年)・Cochrane Database of Systematic Reviews・121研究・6,700人
高齢者のRCT121件(6700人)。多くは週2〜3回・高強度。筋力への効果は大きく(73件・3059人、標準化平均差0.84)、身体能力の改善は小さく(0.14)、歩く速さは秒速0.08m向上、椅子からの立ち上がりは中〜大の改善(-0.94)。有害事象の記録は不十分だが、重いものはまれ。
Progressive resistance strength training for improving physical function in older adults doi:10.1002/14651858.cd002759.pub2
- 3.
メタ分析・Peterson(2011年)・Medicine & Science in Sports & Exercise・49研究・1,328人
50歳以上を対象にした49研究(RCTと非ランダム化研究を含む、1328人)。筋トレで除脂肪量が平均1.1kg増加(95%CI 0.9〜1.2)。研究間のばらつきは大きい。運動量の多いプログラムほど増加が大きく、年齢が高いほど小さかった。
Influence of resistance exercise on lean body mass in aging adults: a meta-analysis doi:10.1249/mss.0b013e3181eb6265
- 4.
メタ分析・Chaabene(2021年)・Ageing Research Reviews・17研究・1,477人
健康な高齢者(65〜83歳)のRCT17件(1477人)。自宅での運動で筋力(標準化平均差0.30)、瞬発力(0.43)、筋持久力(0.28)、バランス(0.28)が小さく改善。筋トレ単独では筋力0.51、バランス0.65。1回の時間では30分以下の区分だけに小さい効果(区分間の差は有意でない)。
Home-based exercise programmes improve physical fitness of healthy older adults: A PRISMA-compliant systematic review and meta-analysis with relevance for COVID-19 doi:10.1016/j.arr.2021.101265
- 5.
メタ分析・Mañas(2021年)・Ageing Research Reviews・21研究・4,053人
地域で暮らす60歳以上が指導者なしで自宅で行う筋トレを調べたRCT21件(4053人)。重い有害事象はなく、継続率は平均67%。下肢筋力(効果量0.33)、立ち上がりの瞬発力(0.44)、ふらつき(0.32)が小さく改善。握力・歩く速さ・生活の質・転倒には有意な効果なし。
Unsupervised home-based resistance training for community-dwelling older adults: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials doi:10.1016/j.arr.2021.101368
- 6.
メタ分析・Gómez-Redondo(2024年)・Sports Medicine・34研究・2,830人
60歳以上で指導つきと指導なしの運動を比べたRCT34件(2830人)。どちらも重い有害事象はなく参加率も同程度(81%)。指導つきの方が膝を伸ばす筋力(標準化平均差0.18)や除脂肪量(+1.05kg)などの伸びが大きかったが、感度分析で残ったのは膝の筋力の差だけ。
Supervised Versus Unsupervised Exercise for the Improvement of Physical Function and Well-Being Outcomes in Older Adults: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials doi:10.1007/s40279-024-02024-1
血圧に効く?
Sランク・根拠が強い対象:成人(血圧が正常〜高めの人と、高血圧の人)
運動をすると、運動しない人より安静時の血圧が下がることが、一貫して示されています。上の血圧は運動の種類によって約4〜8mmHg下がり、有酸素運動では高血圧の人ほど大きく下がりました。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本
- 試験の内容
- 有酸素運動、筋トレ、その組み合わせ、高強度インターバル、壁スクワットなどの等尺性運動を数週間以上
- 確実性(中心にした解析の著者による評価)
- 中程度
- 根拠にした論文
- ネットワークメタ分析 2本・メタ分析 3本・コクラン・レビュー 1本
注意点
- 降圧薬との比較:運動と薬を直接比べた試験はなく、別々の試験を並べた解析[3]では、全体で薬の方が上の血圧を大きく下げましたが、運動の試験の多くは高血圧でない人が対象でした。高血圧の人で有酸素運動・筋トレと4系統の薬に差が検出されなかったのも、推定の信頼性が同等と仮定した間接比較です。試験の1割を調べると、運動の試験は参加者に隠せないことや結果の欠測から、薬の試験よりバイアスの危険が高いとされました。
- 血圧が正常な人:有酸素運動では、上の血圧に有意差(偶然では説明しにくい差)はなく、下の血圧の低下もごく小さいものでした[2]。
- 等尺性運動:上の血圧の下げ幅は壁スクワットなどの等尺性運動が最大でしたが[1]、解析[2]での試験は少数でした。
- ウォーキング:コクラン・レビュー(国際的な非営利団体コクランが決まった手順で作るまとめ)[5]の試験は、自宅や地域で歩く形が多いものの、多くは指導つきでした。
根拠にした論文
- 1.
ネットワークメタ分析・Edwards(2023年)・British Journal of Sports Medicine・270研究・15,827人
RCT270件(15827人)の統合。運動なしと比べ、安静時血圧(上/下)は有酸素運動-4.49/-2.53mmHg、筋トレ-4.55/-3.04、組み合わせ-6.04/-2.54、高強度インターバル-4.08/-2.50、等尺性運動-8.24/-4.00。上の血圧は等尺性運動が最上位。
Exercise training and resting blood pressure: a large-scale pairwise and network meta-analysis of randomised controlled trials doi:10.1136/bjsports-2022-106503
- 2.
メタ分析・Cornelissen(2013年)・Journal of the American Heart Association・93研究・5,223人
RCT93件(5223人)。上の血圧は持久的運動で-3.5mmHg、筋トレで-1.8、等尺性運動で-10.9。持久的運動では高血圧の人で-8.3/-5.2mmHgと大きく、高め(前高血圧)の人で-2.1/-1.7、正常な人では-0.75(有意差なし)/-1.1。等尺性運動の研究は少数。
Exercise training for blood pressure: a systematic review and meta-analysis doi:10.1161/jaha.112.004473
- 3.
ネットワークメタ分析・Naci(2019年)・British Journal of Sports Medicine・391研究・39,742人
RCT391件(運動197件・10461人、降圧薬194件・29281人)の統合。運動も薬も上の血圧を下げ、全体では薬が3.96mmHg多く下げた。高血圧の人では持久的運動・筋トレとACE阻害薬・ARB・β遮断薬・利尿薬の差は検出されず。直接比較はなく、運動の試験はバイアスの危険が高い。
How does exercise treatment compare with antihypertensive medications? A network meta-analysis of 391 randomised controlled trials assessing exercise and medication effects on systolic blood pressure doi:10.1136/bjsports-2018-099921
- 4.
メタ分析・Jabbarzadeh Ganjeh(2024年)・Hypertension Research・34研究・1,787人
高血圧の成人を対象にした試験34件(1787人)の用量反応メタ分析。有酸素運動を週30分増やすごとに上の血圧が1.78mmHg(確実性は低)、下の血圧が1.23mmHg(確実性は中)低下。週150分で最大(上-7.23、下-5.58mmHg)。
Effects of aerobic exercise on blood pressure in patients with hypertension: a systematic review and dose-response meta-analysis of randomized trials doi:10.1038/s41440-023-01467-9
- 5.
コクラン・レビュー・Lee(2021年)・Cochrane Database of Systematic Reviews・73研究・5,763人
16〜84歳を対象にしたRCT73件(5763人)。平均15週・週約153分・中強度が多く、自宅や地域で歩く形が中心だが多くは指導つき。上の血圧が4.11mmHg低下(確実性は中)、下の血圧1.79mmHg・心拍数も低下(確実性は低)。有害事象の報告は少なく、主に膝のけが。
Walking for hypertension doi:10.1002/14651858.cd008823.pub2
- 6.
メタ分析・González-Devesa(2024年)・Journal of Human Hypertension・11研究
高血圧の人の試験11件(RCT4件・比較研究7件)。ピラティスで、比べた群より上の血圧が4.76mmHg、下の血圧が3.43mmHg下がった。著者は、ほかの運動より優れるとは限らないとしている。
The efficacy of Pilates method in patients with hypertension: systematic review and meta-analysis doi:10.1038/s41371-024-00899-1
血糖値に効く?
Sランク・根拠が強い対象:2型糖尿病の成人
2型糖尿病の人が指導つきの運動をすると、運動しない人よりHbA1cが平均0.4〜0.7ポイントほど下がることが、一貫して示されています。指導なしの運動では、下がり方が小さいか、はっきりしません。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本
効果の大きさ
運動しない人と比べ、HbA1cは有酸素運動・組み合わせ・高強度インターバルで約0.6〜0.7ポイント下がりました。筋トレでは、約0.4ポイントの低下でした。運動の助言だけでは、約0.35ポイントの低下でした[1]。
- 試験の内容
- 有酸素運動・筋トレ・その組み合わせ・高強度インターバルなどを12週以上(多くは指導つき)
- 根拠にした論文
- ネットワークメタ分析 2本・メタ分析 4本
注意点
- 指導の有無:研究の多くは指導者のつく運動で、解析[2]では74%が完全に指導つきでした。指導なしの有酸素運動・筋トレでは、有意な低下がありませんでした[4]。指導なしのウォーキングでも同様でしたが、励ましなどの工夫を加えると下がりました[5]。
- 助言だけの場合:運動の助言だけでも小さな効果があるとする解析[1]と、食事の助言と組み合わせた場合に限るとする解析[3]があります。
- ばらつき:試験の間で、結果に大きなばらつきがあります。
- 確実性:確実性の評価は、運動の種類によって低〜高でした[4]。
- ピラティス:RCT15件の解析[6]では、全体ではHbA1cが0.78ポイント下がりましたが、糖尿病の人で薬だけと薬にピラティスを加えた場合を比べると、有意差(偶然では説明しにくい差)がありませんでした。
根拠にした論文
- 1.
ネットワークメタ分析・Garcia(2025年)・Diabetes Research and Clinical Practice・158研究・17,059人
2型糖尿病の人のRCT158件(17059人、12週以上)のネットワーク・メタ分析。対照と比べ、HbA1cは高強度インターバルで-0.61ポイント、組み合わせ-0.58、有酸素運動-0.58、筋トレ-0.40、運動の助言だけでも-0.35と、すべて低下。
Effects of exercise training and physical activity advice on HbA1c in people with type 2 diabetes: A network meta-analysis of randomized controlled trials doi:10.1016/j.diabres.2025.112027
- 2.
