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えびらぼ

ビタミンEは心血管疾患・がんの予防に効果なし?

ビタミンE(α-トコフェロール、トコフェロール)論文6本で格付け2026-10-04 更新

結論

健康な中高年がビタミンEのサプリを飲んでも、心臓病やがんはほとんど減りません。

  • 米国予防医学専門委員会は、予防に使わないよう勧めている
  • 男性の大きな試験では、前立腺がんが17%増えた
  • 出血性脳卒中が増えたという試験もある

効くと言われていること

論文では

S〜D の決め方は格付けの決め方

飲む前に:公的機関の注意があります

飲む前に知っておくこと

ワルファリンなど血液を固まりにくくする薬を飲んでいる人や、がんの化学療法・放射線療法を受けている人は、飲む前に医師に相談してください。厚生労働省の情報サイト(eJIM)によると、ビタミンEを多くとってこうした薬と一緒に使うと、出血しやすくなる可能性があります。がんの化学療法・放射線療法中は抗酸化サプリを使わないよう、腫瘍内科医が忠告していることも載っています(出典: ejim.mhlw.go.jp)。米国予防医学専門委員会は、予防のために使うことに反対する勧告を出しています。

よくある質問

やめてもいい?

心血管疾患・がんの予防を目的に飲んでいる場合は、続けることを支持するはっきりした結果はありません(格付けはD)。

ただし、医師に勧められて飲んでいる人、薬を飲んでいる人、検査で不足を指摘された人は、自分の判断でやめずに、医師か薬剤師に相談してください。続ける場合は、このページの「飲む前に知っておくこと」(公的機関の注意情報)を先に読んでください。

飲んで効いた気がするのはなぜ?

成分を含まないもの(プラセボ)を飲んだ人でも、体調が良くなったと感じることはよくあります。飲んでいるという安心感や期待で、感じ方が変わるためです。体調にはもともと波があるので、つらい時期に飲み始めると、自然に戻った分まで効いたように感じることもあります。えびらぼでは、こうした分を差し引けるように、成分を含まないものと比べた試験の結果を重視して格付けしています。

形や量が違えば効く?

格付けは、試験で使われた形と量での結果です。

  • 心血管疾患・がんの予防:ビタミンE 400〜600IUを毎日〜1日おき、数年〜10年

これと違う形や量で効くかどうかは、その形や量で試した試験が無いと分かりません。吸収が良いことと、体に効果が出ることは別で、試験で確かめる必要があります。

効いたという論文もあるのでは?

1件の試験では、偶然や試験のやり方の偏りで、良い結果が出ることがあります。このページでは6件の論文を読み、そのうち2件は複数の試験をまとめた研究です。格付けは、試験どうしで結果が一致するかと、試験の質で決めています(格付けの決め方)。効いたという試験があっても、ほかの試験と合わせると、はっきりした差が出ないことがあります。

効果ごとの論文の中身

D

心臓や血管の病気・がんを防ぐ?

Dランク・効かないという根拠対象:健康な中高年の成人(一部の試験は血管の病気や糖尿病のある人)

ビタミンEのサプリを飲んでも、心臓病・脳卒中・がん・死亡はほとんど減らないことが示されています。米国予防医学専門委員会は、心臓や血管の病気やがんの予防には使わないよう勧告しています。

注意点

  • 前立腺がん:男性3万5000人の試験(SELECT)[5]では、合成型のビタミンE 400IU/日を単独で飲んだグループで、プラセボ(成分の入っていないもの)より前立腺がんが17%増えたという害が報告されています。
  • 出血性脳卒中:男性医師の試験[4]では、ビタミンE 400IUを1日おきに平均8年飲んだグループで、プラセボより出血性脳卒中が増えました。
  • 死亡:質の高い試験に限った統合[6]では、ビタミンEで死亡がわずかに増えました。ほかのビタミン・ミネラルなどと併用した試験も含む結果です。
  • 心血管死:女性の試験[3]では心血管死だけが減りましたが、主要な心血管イベント・がん・総死亡には有意差(偶然では説明しにくい差)はありませんでした。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本・ほかの成分と運動

効果の大きさ

試験をまとめた研究[1]で、プラセボと比べた起こりやすさの比(オッズ比)は、心血管疾患が0.96、がんの発生が1.02、総死亡が1.02でした。いずれもはっきりした差は出ませんでした。

試験の内容
ビタミンE 400〜600IUを毎日〜1日おき、数年〜10年
確実性(中心にした解析の著者による評価)
中程度
根拠にした論文
系統的レビュー 1本・診療ガイドライン 1本・ランダム化比較試験 3本・コクラン・レビュー 1本

格付けの理由

米国予防医学専門委員会の系統的レビュー(関係する研究をもれなく集めて評価した研究)[1]では、心血管疾患(4試験・62,136人)、がん(5試験・76,777人)、総死亡(9試験・107,772人)に有意差はありませんでした。同委員会は『正味の利益なし』(確実性は中程度)として、使用しないよう勧告しました[2]。約4万人の女性の試験(WHS)[3]や男性医師の試験(PHS II)[4]も同様の結果だったため、D(効かないという根拠)としました。

根拠にした論文

  1. 1.

    系統的レビュー・O’Connor(2022年)・JAMA・84研究

    米国予防医学専門委員会のための系統的レビュー(全84研究)。ビタミンEは総死亡(オッズ比1.02、9試験・107,772人)、心血管疾患(0.96、4試験・62,136人)、がんの発生(1.02、5試験・76,777人)と関連せず。出血性脳卒中のリスク上昇を示す限られた根拠あり。

    Vitamin and Mineral Supplements for the Primary Prevention of Cardiovascular Disease and Cancer: Updated Evidence Report and Systematic Review for the US Preventive Services Task Force doi:10.1001/jama.2021.15650

  2. 2.

