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えびらぼ

DHA・EPAに効果はある?

DHA・EPA(魚油)(オメガ3脂肪酸、フィッシュオイル、EPA、DHA)論文20本で格付け2026-10-04 更新

結論

中性脂肪は下がりますが、心臓の病気や認知症はほとんど防げません。

  • 1日1gで約19mg/dL下がり、量が多いほどよく下がる
  • 心筋梗塞や脳卒中は、16万人規模の研究でもほとんど減らなかった
  • 軽度認知障害の人では、少し良くなったという結果もある

効くと言われていること

論文では

S〜D の決め方は格付けの決め方

飲む前に:公的機関の注意があります

運動の格付けと並べると

中性脂肪は、運動で少し下がります

運動の格付け:A(根拠あり)

対象:成人(主な解析は心臓病の人を除く。脂質異常症の人に限らない)

運動を続けると、LDLコレステロールと中性脂肪が少し下がり、HDLコレステロールが少し上がることが示されています。下がる量は、LDLで平均約7mg/dL、中性脂肪で約8mg/dLです。

コレステロールを下げる運動とサプリの格付けを見る

飲む前に知っておくこと

血液の固まり方に影響する薬を飲んでいる人や、魚介類アレルギーの人は、使う前に医師などに相談してください。厚生労働省の情報サイト(eJIM)がそう勧めていて、そうした薬と影響し合う可能性があることや、副作用はふつう軽いこと(いやな味・胸やけ・吐き気・下痢など)も説明しています(出典: ejim.mhlw.go.jp)。心臓や血管の大規模な試験をまとめた解析では、心房細動(不整脈の一種)が増えました(出典: doi.org)。

機能性表示食品として売られているとき

DHA・EPAを機能性関与成分とする機能性表示食品の届出があります(2026年10月3日時点)。国が1つずつ審査した食品ではなく、届出の根拠はこのページの格付けとは別のものです。表示を見るときに確かめること
国の審査
機能性表示食品は、事業者が科学的根拠などを消費者庁に届け出て、機能を表示する食品です。国が1つずつ審査した食品ではありません。パッケージには「本品は、特定保健用食品と異なり、機能性及び安全性について国による評価を受けたものではありません。届け出られた科学的根拠等の情報は消費者庁のウェブサイトで確認できます。」と書くことが決められています。
届出番号
パッケージの「届出番号」を消費者庁の届出データベースに入れると、届け出た事業者が書いた、安全性と機能性の根拠の要約を見られます。
「報告されています」
消費者庁の手引きは、根拠がその商品(最終製品)を使った臨床試験か、論文を集めて評価した研究レビューかが分かる表現にするよう求めています。研究レビューが根拠のときは、商品についてのレビューでも成分についてのレビューでも「報告されている」ことが分かる表現にし、例として「〜の機能があることが報告されています」を挙げています。最終製品を使った臨床試験で根拠を説明するときの例は「〜の機能があります」です。成分についての研究レビューが根拠のときは、その商品自体に機能があるという根拠ではないことが分かる表現にするとしています。
量
パッケージには、1日あたりの摂取目安量と、その量に含まれる機能性関与成分の量が書かれています。このページの試験で使われた量と比べてください。
  • 中性脂肪:EPA・DHAを1日1〜4g(量が多いほど効果が大きい)
  • 心血管イベントの予防:EPA・DHAサプリ(多くは1日約1g)を数年
  • 認知機能・記憶(健康な人):EPA・DHAを1日数百mg〜2g程度を6か月〜数年
  • 認知機能(軽度認知障害):DHA単独またはDHA+EPAを1日1〜2g程度を6か月〜2年
薬
薬を飲んでいる人は、医師か薬剤師に相談してから使ってください。パッケージにも、この注意を書くことが決められています。
この欄の出典

よくある質問

薬と一緒に飲んでいい?

血液の固まりやすさに影響する薬を飲んでいる人は、飲む前に医師か薬剤師に相談してください。厚生労働省の統合医療情報サイトeJIM(米国NCCIHの情報の翻訳)は、オメガ3のサプリが、血液の凝固に影響する薬と相互作用する可能性があると説明しています。そうした薬を飲んでいる人と、魚や甲殻類にアレルギーがある人は、使う前に医療者に相談すべきとしています。

ほかの薬を飲んでいる人も、医師か薬剤師に相談してください。

やめてもいい?