メタ分析・Michielsen(2025年)・Cardiovascular Diabetology・100研究・7,195人
2型糖尿病の成人のRCT100件(7195人)。HbA1cは組み合わせで-0.74ポイント、高強度インターバル-0.71、有酸素運動-0.62、筋トレ-0.36と、すべて改善。指導つきで週150〜210分の運動が最も効果的。空腹時血糖・LDLコレステロール・上の血圧も低下。
The effect of exercise characteristics on HbA1c and other cardiovascular risk factors in adults with type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials doi:10.1186/s12933-025-03048-1
- 3.
メタ分析・Umpierre(2011年)・JAMA・47研究・8,538人
2型糖尿病の人のRCT47件(8538人)。指導つきの運動でHbA1cが0.67ポイント低下(有酸素運動-0.73、筋トレ-0.57、組み合わせ-0.51)。週150分超で-0.89、150分以下で-0.36。運動の助言は食事の助言と組み合わせた場合のみ低下(-0.58)し、助言だけでは変化なし。
Physical activity advice only or structured exercise training and association with HbA1c levels in type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis doi:10.1001/jama.2011.576
- 4.
ネットワークメタ分析・Hou(2023年)・Diabetes/Metabolism Research and Reviews・106研究・7,438人
2型糖尿病の人のRCT106件(7438人)のネットワーク・メタ分析。指導なしの有酸素運動・筋トレを除く6種類の運動で、運動なしよりHbA1cが0.34〜0.71ポイント低下(確実性は低〜高)。指導つきの運動は体重・血圧・脂質も改善(確実性は低〜中)。
Exercise modalities for type 2 diabetes: A systematic review and network meta-analysis of randomized trials doi:10.1002/dmrr.3591
- 5.
メタ分析・Qiu(2014年)・PLoS ONE・20研究・866人
2型糖尿病の人のRCT20件(866人、8週以上のウォーキング)。HbA1cが0.50ポイント低下。指導つきでは-0.58、指導なしでは有意差なしだが、励ましなどの工夫を加えた指導なしのウォーキングでは-0.53。BMIと下の血圧も低下し、上の血圧と脂質は有意差なし。
Impact of walking on glycemic control and other cardiovascular risk factors in type 2 diabetes: a meta-analysis doi:10.1371/journal.pone.0109767
- 6.
メタ分析・Chen(2021年)・Frontiers in Physiology・15研究・587人
RCT15件(587人)。全体ではピラティスでHbA1cが0.78ポイント下がった(ばらつきが大きい)。糖尿病でない人では血糖・脂質に有意差なし。糖尿病の人で薬だけと薬にピラティスを加えた場合を比べると、HbA1cに有意差なし(-0.23ポイント)。
Effect of Pilates on Glucose and Lipids: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials doi:10.3389/fphys.2021.641968
転倒を防ぐ?
Sランク・根拠が強い対象:地域で暮らす60歳以上の人
地域で暮らす高齢者が運動をすると、転倒が約2割減ることが確かめられています。効果が確かなのはバランスや動作の運動を含むプログラムで、筋トレだけやウォーキングだけでは、効果がはっきりしていません。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本
効果の大きさ
コクラン・レビュー(国際的な非営利団体コクランが決まった手順で作るまとめ)[1]では、転倒の回数が対照より23%、1回以上転倒する人が15%減りました。対照の1000人が1年に計850回転倒する場合、運動では転倒が約195回減る計算です。バランス運動と筋トレなどを組み合わせると転倒回数は34%減り、この結果の確実性は中でした。
- 試験の内容
- バランス・動作の運動を中心に、筋トレや太極拳などを組み合わせた運動プログラム
- 確実性(中心にした解析の著者による評価)
- 高い
- 根拠にした論文
- コクラン・レビュー 1本・系統的レビュー 1本・メタ分析 4本
注意点
- 運動の種類:筋トレだけ、ダンス、ウォーキングだけのプログラムの効果は不確かでした[1]。
- 指導者:医療専門職(主に理学療法士)が指導した試験で、効果が大きくなりました[2]。
- 自宅での運動:指導者なしで自宅で行う筋トレを調べた解析[5]では、転倒した人の割合も転倒の回数も、有意には減りませんでした。個別に処方した自宅での運動を調べた解析[4]でも、転倒した人の割合は全体では有意に減りませんでした。
- 骨折:骨折が減るという結果は、確実性が低いものです。
- ピラティス:高齢者の39研究をまとめた解析[6]では、バランスは対照よりよくなりましたが(確実性は非常に低〜中)、転倒の回数と転倒への不安は有意には減りませんでした。
根拠にした論文
- 1.
コクラン・レビュー・Sherrington(2019年)・Cochrane Database of Systematic Reviews・108研究・23,407人
地域で暮らす60歳以上のRCT108件(23407人)。運動で転倒の回数が23%(率比0.77)、転倒した人が15%(リスク比0.85)減少(いずれも確実性は高)。バランス・動作の運動は0.76(高)、筋トレ等との組み合わせ0.66(中)、太極拳0.81(低)。筋トレだけ・ダンス・歩行は不確か。
Exercise for preventing falls in older people living in the community doi:10.1002/14651858.cd012424.pub2
- 2.
系統的レビュー・Sherrington(2020年)・British Journal of Sports Medicine・59研究・12,981人
上記コクラン・レビューの要約版。転倒の回数は23%減少(59件・12981人、確実性は高)。転倒リスクの高い人に限るか、75歳以上か、集団か個別かで効果に有意差はなかったが、医療専門職(主に理学療法士)が指導した試験で効果が大きかった。
Exercise for preventing falls in older people living in the community: an abridged Cochrane systematic review doi:10.1136/bjsports-2019-101512
- 3.
メタ分析・de Souto Barreto(2019年)・JAMA Internal Medicine・40研究・21,868人
60歳以上を対象に1年以上運動を続けたRCT46件(22709人、うち40件・21868人をメタ分析)。転倒(リスク比0.88)とけがを伴う転倒(0.74)が減り、骨折も減る傾向(0.84、P=0.05)。複数回の転倒・入院・死亡(29件・11441人)には有意差なし。
Association of Long-term Exercise Training With Risk of Falls, Fractures, Hospitalizations, and Mortality in Older Adults: A Systematic Review and Meta-analysis doi:10.1001/jamainternmed.2018.5406
- 4.
メタ分析・Hill(2015年)・Maturitas・12研究
個別に処方した自宅での運動を調べた12件(平均80.1歳)。転倒した人の割合は全体では有意に減らず(リスク比0.93、5件)、退院直後の人の1件を除くと有意に減少(0.84)。身体活動・バランス・移動能力・筋力は改善、けがを伴う転倒や骨折は有意差なし。
Individualized home-based exercise programs for older people to reduce falls and improve physical performance: A systematic review and meta-analysis doi:10.1016/j.maturitas.2015.04.005
- 5.
メタ分析・Mañas(2021年)・Ageing Research Reviews・21研究・4,053人
地域で暮らす60歳以上が指導者なしで自宅で行う筋トレを調べたRCT21件(4053人)。重い有害事象はなく、継続率は平均67%。下肢筋力(効果量0.33)、立ち上がりの瞬発力(0.44)、ふらつき(0.32)が小さく改善。握力・歩く速さ・生活の質・転倒には有意な効果なし。
Unsupervised home-based resistance training for community-dwelling older adults: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials doi:10.1016/j.arr.2021.101368
- 6.
メタ分析・de Campos Júnior(2024年)・Complementary Therapies in Clinical Practice・39研究・1,770人
高齢者の39研究(1770人、方法の質が十分なのは14件)。ピラティスで対照よりバランスがよくなった(確実性は非常に低〜中)が、転倒の回数と転倒への不安は減らなかった。ほかの運動とは同程度。
Effects of Pilates exercises on postural balance and reduced risk of falls in older adults: A systematic review and meta-analysis doi:10.1016/j.ctcp.2024.101888
うつ症状に効く?
Aランク・根拠あり対象:うつ病、またはうつ症状が一定以上ある成人
運動をすると、運動しない人よりうつ症状が軽くなるという結果が、一貫して出ています。差は中くらいで、心理療法とは効果がほとんど変わらないという結果もあります。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本
効果の大きさ
コクラン・レビュー(国際的な非営利団体コクランが決まった手順で作るまとめ)[1]では、運動しない人と比べたうつ症状の改善の差は「中くらい」で、効果量(標準化平均差)は-0.67でした(確実性は低)。方法の質が高い試験に限ると「小さい〜中くらい」(-0.46)でした。心理療法との差は、ほとんどありませんでした(確実性は中)。
- 試験の内容
- ウォーキング・ジョギングなどの有酸素運動、筋トレ、ヨガなどを数週間〜数か月
- 確実性(中心にした解析の著者による評価)
- 低い
- 根拠にした論文
- コクラン・レビュー 1本・ネットワークメタ分析 1本・メタ分析 3本・アンブレラレビュー 1本
注意点
- 期待の影響:運動は参加者に隠せないため、期待による効果が混ざっている可能性があります。
- 長期の効果:長期の効果を調べた試験は少なく、確実性は非常に低いとされました[1]。
- 心理療法・抗うつ薬との比較:心理療法や抗うつ薬と比べた試験は少なく、小規模でした[1]。
- 指導・集団:解析[3]の試験はほぼすべて指導つきで、その著者は指導つき・集団での運動を勧めています。
- 運動の種類と強さ:ウォーキング・ジョギング、ヨガ、筋トレで効果が比較的大きく、強度が高いほど効果が大きくなりました[2](確実性はウォーキング・ジョギングで低、ほかは非常に低)。
- ピラティス:うつ症状のある女性のRCT18件の解析[6]では、症状が軽くなりました(標準化平均差-0.73)。この解析は、GRADE(結果の確かさを評価する国際的な方法)による確実性の評価をしていません。
根拠にした論文
- 1.
コクラン・レビュー・Clegg(2026年)・Cochrane Database of Systematic Reviews・73研究
うつ症状のある成人のRCT73件(少なくとも4985人)。対照と比べ運動で症状が減少(57件・2189人、標準化平均差-0.67、確実性は低)。質の高い7件では-0.46。心理療法とはほぼ差なし(確実性は中)、抗うつ薬とも差がほぼない可能性(5件、確実性は低)。長期効果は非常に不確実。
Exercise for depression doi:10.1002/14651858.cd004366.pub7
- 2.