    診療ガイドライン・米国予防医療専門委員会(2022年)・JAMA

    米国予防医学専門委員会は、心血管疾患・がんの予防にビタミンEのサプリを使う正味の利益はないと中程度の確実性で結論し、この目的で使わないよう勧告(D推奨)。

    Vitamin, Mineral, and Multivitamin Supplementation to Prevent Cardiovascular Disease and Cancer: US Preventive Services Task Force Recommendation Statement doi:10.1001/jama.2022.8970

  3. 3.

    ランダム化比較試験・Lee(2005年)・JAMA・39,876人

    45歳以上の健康な米国女性39,876人を平均10.1年追跡したRCT。天然型ビタミンE 600IUを1日おきに飲んでも、主要な心血管イベント(相対リスク0.93)、がん(1.01)、総死亡(1.04)は減らなかった。心血管死のみ減少(0.76)。

    Vitamin E in the Primary Prevention of Cardiovascular Disease and Cancer: The Women's Health Study: A Randomized Controlled Trial doi:10.1001/jama.294.1.56

  4. 4.

    ランダム化比較試験・Sesso(2008年)・JAMA・14,641人

    50歳以上の米国男性医師14,641人を平均8年追跡したRCT。ビタミンE 400IUを1日おきに飲んでも主要な心血管イベント(ハザード比1.01)や総死亡は変わらず、出血性脳卒中が増えた(1.74)。

    Vitamins E and C in the Prevention of Cardiovascular Disease in Men: The Physicians' Health Study II Randomized Controlled Trial doi:10.1001/jama.2008.600

  5. 5.

    ランダム化比較試験・Klein(2011年)・JAMA・34,887人

    比較的健康な男性34,887人のRCT(SELECT)の長期追跡。ビタミンE 400IU/日でプラセボより前立腺がんが有意に増えた(ハザード比1.17、99%CI 1.004〜1.36)。1000人年あたり1.6人の増加。

    Vitamin E and the Risk of Prostate Cancer: The Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial (SELECT) doi:10.1001/jama.2011.1437

  6. 6.

    コクラン・レビュー・Bjelakovic(2012年)・Cochrane Database of Systematic Reviews・46研究・171,244人

    抗酸化サプリのコクランレビュー(全78試験)。バイアスの低い試験では、ビタミンEで死亡がわずかに増えた(46試験、相対リスク1.03、95%CI 1.00〜1.05)。著者は、病気の予防に抗酸化サプリを勧める根拠はないと結論。

    Antioxidant supplements for prevention of mortality in healthy participants and patients with various diseases doi:10.1002/14651858.cd007176.pub2

このページについて

サプリの広告や販売リンクは載せていません。専門家の監修は受けていません。格付けは格付けの決め方に沿って、論文の結果から決めています。最終更新日は2026-10-04です。誤りに気づいたら誤りを知らせるから送ってください。

このページの言葉
プラセボ
見た目は同じで、調べている成分を含まないもの。「飲んだ」という思い込みや、自然に良くなる分を差し引くために、比べる相手として使います。
ランダム化比較試験(RCT)
参加者を、くじ引きのような偶然でグループに分けて、たとえば成分を飲むグループとプラセボを飲むグループの結果を比べる試験。分け方の偏りが結果に混ざりにくい方法です。
メタ分析・統合
同じテーマの試験の結果を集めて、まとめて計算し直した研究。1つの試験より、偶然に左右されにくくなります。
系統的レビュー
決めた手順で、関係する研究をもれなく集めて評価した研究。メタ分析を含むことが多いです。
コクラン・レビュー
国際的な非営利の団体コクランが、決まった手順で作る系統的レビュー。利害関係のある企業からの資金は受けない決まりで作られます。
確実性
結果がどのくらい確かかについて、解析した研究者が付けた評価(高・中・低・非常に低)。低いほど、今後の研究で結果が変わる可能性が高いことを表します。
有意差
偶然だけでは説明しにくい差があること。差が大きいという意味ではありません。
95%信頼区間(95%CI)
結果の数字のぶれの幅。本当の値がおそらく入っている範囲の目安です。差の範囲が 0(比の場合は 1)をまたぐときは、差がない可能性を否定できません。
リスク比(相対リスク)・率比
起きた人の割合を2つのグループで比べた比。率比は、観察した人数と期間をそろえた起きる頻度(たとえば100人が1年あたりに起こす回数)の比。どちらも 1 なら差がなく、0.8 なら2割少ないことを表します。
オッズ比
「起きた人と起きなかった人の比」を2つのグループで比べた比。1 なら差がなく、1 より小さいほど起きにくいことを表します。起きる人が多いことがらでは、起きた人の割合の比とは大きく違うことがあるので、オッズ比 0.5 を「半分になった」とは読めません。
eJIM
厚生労働省の「『統合医療』に係る情報発信等推進事業」のサイト。サプリなどについて、海外の公的機関の情報を翻訳して載せています。

運動の効果も同じ基準で格付けしています

運動は19項目中4項目がSでした

掲載した項目の内訳Sの割合
サプリ119項目
3%
運動19項目
21%

S(根拠が強い)は、サプリが119項目中4項目、運動が19項目中4項目でした。運動のSは筋力・筋量(筋トレ)、血圧、血糖値、転倒の予防です。サプリと運動では調べた効果や対象者が違うため、同じ目的で直接比べた結果ではありません。

運動のTier表を見る

ほかの成分の格付け(Tier表)