根拠があるのは次の効果です。この目的で飲んでいて、対象に当てはまるなら、続ける理由があります。

  • 中性脂肪はS(根拠が強い)。対象は成人(中性脂肪が高い人ほど下がり幅が大きい)

心血管イベントの予防、認知機能・記憶(健康な人)、認知機能(軽度認知障害)を目的に飲んでいる場合は、続けることを支持するはっきりした結果はありません(格付けはD・D・B)。

ただし、医師に勧められて飲んでいる人、薬を飲んでいる人、検査で不足を指摘された人は、自分の判断でやめずに、医師か薬剤師に相談してください。続ける場合は、このページの「飲む前に知っておくこと」(公的機関の注意情報)を先に読んでください。

飲んで効いた気がするのはなぜ?

成分を含まないもの(プラセボ)を飲んだ人でも、体調が良くなったと感じることはよくあります。飲んでいるという安心感や期待で、感じ方が変わるためです。体調にはもともと波があるので、つらい時期に飲み始めると、自然に戻った分まで効いたように感じることもあります。えびらぼでは、こうした分を差し引けるように、成分を含まないものと比べた試験の結果を重視して格付けしています。

形や量が違えば効く?

格付けは、試験で使われた形と量での結果です。

  • 中性脂肪:EPA・DHAを1日1〜4g(量が多いほど効果が大きい)
  • 心血管イベントの予防:EPA・DHAサプリ(多くは1日約1g)を数年
  • 認知機能・記憶(健康な人):EPA・DHAを1日数百mg〜2g程度を6か月〜数年
  • 認知機能(軽度認知障害):DHA単独またはDHA+EPAを1日1〜2g程度を6か月〜2年

これと違う形や量で効くかどうかは、その形や量で試した試験が無いと分かりません。吸収が良いことと、体に効果が出ることは別で、試験で確かめる必要があります。

効いたという論文もあるのでは?

1件の試験では、偶然や試験のやり方の偏りで、良い結果が出ることがあります。このページでは20件の論文を読み、そのうち14件は複数の試験をまとめた研究です。格付けは、試験どうしで結果が一致するかと、試験の質で決めています(格付けの決め方)。効いたという試験があっても、ほかの試験と合わせると、はっきりした差が出ないことがあります。

効果ごとの論文の中身

S

中性脂肪に効く?

Sランク・根拠が強い対象:成人(中性脂肪が高い人ほど下がり幅が大きい)

EPA・DHAを飲むと、血液中の中性脂肪が全体で約15%下がることが確かめられています。量が多いほどよく下がり、一般的なサプリの量に近い1日1gでは約19mg/dLでした。

くわしく効果の大きさ・注意点・論文4本・ほかの成分と運動

効果の大きさ

プラセボ(成分の入っていないもの)やふだんの食事と比べ、中性脂肪は全体で約15%下がりました(確実性は高)。用量別の解析[2]では、1日1gで約19mg/dL、2gで約43mg/dL、3gで約69mg/dL下がりました。中性脂肪が非常に高い人では、医薬品のEPA+DHA製剤1日4gで30%以上下がります[3]。

試験の内容
EPA・DHAを1日1〜4g(量が多いほど効果が大きい)
確実性(中心にした解析の著者による評価)
高い
根拠にした論文
コクラン・レビュー 1本・メタ分析 2本・学会の見解 1本

注意点

  • 元の値:下がり幅は用量と元の中性脂肪値で大きく変わります。脂質異常症でない人では、下がり幅が一定以上は大きくなりません[2]。
  • サプリの量:一般的なサプリは1日1g前後で、研究で大きな効果が出た1日2〜4gより少ない量です。
  • 医薬品との違い:中性脂肪の治療に使う高用量のEPA・DHAは医薬品で、サプリとは組成が異なります(厚労省eJIM(厚生労働省の「統合医療」情報サイト))。
  • LDLコレステロール:1日2gを超えると、LDLコレステロールがやや上がることがあります[2]。
  • 心血管の病気:中性脂肪が下がっても、心血管の病気が減るとは限りません。