ネットワークメタ分析・Noetel(2024年)・BMJ・218研究・14,170人
うつ病の人のRCT218件(14170人)のネットワーク・メタ分析。対照と比べ、ウォーキング・ジョギング(効果量-0.62)、ヨガ(-0.55)、筋トレ(-0.49)、太極拳・気功(-0.42)などで中程度の改善。強度が高いほど効果が大きい。確実性はウォーキング・ジョギングで低、他は非常に低。
Effect of exercise for depression: systematic review and network meta-analysis of randomised controlled trials doi:10.1136/bmj-2023-075847
- 3.
メタ分析・Heissel(2023年)・British Journal of Sports Medicine・41研究・2,264人
うつ病またはうつ症状のある成人のRCT41件(2264人)。運動しない対照と比べ大きな改善(標準化平均差-0.946)。指導つきの運動では-1.03。バイアスの危険が低い12件に限ると-0.67(中くらい)。小規模な試験が多く、方法もばらばら。
Exercise as medicine for depressive symptoms? A systematic review and meta-analysis with meta-regression doi:10.1136/bjsports-2022-106282
- 4.
メタ分析・Gordon(2018年)・JAMA Psychiatry・33研究・1,877人
RCT33件(1877人)。筋トレでうつ症状が中程度に改善(効果量0.66)。健康状態や運動量、筋力の伸びによらず効果がみられたが、割り付けや評価を盲検化した試験では効果が小さかった。
Association of Efficacy of Resistance Exercise Training With Depressive Symptoms: Meta-analysis and Meta-regression Analysis of Randomized Clinical Trials doi:10.1001/jamapsychiatry.2018.0572
- 5.
アンブレラレビュー・Singh(2023年)・British Journal of Sports Medicine・97研究・128,119人
レビュー97本(1039試験・128119人)をまとめたアンブレラレビュー。身体活動はうつ症状を通常ケアより中程度改善(効果量の中央値-0.43)。強度が高いほど改善が大きい。ただし97本中77本のレビューの質は「非常に低い」と評価された。
Effectiveness of physical activity interventions for improving depression, anxiety and distress: an overview of systematic reviews doi:10.1136/bjsports-2022-106195
- 6.
メタ分析・Ju(2023年)・Medicine (Baltimore)・18研究・827人
うつ症状のある女性のRCT18件(827人)。ピラティスでうつ症状(標準化平均差-0.73)と不安症状(-0.62)が軽くなった。介入は6〜16週・週2〜3回・1回40〜70分(本文)。GRADEによる確実性の評価はない。
The impact of Pilates exercise for depression symptoms in female patients: A systematic review and meta-analysis doi:10.1097/md.0000000000035419
慢性腰痛に効く?
Aランク・根拠あり対象:原因のはっきりしない慢性腰痛(3か月以上)の成人
原因のはっきりしない慢性腰痛の人が運動療法を受けると、治療なしやふだんの治療などより、痛みが実感できる程度に軽くなることが示されています。生活動作の改善は小さく、実感できる差の目安に届きませんでした。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本
効果の大きさ
コクラン・レビュー(国際的な非営利団体コクランが決まった手順で作るまとめ)では、治療なしなどと比べ、痛み(0〜100点)が最も早い追跡時点で平均15.2点(信頼区間(結果のぶれの幅)12〜18点)軽くなりました。実感できる差の目安(15点)と、ほぼ同じ大きさです。生活動作の改善は6.8点で、目安の10点を下回りました。
- 試験の内容
- 医療者が処方・計画した運動療法(筋トレ、体幹の運動、ピラティス、ストレッチ、有酸素運動など)
- 確実性(中心にした解析の著者による評価)
- 中程度
- 根拠にした論文
- コクラン・レビュー 2本・ネットワークメタ分析 2本・診療ガイドライン 1本・メタ分析 1本
注意点
- 生活動作・ほかの治療との比較:コクラン・レビュー(Hayden 2021)では、生活動作の改善は目安を下回り、ほかの保存療法と比べた差も小さいものでした。
- 運動の種類:どの運動が最適かは、解析によって異なります。ネットワーク・メタ分析(Hayden 2021)は、続けやすい運動を選ぶよう勧めています。
- 処方された運動:研究の多くは、医療者が処方した運動を調べたものです。
- ウォーキング:ウォーキングはほかの運動と同程度に改善したという、小規模な解析(5件)[5]があります。
- ヨガ:ヨガのコクラン・レビュー[6]では、運動しない場合と比べた3か月時点の改善は小さく、臨床的に意味のある差(本人が実感できる差の目安)を下回りました。
格付けの理由
原因のはっきりしない慢性腰痛の成人の試験249件を含むコクラン・レビュー(Hayden 2021)では、運動療法は治療なし等より痛みを減らしました(確実性は中)。この差は、臨床的に意味のある大きさとされました。RCT217件のネットワーク・メタ分析(Hayden 2021)や、18〜65歳の成人の118件のネットワーク・メタ分析(複数の試験をまとめて計算し直した研究)[3]でも、多くの種類の運動が有効でした。生活動作の改善が小さいため、A(根拠あり)としました。
根拠にした論文
- 1.
コクラン・レビュー・Hayden(2021年)・Cochrane Database of Systematic Reviews・249研究
原因のはっきりしない慢性腰痛の成人の試験249件。治療なし・通常ケア・偽治療と比べ、運動で痛み(0〜100点)が15.2点減少(確実性は中)し、臨床的に意味のある差(15点)に届いた。生活動作の制限は6.8点の改善で目安(10点)未満。ほかの保存療法との差は小さい。
Exercise therapy for chronic low back pain doi:10.1002/14651858.cd009790.pub2
- 2.
ネットワークメタ分析・Hayden(2021年)・Journal of Physiotherapy・217研究・20,969人
慢性腰痛の成人のRCT217件(20969人)のネットワーク・メタ分析。多くの種類の運動が最小限の治療より有効。ピラティス、マッケンジー法、機能回復訓練(痛み)、柔軟運動(生活動作)で中〜臨床的に意味のある効果。続けやすいよう、本人が楽しめる運動を勧めるべきとした。
Some types of exercise are more effective than others in people with chronic low back pain: a network meta-analysis doi:10.1016/j.jphys.2021.09.004
- 3.
ネットワークメタ分析・Fernández-Rodríguez(2022年)・Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy・118研究・9,710人
18〜65歳の慢性腰痛の成人のRCT118件(9710人)のネットワーク・メタ分析。ストレッチ(痛み)とマッケンジー法(生活動作)を除き、すべての種類の運動が痛みと生活動作を改善。痛みにはピラティス・心身運動・体幹運動、生活動作にはピラティス・筋トレ・体幹運動が上位。
Best Exercise Options for Reducing Pain and Disability in Adults With Chronic Low Back Pain: Pilates, Strength, Core-Based, and Mind-Body. A Network Meta-analysis doi:10.2519/jospt.2022.10671
- 4.
診療ガイドライン・Qaseem(2017年)・Annals of Internal Medicine
米国内科学会の診療ガイドライン。慢性腰痛ではまず薬以外の治療を選ぶよう強く推奨し、その選択肢として運動(中等度の質の根拠)や太極拳・ヨガ・運動制御エクササイズ(低い質の根拠)などを挙げた。
Noninvasive Treatments for Acute, Subacute, and Chronic Low Back Pain: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians doi:10.7326/m16-2367
- 5.
メタ分析・Vanti(2019年)・Disability and Rehabilitation・5研究
慢性腰痛のRCT5件のメタ分析。ウォーキングだけの場合とほかの運動の場合で、痛み・生活動作・生活の質・動くことへの恐れの改善は短期〜長期で同程度。運動にウォーキングを加えても短期的な上乗せはなかった。
The effectiveness of walking versus exercise on pain and function in chronic low back pain: a systematic review and meta-analysis of randomized trials doi:10.1080/09638288.2017.1410730
- 6.
コクラン・レビュー・Wieland(2022年)・Cochrane Database of Systematic Reviews・21研究・2,223人
慢性腰痛に対するヨガの試験21件(2223人)。運動しない場合と比べ3か月時点の生活動作(低)と痛み(100点中4.53点、中)の改善は小さく、臨床的に意味のある差に届かない。有害事象(主に腰痛の悪化)は増えた。ほかの腰の運動とは生活動作でほぼ差なし。
Yoga for chronic non-specific low back pain doi:10.1002/14651858.cd010671.pub3
膝の生活動作(変形性膝関節症)に効く?
Aランク・根拠あり対象:変形性膝関節症の人
変形性膝関節症の人が運動をすると、偽の治療などを受けた人や、治療なし・ふだんの治療の人より、歩く・立つなどの生活動作が改善することが示されています。改善の大きさが実感できる差の目安に届くかどうかは、はっきりしません。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文3本
効果の大きさ
コクラン・レビュー(国際的な非営利団体コクランが決まった手順で作るまとめ)では、運動を終えた直後の生活動作(0〜100点)が、偽の治療などより平均11.27点(信頼区間(結果のぶれの幅)7.64〜15.09点)よくなりました。実感できる差の目安(13点)は信頼区間の中にあります。治療なしなどより12.53点、ほかの治療に足すと9.66点でした。
- 試験の内容
- 陸上で行う運動(筋トレ・有酸素運動など。期間は2〜104週間)
- 確実性(中心にした解析の著者による評価)
- 中程度
- 根拠にした論文
- コクラン・レビュー 1本・メタ分析 1本・診療ガイドライン 1本
注意点
格付けの理由
主な比較は、痛みと同じく偽の治療など(注意を向けるだけの対照)にしました。コクラン・レビュー[1]では、3つの比べ方すべてで生活動作が改善し、確実性は中と評価されました。改善が目安に届くかがはっきりしないため、A(根拠あり)としました。
根拠にした論文
- 1.
コクラン・レビュー・Lawford(2024年)・Cochrane Database of Systematic Reviews・139研究・12,468人
変形性膝関節症の人の試験139件(12468人)。運動プログラムを終えた直後の身体機能(0〜100点)は、偽の治療などより11.27点、治療なしなどより12.53点、ほかの治療への上乗せで9.66点改善(いずれも確実性中)。目安13点に対し臨床的な重要さは不確か。
Exercise for osteoarthritis of the knee doi:10.1002/14651858.cd004376.pub4
- 2.
メタ分析・Goh(2019年)・Annals of Physical and Rehabilitation Medicine・77研究・6,472人
膝と股関節の変形性関節症のRCT77件(6472人)。ふだんのケアと比べ、8週前後で機能(効果量0.50)と動作の成績(0.46)が改善。効果は2か月ほどで最大となり、9〜18か月ではふだんのケアと差がなかった。
Efficacy and potential determinants of exercise therapy in knee and hip osteoarthritis: A systematic review and meta-analysis doi:10.1016/j.rehab.2019.04.006
- 3.
診療ガイドライン・Kolasinski(2020年)・Arthritis & Rheumatology
米国リウマチ学会と関節炎財団のガイドライン。手・股関節・膝の変形性関節症で、運動を強く推奨した(過体重・肥満の膝・股関節の変形性関節症の人の減量、自己管理プログラム、太極拳なども強い推奨)。バランス運動とヨガは条件つきの推奨。
2019 American College of Rheumatology/Arthritis Foundation Guideline for the Management of Osteoarthritis of the Hand, Hip, and Knee doi:10.1002/art.41142
血圧・体重など(ウォーキング)に効く?
Aランク・根拠あり対象:運動習慣の少ない成人など(血圧は16歳以上の全体。高血圧や2型糖尿病の人の研究も含む)
ウォーキングだけでも、運動しない人より上の血圧が約4.1mmHg下がることが示されています(16歳以上の参加者全体)。運動習慣のない人では、体重・体脂肪・持久力の改善も示されています。改善の幅は小さめで、コレステロールなど血中脂質には、はっきりした改善は出ていません。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文4本
- 試験の内容
- ウォーキング(研究で多いのは中強度・週150分前後・数か月)
- 確実性(中心にした解析の著者による評価)
- 中程度
- 根拠にした論文
- コクラン・レビュー 1本・メタ分析 3本
注意点
- 改善の幅と血中脂質:改善幅は小さく、コレステロールなど血中脂質にははっきりした改善は出ませんでした[2][3]。
- 2型糖尿病の人:2型糖尿病の人の解析[4]では、上の血圧の低下は有意ではありませんでした。
- 指導の有無:コクラン・レビュー(国際的な非営利団体コクランが決まった手順で作るまとめ)[1]の試験は自宅や地域で歩く形が多いものの、多くは指導つきでした。2型糖尿病の人を対象にした解析[4]では、指導なしのウォーキング全体ではHbA1cにはっきりした低下は出ませんでしたが、励ましなどの工夫を用いた研究に限ると下がっていました。
- 歩き方:どのくらいの頻度・時間・速さで歩けばよいかは、十分に分かっていません[3]。
根拠にした論文
- 1.
コクラン・レビュー・Lee(2021年)・Cochrane Database of Systematic Reviews・73研究・5,763人
16〜84歳を対象にしたRCT73件(5763人)。平均15週・週約153分・中強度が多く、自宅や地域で歩く形が中心だが多くは指導つき。上の血圧が4.11mmHg低下(確実性は中)、下の血圧1.79mmHg・心拍数も低下(確実性は低)。有害事象の報告は少なく、主に膝のけが。
Walking for hypertension doi:10.1002/14651858.cd008823.pub2
- 2.
メタ分析・Murtagh(2015年)・Preventive Medicine・32研究
運動習慣のない成人でウォーキングだけを行ったRCT32件。運動しない対照と比べ、持久力が向上し、上の血圧-3.58mmHg、下の血圧-1.54mmHg、腹囲-1.51cm、体重-1.37kg、体脂肪率-1.22ポイント、BMI-0.53と改善。血中脂質は変化なし。
The effect of walking on risk factors for cardiovascular disease: an updated systematic review and meta-analysis of randomised control trials doi:10.1016/j.ypmed.2014.12.041
- 3.
メタ分析・Oja(2018年)・British Journal of Sports Medicine・37研究・2,001人
運動習慣のない健康な成人のRCT37件(2001人、81%が女性、8週以上)。ウォーキングで体重・BMI・体脂肪・上下の血圧・空腹時血糖・持久力が改善。腹囲や血中脂質には有意な効果なし。必要な頻度・強度・時間・量は特定できなかった。
Effects of frequency, intensity, duration and volume of walking interventions on CVD risk factors: a systematic review and meta-regression analysis of randomised controlled trials among inactive healthy adults doi:10.1136/bjsports-2017-098558
- 4.
メタ分析・Qiu(2014年)・PLoS ONE・20研究・866人
2型糖尿病の人のRCT20件(866人、8週以上のウォーキング)。HbA1cが0.50ポイント低下。指導つきでは-0.58、指導なしでは有意差なしだが、励ましなどの工夫を加えた指導なしのウォーキングでは-0.53。BMIと下の血圧も低下し、上の血圧と脂質は有意差なし。
Impact of walking on glycemic control and other cardiovascular risk factors in type 2 diabetes: a meta-analysis doi:10.1371/journal.pone.0109767
体重・体脂肪に効く?
Aランク・根拠あり対象:過体重・肥満の成人(研究の多くは指導者つきの運動)
過体重・肥満の成人が運動すると、運動しない人より体重と体脂肪が減ることが示されています。運動だけで減る体重は数kg程度で、筋トレだけでは体重ははっきり減りませんでした。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本
効果の大きさ
指導つきの有酸素運動では、週30分ごとに体重が約0.52kg、ウエストが約0.56cm減ると推定されました[1]。週150分では、体重が約2.8kg、体脂肪率が約2.1ポイント減るという推定です。
- 試験の内容
- 有酸素運動・筋トレ・その組み合わせ・HIIT(高強度インターバル)を8週〜数か月
- 確実性(中心にした解析の著者による評価)
- 中程度
- 根拠にした論文
- メタ分析 3本・ネットワークメタ分析 2本・コクラン・レビュー 1本
注意点
- 運動だけの減量:運動だけで減る体重は数kgで、コクラン・レビュー(国際的な非営利団体コクランが決まった手順で作るまとめ)[3]でも、運動しない場合と比べた減量は小さいものでした。
- 食事の改善との併用:食事の改善と組み合わせると、食事だけより約1.1kg多く減りました[3]。
- 筋トレだけの場合:筋トレだけでは、体重は有意に減りませんでした[2]。
- 体脂肪とウエスト:18〜45歳の過体重・肥満の人では、HIITや中強度の持続的な運動で、体重の変化を伴わずに体脂肪やウエストが減ることがあります[4]。
- 試験の条件:中心にした解析[1]の試験は指導つきの有酸素運動で、参加者の食事の情報は十分ではありません。
- ピラティス:過体重・肥満の成人のRCT11件の解析[6]では、比べた群(ほかの運動か何もしない)より体重が2.40kg少なくなりましたが、ウエストには有意差(偶然では説明しにくい差)がありませんでした。
根拠にした論文
- 1.
メタ分析・Jayedi(2024年)・JAMA Network Open・116研究・6,880人
過体重・肥満の成人の指導つき有酸素運動(8週以上)のRCT116件(6880人)。週30分ごとに体重0.52kg(確実性 中)、ウエスト0.56cm(高)、体脂肪率0.37%減。本文では週150分で体重2.79kg・体脂肪率2.08%、週300分で体重4.19kg減。軽い筋骨格の不調が100人あたり2件増えた。
Aerobic Exercise and Weight Loss in Adults: A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.52185
- 2.
ネットワークメタ分析・Chen(2024年)・Obesity Reviews・84研究・4,836人
過体重・肥満の人のRCT84件(4836人)のネットワーク・メタ分析。有酸素運動・HIIT・有酸素と筋トレの組み合わせで体重が減ったが、筋トレだけでは体重は有意に減らなかった。どの運動でも体脂肪・BMI・ウエストは減少。高強度の有酸素運動とHIITが上位。
Effects of various exercise types on visceral adipose tissue in individuals with overweight and obesity: A systematic review and network meta-analysis of 84 randomized controlled trials doi:10.1111/obr.13666
- 3.
コクラン・レビュー・Shaw(2006年)・Cochrane Database of Systematic Reviews・43研究・3,476人
過体重・肥満の成人のRCT43件(3476人)。運動だけでは、何もしない場合と比べて体重の減少は小さかった。食事の改善に運動を足すと、食事だけより体重が1.1kg多く減った。強度の高い運動ほど1.5kg多く減った。運動だけでも下の血圧や中性脂肪は下がった。検索は2006年1月まで。
Exercise for overweight or obesity doi:10.1002/14651858.cd003817.pub3
- 4.
メタ分析・Wewege(2017年)・Obesity Reviews・13研究
18〜45歳の過体重・肥満の成人でHIITと中強度の持続的な運動を比べた13試験(約10週・週3回)。どちらも体脂肪量とウエストが減り、有意差はなかった。HIITは時間が約4割少なくて済んだ。走る運動では体脂肪の減少が大きく、自転車では減らなかった。体重はほとんど変わらなかった。
The effects of high-intensity interval training vs. moderate-intensity continuous training on body composition in overweight and obese adults: a systematic review and meta-analysis doi:10.1111/obr.12532
- 5.
ネットワークメタ分析・Feng(2026年)・Journal of Sports Sciences・92研究・4,634人
BMI24以上の50歳以上を対象にしたRCT92件(4634人)のネットワーク・メタ分析。有酸素運動が最上位で、有酸素運動と筋トレの組み合わせの体重への効果は標準化平均差-0.41(小さい)。運動量が一定を超えると効果の上乗せは小さくなった。根拠の質は中〜非常に低い。
Exercise interventions and dosage for weight management in overweight or obese middle-aged and older adults: A dose-response Bayesian network meta-analysis doi:10.1080/02640414.2026.2705713
- 6.
メタ分析・Wang(2021年)・Frontiers in Physiology・11研究・393人
過体重・肥満の成人のRCT11件(393人)。比べた群(ほかの運動か何もしない)より体重が2.40kg、体脂肪率が4.22ポイント減り、ウエストと除脂肪量は有意差なし。試験の多くは週3回・1回約60分。10週を超える試験では3.30kg減り、10週以下では有意差なし(本文)。
Pilates for Overweight or Obesity: A Meta-Analysis doi:10.3389/fphys.2021.643455
内臓脂肪に効く?
Aランク・根拠あり対象:過体重・肥満の成人
過体重・肥満の成人が運動すると、運動しない人より内臓脂肪が小さい〜中くらいの幅で減ることが、一貫して示されています。体重があまり減らなくても、内臓脂肪は減る傾向があります。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本
- 試験の内容
- 有酸素運動・HIIT・筋トレ・その組み合わせを数週間〜数か月(多くは食事制限なし)
- 確実性(中心にした解析の著者による評価)
- 中程度
- 根拠にした論文
- メタ分析 5本・ネットワークメタ分析 1本
注意点
根拠にした論文
- 1.