格付けの理由

86件のRCT(くじ引きでグループを分けて比べた試験)をまとめたコクラン・レビュー(国際的な非営利団体コクランが決まった手順で作るまとめ)[1]では、中性脂肪が用量に応じて下がりました(確実性は高)。90件のRCT(72,598人)の用量反応解析[2]でも、ほぼ直線的に下がりました。米国心臓協会[3]は、中性脂肪が非常に高い人では医薬品のEPA+DHA製剤1日4gで30%以上下がるとしています。効果が大きく一貫しているため、S(根拠が強い)としました。

根拠にした論文

  1. 1.

    コクラン・レビュー・Abdelhamid(2020年)・Cochrane Database of Systematic Reviews・86研究・162,796人

    86件のRCT(162,796人)のコクランレビュー。EPA・DHAなどの長鎖オメガ3を増やすと中性脂肪が用量に応じて約15%低下(確実性は高)。他の脂質・体脂肪・血圧にはほとんど影響なし。

    Omega-3 fatty acids for the primary and secondary prevention of cardiovascular disease. doi:10.1002/14651858.cd003177.pub5

  2. 2.

    メタ分析・Wang(2023年)・Journal of the American Heart Association・90研究・72,598人

    90件のRCT(72,598人)の用量反応メタ分析。EPA+DHAの量に応じて中性脂肪がほぼ直線的に低下し、推定の平均変化は1g/日で-19.21、2g/日で-42.61、3g/日で-68.90mg/dL(本文の表)。脂質異常症の人でより大きく、2g/日超でLDLがやや上昇。

    Association Between Omega-3 Fatty Acid Intake and Dyslipidemia: A Continuous Dose-Response Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. doi:10.1161/jaha.123.029512

  3. 3.

    学会の見解・Skulas-Ray(2019年)・Circulation

    米国心臓協会の科学的勧告。中性脂肪が非常に高い人では、1日4gのEPA+DHA製剤で中性脂肪が30%以上下がる。処方薬のオメガ3(1日4g)は単独でも他の脂質低下薬との併用でも有効で安全な選択肢とした。

    Omega-3 Fatty Acids for the Management of Hypertriglyceridemia: A Science Advisory From the American Heart Association. doi:10.1161/cir.0000000000000709

  4. 4.

    メタ分析・Negm(2026年)・Nutrition, Metabolism and Cardiovascular Diseases・10研究・633人

    虚血性心疾患の患者の10件のRCT(633人、EPA+DHA 1〜4g/日)のメタ分析。中性脂肪が17.53mg/dL低下し、LDLも低下。ばらつきは小さく、中性脂肪の確実性は中。

    Effect of omega-3 supplementation vs. placebo on blood lipid levels in patients with ischemic heart disease: a systematic review and meta-analysis. doi:10.1016/j.numecd.2026.104765

D

心臓や血管の病気を防ぐ?(心血管イベント)

Dランク・効かないという根拠対象:一般の成人〜心血管リスクの高い人(主に1日1g前後)

魚油のサプリを飲んでも、心筋梗塞や脳卒中など心臓や血管の病気は、全体としてほとんど減らないことが確かめられています。心筋梗塞などがわずかに減るとする解析もありますが、効果はごく小さいです。

注意点

  • 心筋梗塞・冠動脈疾患:心筋梗塞や冠動脈疾患が5〜13%程度減るとする解析もあります[5][6]。
  • 医薬品の高用量EPA:中性脂肪が高く、スタチンを飲んでいる心血管リスクの高い人で、医薬品の高用量EPA(1日4g)により心血管イベントが25%減った試験があります(REDUCE-IT)。高用量EPA+DHAの試験では、有意差(偶然では説明しにくい差)はありませんでした(STRENGTH)。日本の高コレステロール患者では、EPA製剤で冠動脈イベントが減りました(JELIS)。これらは医薬品の結果で、サプリには当てはまりません。
  • 心房細動:心血管の大規模な試験をまとめた解析では、心房細動が増えました(Gencer 2021)。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本・ほかの成分と運動