メタ分析・Recchia(2023年)・British Journal of Sports Medicine・40研究・2,190人
過体重・肥満の成人のRCT40件(2190人)。CT・MRIで測った内臓脂肪は、運動で減り(効果量-0.28、小さい)、食事制限でも減った(-0.53)。運動は消費エネルギーが週1000kcal増えるごとに-0.15ずつ減りが大きくなった。多くの研究のバイアスのリスクは中程度。
Dose-response effects of exercise and caloric restriction on visceral adiposity in overweight and obese adults: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials doi:10.1136/bjsports-2022-106304
- 2.
ネットワークメタ分析・Chen(2024年)・Obesity Reviews・84研究・4,836人
過体重・肥満の人のRCT84件(4836人)のネットワーク・メタ分析。中強度以上の有酸素運動・筋トレ・その組み合わせ・HIITのいずれも内臓脂肪を減らした。筋トレの効果は男性と体脂肪率40%未満の人でみられ、女性と40%以上の人ではみられなかった。高強度の有酸素運動とHIITが上位。
Effects of various exercise types on visceral adipose tissue in individuals with overweight and obesity: A systematic review and network meta-analysis of 84 randomized controlled trials doi:10.1111/obr.13666
- 3.
メタ分析・Jayedi(2024年)・JAMA Network Open・116研究・6,880人
過体重・肥満の成人で指導つきの有酸素運動を調べたRCT116件(6880人)。週30分ごとに内臓脂肪の断面積が1.60cm²減った(26件、確実性 高)。皮下脂肪も1.37cm²減った(27件、確実性 中)。
Aerobic Exercise and Weight Loss in Adults: A Systematic Review and Dose-Response Meta-Analysis doi:10.1001/jamanetworkopen.2024.52185
- 4.
メタ分析・Rao(2019年)・Mayo Clinic Proceedings
6か月以上続けたRCTで、CT・MRIで内臓脂肪を測ったもの17件(3602人、運動と薬の試験の合計)。管理された運動で内臓脂肪が減り、標準化平均差は-0.54(中くらい)。減り方は体重の減り方と相関したが、体重の減り方の割に内臓脂肪の減りは運動の方が薬より大きかった。
Effect of Exercise and Pharmacological Interventions on Visceral Adiposity: A Systematic Review and Meta-analysis of Long-term Randomized Controlled Trials doi:10.1016/j.mayocp.2018.09.019
- 5.
メタ分析・Verheggen(2016年)・Obesity Reviews・117研究・4,815人
運動または食事制限で、画像検査で内臓脂肪を測った117研究(4815人、RCTに限らない)。どちらも内臓脂肪が減った。体重は食事制限の方が減ったが、内臓脂肪は運動の方が減る傾向だった。体重が減らない場合でも、運動では内臓脂肪が6.1%減った(食事制限では1.1%)。
A systematic review and meta-analysis on the effects of exercise training versus hypocaloric diet: distinct effects on body weight and visceral adipose tissue doi:10.1111/obr.12406
- 6.
メタ分析・Vissers(2013年)・PLoS ONE・15研究・852人
食事制限なしの運動を調べた15研究(852人)。過体重の成人で内臓脂肪が減った(効果量-0.50、中くらい)。中〜高強度の有酸素運動が最も有望で、12週でもCTで女性30cm²以上、男性40cm²以上減りうると報告。
The effect of exercise on visceral adipose tissue in overweight adults: a systematic review and meta-analysis doi:10.1371/journal.pone.0056415
LDLコレステロールに効く?
Aランク・根拠あり対象:成人(主な解析は心臓病の人を除く。脂質異常症の人に限らない)
有酸素運動や、有酸素運動と筋トレの組み合わせを続けると、運動しない人よりLDLコレステロールが少し下がることが示されています。下がる量は、運動の種類をまとめた平均で約7mg/dLです。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本
- 試験の内容
- 有酸素運動・筋トレ・その組み合わせを3週〜1年(週3回・12週の試験が多い)
- 確実性(中心にした解析の著者による評価)
- 中程度
- 根拠にした論文
- メタ分析 6本
注意点
- 薬との関係:解析[1]の著者は、LDLが115mg/dLの人で運動による低下は約6%と、薬の治療の目標(50%低下)よりずっと小さいとしています。運動と薬の効果が足し合わさるかは調べられていません。
- 筋トレだけの場合:解析[1]では有意差が出ず、筋トレの29件の解析[5]では6.1mg/dL下がりました。
- 持病のある人:解析[3]では、2型糖尿病・高血圧・脂質異常症・メタボリックシンドロームのどれかがある人で11.6mg/dL下がりました。
- 運動の強さと量:解析[2]では、中くらいの強さ(最大心拍数の55〜69%)の試験で12.4mg/dL、週150分以上の試験で8.9mg/dL下がりました。
- 食事:6試験の解析[6]では、食事の改善(有酸素運動との併用を含む)のほうが、有酸素運動だけより下がりました。
根拠にした論文
- 1.
メタ分析・Smart(2025年)・Sports Medicine・148研究・8,673人
心臓病などを除く成人のRCT148件(8673人)。運動しない対照よりLDLが7.22mg/dL低下。有酸素運動と組み合わせで下がり、質の高い試験でも同様。筋トレだけでは有意差なし。27.9%の試験では効果なしと推定(本文)。
The Effect of Exercise Training on Blood Lipids: A Systematic Review and Meta-analysis doi:10.1007/s40279-024-02115-z
- 2.
メタ分析・Igarashi(2019年)・Journal of Atherosclerosis and Thrombosis・25研究・994人
東アジアの健康な成人(平均53.6歳、日本の試験が多い)のRCT25件(994人)。有酸素運動でLDLは4.3mg/dL低かったが有意差なし。中くらいの強さの試験で12.4mg/dL、週150分以上の試験で8.9mg/dL低下(本文)。
Effects of Aerobic Exercise Alone on Lipids in Healthy East Asians: A Systematic Review and Meta-Analysis doi:10.5551/jat.45864
- 3.
メタ分析・Lin(2015年)・Journal of the American Heart Association・160研究・7,487人
心臓病のない成人のRCT160件(7487人)。運動で中性脂肪が下がりHDLが上がった。LDLは全体では有意差なし。2型糖尿病・高血圧・脂質異常症・メタボのどれかがある人では11.6mg/dL低下、ない人では有意差なし(本文)。
Effects of Exercise Training on Cardiorespiratory Fitness and Biomarkers of Cardiometabolic Health: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials doi:10.1161/jaha.115.002014
- 4.
メタ分析・Kelley(2005年)・Preventive Cardiology・1,427人
50歳以上の有酸素運動(28の結果、1427人)。LDLは3.9mg/dL低下(p=0.05)したが、感度分析で有意でなくなった。感度分析後も有意だったのはHDLと総コレステロール/HDL比だけ。
Exercise, Lipids, and Lipoproteins in Older Adults: A Meta-Analysis doi:10.1111/j.0197-3118.2005.03769.x
- 5.
メタ分析・Kelley(2009年)・Preventive Medicine・29研究・1,329人
筋トレ(4週以上)のRCT29件(1329人)。LDL 6.1mg/dL、総コレステロール5.5mg/dL、中性脂肪8.1mg/dLが下がった。HDLは有意差なし。
Impact of progressive resistance training on lipids and lipoproteins in adults: A meta-analysis of randomized controlled trials doi:10.1016/j.ypmed.2008.10.010
- 6.
メタ分析・Kelley(2012年)・Clinical Nutrition・6研究・788人
食事の改善・有酸素運動・その両方・対照を比べたRCT6件(788人)。運動だけで下がったのは中性脂肪だけ。総コレステロールとLDLは、食事の改善やその両方のほうが運動だけより下がった。HDLは有意な変化なし。
Comparison of aerobic exercise, diet or both on lipids and lipoproteins in adults: A meta-analysis of randomized controlled trials doi:10.1016/j.clnu.2011.11.011
中性脂肪に効く?
Aランク・根拠あり対象:成人(主な解析は心臓病の人を除く。脂質異常症の人に限らない)
有酸素運動や、有酸素運動と筋トレの組み合わせを続けると、運動しない人より中性脂肪が少し下がるという結果が、複数の解析で一貫して出ています。下がる量は平均で約8mg/dLで、質の高い試験に絞るとはっきりした差は出ませんでした。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本
- 試験の内容
- 有酸素運動・筋トレ・その組み合わせ・HIIT(高強度インターバル)を3週〜1年(週3回・12週の試験が多い)
- 確実性(中心にした解析の著者による評価)
- 低い
- 根拠にした論文
- メタ分析 6本
注意点
- メタボリックシンドロームの人:要素が3つ以上あり、運動習慣がなく、ほかの慢性疾患がない成人が12週以上の有酸素運動をした解析[3]では、約15〜16mg/dL(換算値)下がりました。
- 試験の質:解析[1]では、200の運動群のうち107がバイアスのリスクが高いと評価され、質の高い試験に絞ると有意差(偶然では説明しにくい差)は出ませんでした。
- 筋トレだけの場合:解析[1]では有意差が出ず、筋トレの29件の解析[5]では8.1mg/dL下がりました。
- 高強度インターバル(HIIT):97件の解析[4]では、0.090mmol/L(約8mg/dL、換算)下がりました。
- 脂質異常症の人:解析[2]では、脂質異常症の人の試験でも14.0mg/dL下がりました。
- 50歳以上:有酸素運動の解析[6]では7.0mg/dL低かったものの、有意差はありませんでした。
根拠にした論文
- 1.
メタ分析・Smart(2025年)・Sports Medicine・148研究・8,673人
心臓病などを除く成人のRCT148件(8673人)。運動しない対照より中性脂肪が8.01mg/dL低下。有酸素運動と組み合わせで下がり、筋トレだけでは有意差なし。質の高い試験に絞ると有意差なし(本文)。
The Effect of Exercise Training on Blood Lipids: A Systematic Review and Meta-analysis doi:10.1007/s40279-024-02115-z
- 2.
メタ分析・Igarashi(2019年)・Journal of Atherosclerosis and Thrombosis・25研究・994人
東アジアの健康な成人(平均53.6歳、日本の試験が多い)のRCT25件(994人)。有酸素運動で中性脂肪が13.7mg/dL低下。脂質異常症の人の試験でも14.0mg/dL低下し、質の低い試験を除いても有意だった(本文)。
Effects of Aerobic Exercise Alone on Lipids in Healthy East Asians: A Systematic Review and Meta-Analysis doi:10.5551/jat.45864
- 3.
メタ分析・Wood(2022年)・British Journal of Sports Medicine・2,990人
メタボリックシンドロームの要素が3つ以上ある、運動習慣のない成人の有酸素運動(12週以上)の解析(2990人)。中性脂肪が0.17〜0.18mmol/L(約15〜16mg/dL)下がり、LDL・総コレステロールも下がり、HDLは上がった。
Determining the effect size of aerobic exercise training on the standard lipid profile in sedentary adults with three or more metabolic syndrome factors: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials doi:10.1136/bjsports-2021-103999
- 4.
メタ分析・Edwards(2023年)・Sports Medicine・97研究・3,399人
一般の人を対象にしたHIITのRCT97件(3399人)。運動しない対照より、中性脂肪が0.090mmol/L(約8mg/dL)下がり、HDLが0.036mmol/L(約1.4mg/dL)上がった。LDLは0.063mmol/L低下(P=0.050)。
High-Intensity Interval Training and Cardiometabolic Health in the General Population: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomised Controlled Trials doi:10.1007/s40279-023-01863-8
- 5.
メタ分析・Kelley(2009年)・Preventive Medicine・29研究・1,329人
筋トレ(4週以上)のRCT29件(1329人)。中性脂肪8.1mg/dL、総コレステロール5.5mg/dL、LDL 6.1mg/dLが下がった。HDLは有意差なし。
Impact of progressive resistance training on lipids and lipoproteins in adults: A meta-analysis of randomized controlled trials doi:10.1016/j.ypmed.2008.10.010
- 6.
メタ分析・Kelley(2005年)・Preventive Cardiology・1,427人
50歳以上の有酸素運動(28の結果、1427人)。中性脂肪は7.0mg/dL低かったが有意差なし(p=0.06)。HDLは2.5mg/dL上がった。
Exercise, Lipids, and Lipoproteins in Older Adults: A Meta-Analysis doi:10.1111/j.0197-3118.2005.03769.x
HDLコレステロールに効く?
Aランク・根拠あり対象:成人(主な解析は心臓病の人を除く。脂質異常症の人に限らない)
有酸素運動を続けると、運動しない人よりHDLコレステロールが少し上がることが示されています。上がる量は平均で約2〜2.5mg/dLです。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本
- 試験の内容
- 有酸素運動・筋トレ・その組み合わせ・HIIT(高強度インターバル)を3週〜1年(週3回・12週の試験が多い)
- 確実性(中心にした解析の著者による評価)
- 中程度
- 根拠にした論文
- メタ分析 6本
注意点
根拠にした論文
- 1.
メタ分析・Smart(2025年)・Sports Medicine・148研究・8,673人
心臓病などを除く成人のRCT148件(8673人)。運動しない対照よりHDLが2.11mg/dL上昇。有酸素運動では試験の質によらず上がったが、組み合わせと筋トレでは質の低い試験に限られた(本文)。
The Effect of Exercise Training on Blood Lipids: A Systematic Review and Meta-analysis doi:10.1007/s40279-024-02115-z
- 2.
メタ分析・Kodama(2007年)・Archives of Internal Medicine・25研究
有酸素運動のRCT25件。HDLは平均2.53mg/dL上がった。上げるのに要る運動量は週120分(週900kcal)程度と推定。1回の時間を10分延ばすごとに約1.4mg/dL多く上がった。運動の頻度や強さとは関係がなかった。
Effect of Aerobic Exercise Training on Serum Levels of High-Density Lipoprotein Cholesterol doi:10.1001/archinte.167.10.999
- 3.
メタ分析・Kelley(2005年)・Preventive Cardiology・1,427人
50歳以上の有酸素運動(28の結果、1427人)。HDLが2.5mg/dL上がり、感度分析でも有意だった。総コレステロールとLDLは感度分析で有意でなくなった。
Exercise, Lipids, and Lipoproteins in Older Adults: A Meta-Analysis doi:10.1111/j.0197-3118.2005.03769.x
- 4.
メタ分析・Igarashi(2019年)・Journal of Atherosclerosis and Thrombosis・25研究・994人
東アジアの健康な成人(平均53.6歳、日本の試験が多い)のRCT25件(994人)。有酸素運動でHDLが2.2mg/dL上がった。週150分以上の試験では3.7mg/dL上がり、150分未満では有意差なし(本文)。
Effects of Aerobic Exercise Alone on Lipids in Healthy East Asians: A Systematic Review and Meta-Analysis doi:10.5551/jat.45864
- 5.
メタ分析・Edwards(2023年)・Sports Medicine・97研究・3,399人
一般の人を対象にしたHIITのRCT97件(3399人)。運動しない対照よりHDLが0.036mmol/L(約1.4mg/dL)上がった(P=0.046)。中性脂肪も下がった。
High-Intensity Interval Training and Cardiometabolic Health in the General Population: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomised Controlled Trials doi:10.1007/s40279-023-01863-8
- 6.
メタ分析・Kelley(2009年)・Preventive Medicine・29研究・1,329人
筋トレ(4週以上)のRCT29件(1329人)。HDLは0.7mg/dL上がったが有意差なし。総コレステロール・LDL・中性脂肪は下がった。
Impact of progressive resistance training on lipids and lipoproteins in adults: A meta-analysis of randomized controlled trials doi:10.1016/j.ypmed.2008.10.010
膝の痛み(変形性膝関節症)に効く?
Bランク・根拠は限定的対象:変形性膝関節症の人
変形性膝関節症の人が運動をすると、偽の治療などを受けた人より膝の痛みが少し軽くなったという結果はありますが、まだはっきりしません。差は実感できる差の目安に届かず、治療なしやふだんの治療と比べた差はもう少し大きいものの、こちらもまだはっきりしません。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文4本
効果の大きさ
コクラン・レビュー(国際的な非営利団体コクランが決まった手順で作るまとめ)では、運動を終えた直後の痛み(0〜100点)が偽の治療などより平均8.70点(信頼区間(結果のぶれの幅)5.70〜11.70点)軽く、実感できる差の目安(12点)に届きませんでした。治療なしなどとは13.14点、ほかの治療への上乗せでは10.43点の差で、確実性は順に低い・低い・中です。
- 試験の内容
- 陸上で行う運動(筋トレ・有酸素運動など。期間は2〜104週間)
- 確実性(中心にした解析の著者による評価)
- 低い
- 根拠にした論文
- コクラン・レビュー 1本・診療ガイドライン 2本・メタ分析 1本
注意点
- ほかの比べ方:治療なしなどとの差は13.14点(確実性は低い)、ほかの治療への上乗せでは10.43点(確実性は中)でした[1]。
- 目安:コクラン・レビュー[1]の12点を使いました。グループの平均の差で、どの比べ方でも臨床的な重要さは不確かとされました。
- 試験の質:ほとんどの試験で参加者は自分が運動のグループだと知っており、多くの試験は偏りのおそれが高いか不明でした[1]。
- 続く期間:膝と股関節の77試験の解析[4]では、効果は2か月ほどが最大で、9〜18か月ではふだんのケアを上回る効果は確認されませんでした。
- 有害事象:偽の治療などと比べて増えるかははっきりせず、治療なしなどと比べると増えた可能性があります(確実性は低い)[1]。
- ガイドライン:国際変形性関節症学会[2]・米国リウマチ学会[3]は運動を勧めています。
格付けの理由
主な比較は、調べ始める前に偽の治療など(注意を向けるだけの対照)に決めました。対照の人も運動以外の関わりや偽の治療を受けるため、サプリのプラセボ(成分の入っていないもの)との比較と並べやすいからです。コクラン・レビュー[1]では、この比較の改善は目安を下回り、確実性は低いとされました。効果がないと示されたのではなく、意味のある差を示せていない段階のため、B(根拠は限定的)としました。
根拠にした論文
- 1.
コクラン・レビュー・Lawford(2024年)・Cochrane Database of Systematic Reviews・139研究・12,468人
変形性膝関節症の人の試験139件(12468人)。運動プログラムを終えた直後の痛み(0〜100点)は、偽の治療などより8.70点(確実性低)、治療なしなどより13.14点(低)、ほかの治療への上乗せで10.43点(中)改善。目安12点に対し臨床的な重要さは不確か。参加者の多くは自分の群を知っていた。
Exercise for osteoarthritis of the knee doi:10.1002/14651858.cd004376.pub4
- 2.
診療ガイドライン・Bannuru(2019年)・Osteoarthritis and Cartilage
国際変形性関節症学会(OARSI)のガイドライン。膝の変形性関節症の中心となる治療を、病気についての教育と、決まった内容の陸上での運動(減量の食事管理の有無を問わない)とした。
OARSI guidelines for the non-surgical management of knee, hip, and polyarticular osteoarthritis doi:10.1016/j.joca.2019.06.011
- 3.
診療ガイドライン・Kolasinski(2020年)・Arthritis & Rheumatology
米国リウマチ学会と関節炎財団のガイドライン。手・股関節・膝の変形性関節症で、運動を強く推奨した(過体重・肥満の膝・股関節の変形性関節症の人の減量、自己管理プログラム、太極拳なども強い推奨)。バランス運動とヨガは条件つきの推奨。
2019 American College of Rheumatology/Arthritis Foundation Guideline for the Management of Osteoarthritis of the Hand, Hip, and Knee doi:10.1002/art.41142
- 4.