効果の大きさ

プラセボ(成分の入っていないもの)などと比べた心血管イベント全体のリスク比は0.96(95%信頼区間(結果のぶれの幅)0.92〜1.01、確実性は高)で、ほぼ差がありませんでした。冠動脈疾患による死亡はわずかに減るという結果がありますが、1人減らすのに334人が数年飲む必要がある程度で、確実性は低く、まだはっきりしません。

試験の内容
EPA・DHAサプリ(多くは1日約1g)を数年
確実性(中心にした解析の著者による評価)
高い
根拠にした論文
コクラン・レビュー 1本・メタ分析 3本・ランダム化比較試験 2本

格付けの理由

86件のRCT(くじ引きでグループを分けて比べた試験)・16万人のコクラン・レビュー(国際的な非営利団体コクランが決まった手順で作るまとめ)[1]では、心血管イベント・総死亡・脳卒中への効果はほとんどありませんでした(確実性は高〜中)。1日1カプセル(1g)以下の試験では関連がなく、今後の研究でも結果は変わりにくいとされています[2]。2.6万人のVITAL[3]、1.5万人のASCEND[4]でも、主要評価項目で有意差は出ませんでした。心血管イベントへの効果がほとんどないことが確実性の高い解析で示されたため、D(効かないという根拠)としました。

根拠にした論文

  1. 1.

    コクラン・レビュー・Abdelhamid(2020年)・Cochrane Database of Systematic Reviews・86研究・162,796人

    86件のRCT(162,796人)のコクランレビュー。長鎖オメガ3は総死亡(確実性は高)、心血管イベント(リスク比0.96、確実性は高)、脳卒中、不整脈にほとんど効果なし。冠動脈疾患による死亡(334人に1人)とイベント(167人に1人)はわずかに減る可能性(確実性は低)。

    Omega-3 fatty acids for the primary and secondary prevention of cardiovascular disease. doi:10.1002/14651858.cd003177.pub5

  2. 2.

    メタ分析・Rizos(2021年)・Heart・17研究・83,617人

    17件の二重盲検RCT(83,617人)のメタ分析(試験逐次解析つき)。1日1カプセル(1g)以下では心血管のどの結果とも関連がなく、総死亡と心臓死では「これ以上研究しても効果は示されにくい」水準に達した。2〜4gの根拠は弱い。

    Omega-3 supplementation and cardiovascular disease: formulation-based systematic review and meta-analysis with trial sequential analysis. doi:10.1136/heartjnl-2020-316780

  3. 3.

    ランダム化比較試験・Manson(2019年)・New England Journal of Medicine・25,871人

    米国の中高年25,871人の一次予防のRCT(VITAL)。魚油1g/日を中央値5.3年飲んでも主要な心血管イベントは減らなかった(ハザード比0.92、95%CI 0.80〜1.06)。副次評価項目の心筋梗塞は少なかった(0.72)。

    Marine n-3 Fatty Acids and Prevention of Cardiovascular Disease and Cancer. doi:10.1056/nejmoa1811403

  4. 4.

    ランダム化比較試験・ASCEND Study Collaborative Group(2018年)・New England Journal of Medicine・15,480人

    心血管病のない糖尿病患者15,480人のRCT(ASCEND)。オメガ3 1g/日を平均7.4年飲んでも、重大な血管イベント(8.9%対9.2%、比0.97)や死亡に有意差はなかった。

    Effects of n-3 Fatty Acid Supplements in Diabetes Mellitus. doi:10.1056/nejmoa1804989

  5. 5.

    メタ分析・Hu(2019年)・Journal of the American Heart Association・13研究・127,477人

    13件のRCT(127,477人)のメタ分析。高用量EPAの試験を除いても、心筋梗塞(リスク比0.92)、冠動脈疾患死(0.92)、心血管死(0.93)、心血管疾患全体(0.97)がわずかに少なかった。

    Marine Omega-3 Supplementation and Cardiovascular Disease: An Updated Meta-Analysis of 13 Randomized Controlled Trials Involving 127 477 Participants. doi:10.1161/jaha.119.013543

  6. 6.