メタ分析・Goh(2019年)・Annals of Physical and Rehabilitation Medicine・77研究・6,472人
膝と股関節の変形性関節症のRCT77件(6472人)。ふだんのケアと比べ、8週前後で痛み(効果量0.56)と機能(0.50)が改善。効果は2か月ほどで最大となり、その後小さくなって9〜18か月ではふだんのケアと差がなかった。
Efficacy and potential determinants of exercise therapy in knee and hip osteoarthritis: A systematic review and meta-analysis doi:10.1016/j.rehab.2019.04.006
よく眠れる?(睡眠の質)
Bランク・根拠は限定的対象:成人・高齢者(不眠症や睡眠に悩みのある人を含む)
運動をすると、運動しない人などより、自分で感じる睡眠の質がよくなったという結果が多く出ていますが、まだはっきりしません。睡眠計などで測った睡眠では、改善した指標もありますが、結果は一致していません。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本
- 試験の内容
- 有酸素運動、筋トレ、ヨガ・太極拳などを数週間〜数か月
- 確実性(中心にした解析の著者による評価)
- 低い
- 根拠にした論文
- アンブレラレビュー 1本・メタ分析 4本・ネットワークメタ分析 1本
注意点
- 測り方:改善は主に、質問票で測る主観的な睡眠でみられました。睡眠計の指標では、睡眠効率が少し改善したという解析[2]と、改善がはっきりしなかった解析[3]があり、ほとんどの指標で差ははっきりしていません。
- 期待の影響:運動は参加者に隠せないため、期待の影響が混ざっている可能性があります。
- 試験の質:偏りのおそれが低いと評価された試験は少数でした[3][4]。
- 不眠症の人:不眠症の人では、ヨガ・太極拳・ウォーキングやジョギングが有効とする解析[4]がありますが、ほとんどの結果の確実性は低いものでした。
- ピラティス:RCT6件の解析[6]では、PSQIが運動しない群より3.60点改善しましたが、試験の間のばらつきが非常に大きく、40歳を超える健康な人と閉経後の女性に限ると有意差(偶然では説明しにくい差)はありませんでした。
根拠にした論文
- 1.
アンブレラレビュー・Kline(2021年)・Sleep Medicine Reviews
米国の身体活動ガイドライン諮問委員会のために系統的レビュー等をまとめ更新した包括的レビュー。1回の運動も定期的な運動も睡眠を改善する強い根拠があるとした。成人の年齢層・性別によらず効果が保たれること、不眠の症状や睡眠時無呼吸のある成人での改善は中程度の根拠とした。
Physical activity and sleep: An updated umbrella review of the 2018 Physical Activity Guidelines Advisory Committee report doi:10.1016/j.smrv.2021.101489
- 2.
メタ分析・Xie(2021年)・Frontiers in Psychiatry・22研究
病気のない成人のRCT22件(2か月以上の運動)。自己評価の睡眠の質(PSQI)が2.19点、不眠の重症度(ISI)が1.52点、日中の眠気が2.55点改善。一般的な運動もヨガなどの心身運動も同程度。睡眠計の指標では睡眠効率の向上以外ほとんど差なし。
Effects of Exercise on Sleep Quality and Insomnia in Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials doi:10.3389/fpsyt.2021.664499
- 3.
メタ分析・Banno(2018年)・PeerJ・9研究・557人
不眠症の人のRCT9件(557人)。運動で睡眠の質(PSQI)が2.87点(確実性は低)、不眠の重症度(ISI)が3.22点(非常に低)改善したが、睡眠効率は改善せず(確実性は中)。多くの試験で選択バイアスの危険が高いか不明。
Exercise can improve sleep quality: a systematic review and meta-analysis doi:10.7717/peerj.5172
- 4.
ネットワークメタ分析・Bu(2026年)・BMJ Evidence-Based Medicine・22研究・1,348人
不眠症の成人のRCT22件(1348人)のネットワーク・メタ分析。ヨガで睡眠日誌上の総睡眠時間が増えた可能性が高く(確実性は中)、ウォーキング・ジョギングで不眠の重症度が低下(低)、太極拳でPSQIの改善と睡眠計で測る睡眠時間の増加(低)。バイアスの危険が低い試験は22件中4件。
Effects of various exercise interventions in insomnia patients: a systematic review and network meta-analysis doi:10.1136/bmjebm-2024-113512
- 5.
メタ分析・Xue(2024年)・Sleep Medicine・51研究・5,890人
高齢者のRCT51件(5890人)の用量反応メタ分析。運動量と睡眠の質の関係はJ字型。効果が出始める量は週195メッツ・分(効果量-0.39)、最適は週440メッツ・分(-0.85)。
The best modality and dose of physical activity to improve sleep quality in older adults: A Bayesian dose-response meta-analysis doi:10.1016/j.sleep.2024.08.008
- 6.
メタ分析・Chen(2020年)・Frontiers in Neurology・6研究・477人
RCT6件(477人)。運動しない群よりPSQIが3.60点改善したが、ばらつきが非常に大きい(I2 97%)。睡眠薬の使用には有意差なし。40歳を超えるの健康な人と閉経後の女性に限ると、有意差はなかった。
Effect of Pilates on Sleep Quality: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials doi:10.3389/fneur.2020.00158
死亡リスクは下がる?
Bランク・根拠は限定的対象:高齢者、心臓病やがんの患者(RCT)、一般の成人(観察研究)
一般の高齢者では、運動プログラムに参加しても、活動的なことが多い比べた相手と、死亡にはっきりした差は出ていません。死亡の減少が示されたのはがんの患者で、冠動脈疾患の人でも減る可能性が高いとされています。よく体を動かす人ほど死亡が少ない関係は、ふだんの活動量を調べた研究で一貫しています。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本
効果の大きさ
RCT(くじ引きでグループを分けて比べた試験)では、一般の高齢者で明確な差が出ず、冠動脈疾患の心臓リハビリでは6〜12か月の全死亡が14%減る可能性が高く(境界的)、心不全では明確な差は出ませんでした。がん患者のRCT13件をまとめると26%減り、確実性は中でした。観察研究では歩数の多い人の死亡リスクが約5割低い結果でした。
- 試験の内容
- 運動プログラム・心臓リハビリ・がん治療後の運動(RCT)、日常の身体活動量や歩数(観察研究)
- 根拠にした論文
- メタ分析 2本・コクラン・レビュー 2本・ランダム化比較試験 2本
注意点
- 観察研究:大規模なコホート研究(観察研究)では、身体活動が多い人ほど死亡リスクが低い関係が一貫してみられました。歩数(Paluch 2022)、加速度計で測った活動量(Ekelund 2019)、筋トレ(Momma 2022)でも同様です。ただし、健康な人ほどよく動けるといった影響を除ききれません。
- 結腸がんの試験:手術と補助化学療法を終えた結腸がん患者の大規模RCT[5]での死亡の減少(37%)は、副次的な評価項目の結果です。
- 一般の高齢者の試験:一般の高齢者のRCT[6]は、参加者が元々活動的で、対照群も運動していました。1年以上の運動のRCTをまとめた解析[1]でも、対照群は活動的な場合が多いものでした。
根拠にした論文
- 1.
メタ分析・de Souto Barreto(2019年)・JAMA Internal Medicine・40研究・21,868人
60歳以上を対象に1年以上運動を続けたRCT46件(22709人、うち40件・21868人をメタ分析)。転倒(リスク比0.88)とけがを伴う転倒(0.74)が減り、骨折も減る傾向(0.84、P=0.05)。複数回の転倒・入院・死亡(29件・11441人)には有意差なし。
Association of Long-term Exercise Training With Risk of Falls, Fractures, Hospitalizations, and Mortality in Older Adults: A Systematic Review and Meta-analysis doi:10.1001/jamainternmed.2018.5406
- 2.
コクラン・レビュー・Dibben(2026年)・Cochrane Database of Systematic Reviews・107研究・26,886人
冠動脈疾患の成人のRCT107件(26886人)。運動を中心とした心臓リハビリで、6〜12か月の全死亡が減る可能性が高い(リスク比0.86、95%CI 0.74〜1.00、確実性は中)。心筋梗塞は減り(0.72、高)、入院も減る可能性が高い(0.65、中)。長期では心血管死亡の減少と関連。
Exercise-based cardiac rehabilitation for coronary heart disease doi:10.1002/14651858.cd001800.pub5
- 3.
コクラン・レビュー・Molloy(2023年)・European Journal of Heart Failure・60研究・8,728人
心不全の成人のRCT60件(8728人)の2023年コクラン・レビュー。運動を中心とした心臓リハビリで、短期の全死亡に明確な差はなく(リスク比0.93)、長期も有意差なし(0.87)。入院は減り(0.69)、生活の質は改善。施設・自宅・併用のいずれでも改善がみられた。
Exercise-based cardiac rehabilitation for adults with heart failure - 2023 Cochrane systematic review and meta-analysis doi:10.1002/ejhf.3046
- 4.
メタ分析・Guillermou(2026年)・Cancer Treatment Reviews・13研究・3,282人
がん患者の成人を対象に死亡を報告したRCT13件(3282人)。身体活動の介入で全死亡が26%減少(ハザード比0.74、95%CI 0.63〜0.87、確実性は中)。試験間のばらつきは有意でなく、サブグループでも一貫。
Physical activity reduces all-cause mortality in patients with cancer: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials doi:10.1016/j.ctrv.2026.103122
- 5.
ランダム化比較試験・Courneya(2025年)・New England Journal of Medicine・889人
手術と抗がん剤治療を終えた大腸がん患者889人のRCT。3年間の運動プログラム群は健康教育資料群より無病生存期間が長く(ハザード比0.72)、副次的な評価項目の死亡も少なかった(0.63、8年生存率90.3%対83.2%)。筋骨格系の有害事象は運動群で多かった(18.5%対11.5%)。
Structured Exercise after Adjuvant Chemotherapy for Colon Cancer doi:10.1056/nejmoa2502760
- 6.
ランダム化比較試験・Stensvold(2020年)・BMJ・1,567人
70〜77歳の1567人のRCT(ノルウェー)。週2回の指導つき運動(高強度インターバルまたは中強度持続運動)を5年間続けた群と、国の推奨に沿って活動した対照群で全死亡に差なし(対照群の死亡4.7%、高強度でハザード比0.63、中強度1.24、いずれも有意差なし)。参加者の多くは元々活動的だった。
Effect of exercise training for five years on all cause mortality in older adults-the Generation 100 study: randomised controlled trial doi:10.1136/bmj.m3485
ストレス・不安(ヨガ)に効く?
Bランク・根拠は限定的対象:ストレスや不安が強い成人(不安症と診断された人を含む)
ヨガをすると、何もしない人より短期的にストレスや不安が軽くなったという結果はありますが、まだはっきりしません。約4か月後のストレスはほかの活動をした人の方がややよく、不安症と診断された人での効果も、解析によって一致していません。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文5本
- 試験の内容
- ヨガ(ポーズ・呼吸法・瞑想など)を数週間〜数か月
- 確実性(中心にした解析の著者による評価)
- 低い
- 根拠にした論文
- メタ分析 4本・ランダム化比較試験 1本
注意点
根拠にした論文
- 1.
メタ分析・Schleinzer(2024年)・Frontiers in Psychiatry・9研究
ストレスの強い一般の成人のRCT13件(1026人、うち9件を統合)。何もしない対照と比べ短期的にストレスが軽減(標準化平均差-0.69、確実性は低)。約4か月後はほかの活動をした対照の方がよかった(0.23、2件、低)。生活の質は短期的に改善(0.86、中)。
Effects of yoga on stress in stressed adults: a systematic review and meta-analysis doi:10.3389/fpsyt.2024.1437902
- 2.
メタ分析・Rhoads(2025年)・Health Psychology Review・36研究
知覚ストレス尺度を測ったヨガの36研究のメタ分析。ストレスが中程度に軽減(効果量0.48)したが、研究間のばらつきは大きい。ストレスの強さによって効果が変わり、呼吸法やリラクゼーションの有無、練習時間などでは有意差がなかった。
Yoga as an intervention for stress: a meta-analysis doi:10.1080/17437199.2024.2420974
- 3.
メタ分析・Cramer(2018年)・Depression and Anxiety・8研究・319人
不安症または不安の強い人のRCT8件(319人)。何もしない場合と比べ短期的に不安が小さく軽減(標準化平均差-0.43)。正式な診断基準で不安症と診断された人では有意な効果なし、不安が強いが診断のない人などで効果あり。
Yoga for anxiety: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials doi:10.1002/da.22762
- 4.
メタ分析・Martínez-Calderon(2023年)・British Journal of Sports Medicine・23研究・1,420人
不安症・うつ病の成人を対象に気功・太極拳・ヨガを調べたRCT23件(1420人)。ヨガは不安症の不安症状と、うつ病のうつ症状を対照より改善したが、すべての結果で確実性は「非常に低い」。ヨガの内容や評価尺度はばらばら。
Yoga-based interventions may reduce anxiety symptoms in anxiety disorders and depression symptoms in depressive disorders: a systematic review with meta-analysis and meta-regression doi:10.1136/bjsports-2022-106497
- 5.
ランダム化比較試験・Simon(2021年)・JAMA Psychiatry・226人
全般性不安症の成人226人のRCT(12回の集団セッション+毎日の自宅練習)。12週後の改善率はヨガ54.2%で、ストレス教育(33.0%)より高かった。認知行動療法(70.8%)と同等とは示せず、著者は認知行動療法を第一選択とすべきとした。
Efficacy of Yoga vs Cognitive Behavioral Therapy vs Stress Education for the Treatment of Generalized Anxiety Disorder: A Randomized Clinical Trial doi:10.1001/jamapsychiatry.2020.2496
疲れがとれる?
Bランク・根拠は限定的対象:病気のない成人(座りがちな人・日常的に疲れを感じる人・高齢者)
運動を数週間以上続けると、運動しない人などより疲れた感じが少し減り、活力が少し増えたという結果はありますが、まだはっきりしません。病気のない人だけを調べた結果は少なく、はっきりしていません。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文5本
- 試験の内容
- ウォーキングなどの有酸素運動、筋トレ、ヨガ・太極拳などを週1回以上、数週間〜数か月続ける
- 確実性(中心にした解析の著者による評価)
- 低い
- 根拠にした論文
- メタ分析 4本・ランダム化比較試験 1本
注意点
- 対象者:解析[1]で活力を調べた効果90件のうち、病気のない人は13件でした。病気のない人の活力の効果量は0.66で、病気のある人の0.30〜0.61と大きくは違いませんでした。疲れた感じでは、病気のない人だけの結果は示されていません。
- 期待の影響:運動は参加者に隠せないため、期待の影響が混ざるおそれがあります。プラセボ条件を置いて運動だけを調べた試験では、効果がみられなかったという解析[2]があります。
- 運動の強さ:解析[1]では、軽い運動で疲れた感じにはっきりした差は出ませんでした(効果6件で不確か)。一方、病気がなく座りがちで疲れが続く若い成人36人の試験[4]では、6週間の軽い運動のほうがよく減りました。
根拠にした論文
- 1.
メタ分析・Wender(2022年)・Frontiers in Psychology・81研究・7,050人
健康な人と病気のある人のRCT81件(7050人)。運動で疲れた感じが減り(効果量-0.37)、活力(energy 0.42、vitality 0.54)が増えた。確実性は中。病気のない人の活力は0.66。疲れは中くらいの強さで減り、軽い運動では差が出なかった。
The Effect of Chronic Exercise on Energy and Fatigue States: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Trials doi:10.3389/fpsyg.2022.907637
- 2.
メタ分析・Puetz(2006年)・Psychological Bulletin
続けた運動で、対照より活力が増え疲れた感じが減った(効果量0.37)。ただし、プラセボ条件をおいて運動だけを調べた試験では効果がみられなかった。高齢者や心理的な苦痛のある人では、プラセボ条件自体で改善することがある。
Effects of chronic exercise on feelings of energy and fatigue: a quantitative synthesis. doi:10.1037/0033-2909.132.6.866
- 3.
メタ分析・Sivaramakrishnan(2019年)・International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity・22研究
特定の病気で集めていない高齢者(平均60歳以上)のRCT22件。運動しない対照と比べ、ヨガで活力が少し改善(3件・196人、効果量0.31)。疲れた感じを測った試験は1件だけで、まとめられていない。
The effects of yoga compared to active and inactive controls on physical function and health related quality of life in older adults- systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials doi:10.1186/s12966-019-0789-2
- 4.
ランダム化比較試験・Puetz(2008年)・Psychotherapy and Psychosomatics・36人
疲れが続く、病気のない座りがちな若い成人36人のRCT。中くらいの強さか軽い有酸素運動を週3回6週間、または何もしない群に分けた。活力はどちらの運動でも同じくらい増え、疲れた感じは軽い運動のほうがよく減った。
A randomized controlled trial of the effect of aerobic exercise training on feelings of energy and fatigue in sedentary young adults with persistent fatigue. doi:10.1159/000116610
- 5.
メタ分析・Xiang(2017年)・PLOS ONE・10研究・689人
がん・多発性硬化症などの人と、加齢による疲れの人のRCT10件(689人)。全体では太極拳で疲れが減った(-0.45)。加齢による疲れでは、はっきりした差は出なかった(-0.77、95%信頼区間-1.78〜0.24)。
Does Tai Chi relieve fatigue? A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials doi:10.1371/journal.pone.0174872
総コレステロールに効く?
Bランク・根拠は限定的対象:成人(主な解析は心臓病の人を除く。脂質異常症の人に限らない)
有酸素運動や、有酸素運動と筋トレの組み合わせを続けると、運動しない人より総コレステロールが少し下がるという結果はありますが、まだはっきりしません。下がる量は、運動の種類をまとめた平均で約6mg/dLです。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本
- 試験の内容
- 有酸素運動・筋トレ・その組み合わせを3週〜1年(週3回・12週の試験が多い)
- 確実性(中心にした解析の著者による評価)
- 低い
- 根拠にした論文
- メタ分析 6本
注意点
- 組み合わせの運動:解析[1]では、有酸素運動と筋トレの組み合わせで最も大きく下がりましたが、有酸素運動だけとの差は有意ではありませんでした。
- 運動の回数:解析[1]では、有酸素運動を週1回増やすごとに7.68mg/dL多く下がると推定されました。
- 持病のある人:解析[2]では、2型糖尿病・高血圧・脂質異常症・メタボリックシンドロームのどれかがある人の試験で11.2mg/dL下がりました。
- 筋トレだけの場合:解析[1]では有意差(偶然では説明しにくい差)が出ず、筋トレの29件の解析[5]では5.5mg/dL下がりました。
- 食事:6試験の解析[6]では、食事の改善(有酸素運動との併用を含む)のほうが、有酸素運動だけより下がりました。
根拠にした論文
- 1.
メタ分析・Smart(2025年)・Sports Medicine・148研究・8,673人
心臓病などを除く成人のRCT148件(8673人)。総コレステロールが5.90mg/dL低下。有酸素運動を週1回増やすごとに7.68mg/dL多く低下と推定。筋トレだけでは有意差なし。質の高い試験に絞ると有意差なし(本文)。
The Effect of Exercise Training on Blood Lipids: A Systematic Review and Meta-analysis doi:10.1007/s40279-024-02115-z
- 2.
メタ分析・Lin(2015年)・Journal of the American Heart Association・160研究・7,487人
心臓病のない成人のRCT160件(7487人)。総コレステロールは全体では有意差なし。2型糖尿病・高血圧・脂質異常症・メタボのどれかがある人の試験では11.2mg/dL下がり、ない人では有意差なし(本文)。
Effects of Exercise Training on Cardiorespiratory Fitness and Biomarkers of Cardiometabolic Health: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials doi:10.1161/jaha.115.002014
- 3.
メタ分析・Igarashi(2019年)・Journal of Atherosclerosis and Thrombosis・25研究・994人
東アジアの健康な成人(平均53.6歳、日本の試験が多い)のRCT25件(994人)。有酸素運動で総コレステロールが5.8mg/dL下がったが、試験間のばらつきが大きく、出版バイアスの疑いがある(本文)。
Effects of Aerobic Exercise Alone on Lipids in Healthy East Asians: A Systematic Review and Meta-Analysis doi:10.5551/jat.45864
- 4.
メタ分析・Kelley(2005年)・Preventive Cardiology・1,427人
50歳以上の有酸素運動(28の結果、1427人)。総コレステロールは3.3mg/dL低下(p=0.05)したが、感度分析で有意でなくなった。
Exercise, Lipids, and Lipoproteins in Older Adults: A Meta-Analysis doi:10.1111/j.0197-3118.2005.03769.x
- 5.
メタ分析・Kelley(2009年)・Preventive Medicine・29研究・1,329人
筋トレ(4週以上)のRCT29件(1329人)。総コレステロール5.5mg/dL、LDL 6.1mg/dL、中性脂肪8.1mg/dLが下がった。HDLは有意差なし。
Impact of progressive resistance training on lipids and lipoproteins in adults: A meta-analysis of randomized controlled trials doi:10.1016/j.ypmed.2008.10.010
- 6.
メタ分析・Kelley(2012年)・Clinical Nutrition・6研究・788人
食事の改善・有酸素運動・その両方・対照を比べたRCT6件(788人)。運動だけで下がったのは中性脂肪だけ。総コレステロールとLDLは、食事の改善やその両方のほうが運動だけより下がった。
Comparison of aerobic exercise, diet or both on lipids and lipoproteins in adults: A meta-analysis of randomized controlled trials doi:10.1016/j.clnu.2011.11.011