    メタ分析・Bernasconi(2021年)・Mayo Clinic Proceedings・40研究・135,267人

    40件のRCT(135,267人)のメタ分析。EPA・DHAで心筋梗塞(リスク比0.87、272人に1人)と冠動脈疾患イベント(0.90)が減少したが、心血管イベント全体(0.95、95%CI 0.90〜1.00)は有意でなかった。

    Effect of Omega-3 Dosage on Cardiovascular Outcomes: An Updated Meta-Analysis and Meta-Regression of Interventional Trials. doi:10.1016/j.mayocp.2020.08.034

D

認知機能・記憶(健康な人)に効く?

Dランク・効かないという根拠対象:認知症のない成人(主に中高年・高齢者)

認知症のない人が飲んでも、認知機能の低下や認知症はほとんど防げないことが示されています。記憶などが少し良くなったという解析もありますが、結果は一貫していません。

注意点

  • 評価項目による違い:評価項目によって結果が一致していません。記憶だけに小さな改善(効果量(差の大きさをそろえた数字)0.31)をみた解析[4]や、40歳以上で開始12か月以内の実行機能に改善傾向をみた用量反応解析[5]があります。用量を増やすと改善したとする用量反応解析(Shahinfar 2025)もあります。著者は控えめな改善と結論しており、確実性は低〜中です。
  • 魚を食べる習慣:魚をよく食べる人で認知機能の低下が少ないという観察研究はありますが、サプリでの効果は示されていません(厚労省eJIM(厚生労働省の「統合医療」情報サイト))。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本・ほかの成分と運動

効果の大きさ

プラセボ(成分の入っていないもの)と比べて、新たな認知機能障害のリスク比は0.99(95%信頼区間(結果のぶれの幅)0.92〜1.06)で、はっきりした差は出ませんでした。認知機能検査(30点満点のMMSE)の差は0.1点で、実感できる差ではありませんでした(確実性は中)。

試験の内容
EPA・DHAを1日数百mg〜2g程度を6か月〜数年
確実性(中心にした解析の著者による評価)
中程度
根拠にした論文
メタ分析 4本・ランダム化比較試験 1本・コクラン・レビュー 1本

格付けの理由

38件のRCT(49,757人)をまとめた解析[1]では、認知症・認知機能障害の発症とMMSEにほとんど効果がありませんでした(確実性は中)。1680人を3年追跡したMAPT試験[2]、DHAの10試験をまとめた解析[3]、コクラン・レビュー(国際的な非営利団体コクランが決まった手順で作るまとめ)[6]でも、認知機能に有意差(偶然では説明しにくい差)は出ませんでした。認知症・認知機能障害の発症への効果がほとんどないことが中程度の確実性で示されたため、D(効かないという根拠)としました。

根拠にした論文

  1. 1.

    メタ分析・Brainard(2020年)・Journal of the American Medical Directors Association・38研究・49,757人

    成人の24週以上の38件のRCT(49,757人)のメタ分析。長鎖オメガ3は認知症などの発症(リスク比0.98)、新たな認知機能障害(0.99)、MMSE(差0.10点)にほとんど効果なし(いずれも確実性は中)。用量・期間で有意差はなかった。

    Omega-3, Omega-6, and Polyunsaturated Fat for Cognition: Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Trials. doi:10.1016/j.jamda.2020.02.022

  2. 2.

    ランダム化比較試験・Andrieu(2017年)・The Lancet Neurology・1,680人

    記憶の不安などがある認知症でない70歳以上の1680人を3年追跡したRCT(MAPT)。DHA 800mg+EPA 225mg/日の単独でも、認知機能の低下はプラセボと有意差がなかった。

    Effect of long-term omega 3 polyunsaturated fatty acid supplementation with or without multidomain intervention on cognitive function in elderly adults with memory complaints (MAPT): a randomised, placebo-controlled trial. doi:10.1016/s1474-4422(17)30040-6

  3. 3.

    メタ分析・Balachandar(2020年)・European Journal of Clinical Pharmacology・10研究・2,327人

    高齢者の10研究(2327人)のメタ分析。DHAの補給は記憶・注意・作業記憶・実行機能にほとんど、あるいはまったく効果がなかった。

    Docosahexaenoic acid supplementation in age-related cognitive decline: a systematic review and meta-analysis. doi:10.1007/s00228-020-02843-x

  4. 4.

    メタ分析・Alex(2020年)・Nutrition Reviews・25研究

    認知症のない成人(軽度認知障害を含む)の25件のRCTの系統的レビュー・メタ分析。全体的な認知機能に有意な効果なし(効果量0.02)。領域別では記憶のみ小さな改善(0.31)。

    Long-chain omega-3 polyunsaturated fatty acids and cognitive decline in non-demented adults: a systematic review and meta-analysis. doi:10.1093/nutrit/nuz073

  5. 5.

    メタ分析・Suh(2024年)・BMC Medicine・24研究・9,660人

    認知症のない40歳以上の24件のRCT(9660人)の用量反応メタ分析。開始12か月以内に実行機能が上向く傾向があり、1日500mg超で目立った。実行機能への利益の可能性があるとした。

    The influence of n-3 polyunsaturated fatty acids on cognitive function in individuals without dementia: a systematic review and dose-response meta-analysis. doi:10.1186/s12916-024-03296-0

  6. 6.

    コクラン・レビュー・Sydenham(2012年)・Cochrane Database of Systematic Reviews・3研究・4,080人

    認知機能が正常な60歳以上の質の高い3件のRCT(4080人)のコクランレビュー(2012年)。24〜40か月後のMMSE(差-0.07点)やその他の認知機能検査に有意差はなかった。

    Omega 3 fatty acid for the prevention of cognitive decline and dementia. doi:10.1002/14651858.cd005379.pub3

B

認知機能(軽度認知障害)に効く?

Bランク・根拠は限定的対象:軽度認知障害(MCI)のある高齢者

軽度認知障害のある高齢者では、全般的な認知機能がやや良くなったという結果はありますが、まだはっきりしません。すでに認知症の人では、はっきりした差は出ていません。

くわしく効果の大きさ・注意点・論文5本

効果の大きさ

プラセボ(成分の入っていないもの)と比べた12試験(1124人)をまとめると、全般的な認知機能に効果量(差の大きさをそろえた数字)0.51の「中くらい」の差が報告されています[1]。ただ、まとめた試験は主に小規模なものです。12か月の試験(72人)では、認知機能にはっきりした差は出ませんでした[4]。

試験の内容
DHA単独またはDHA+EPAを1日1〜2g程度を6か月〜2年
根拠にした論文
メタ分析 2本・ランダム化比較試験 2本・系統的レビュー 1本

注意点

  • 試験の規模:改善を示した試験の多くは小規模で、評価方法も試験ごとに異なります。
  • 認知症の人:アルツハイマー型認知症(軽度〜中等度)の人では、質の高い3試験の統合で、認知機能・日常生活動作に効果がありませんでした(Burckhardt 2016)。

格付けの理由

12試験と7試験をまとめた解析[1][2]で全般的な認知機能の改善が示され、240人のRCT(くじ引きでグループを分けて比べた試験)[3]でも改善しました。ただし、いずれも小規模で、12か月のRCT[4]では認知機能に有意差(偶然では説明しにくい差)はありませんでした。米国の系統的レビュー(関係する研究をもれなく集めて評価した研究)[5]も根拠不十分としたため、B(根拠は限定的)としました。

根拠にした論文

  1. 1.

    メタ分析・Yang(2024年)・Journal of Alzheimer's Disease・12研究・1,124人

    軽度認知障害の高齢者の12研究(1124人)のメタ分析。DHA・EPAで全般的な認知機能が改善(効果量0.51)。言語流暢性・実行機能・うつは有意差なし。研究の質は多くが中程度。

    N-3 Polyunsaturated Fatty Acids in Elderly with Mild Cognitive Impairment: A Systemic Review and Meta-Analysis. doi:10.3233/jad-220863

  2. 2.

    メタ分析・Zhang(2020年)・European Journal of Clinical Nutrition・7研究・434人

    軽度認知障害の7件のRCT(計434人)のメタ分析。長鎖オメガ3で認知機能が改善(加重平均差0.85、95%CI 0.04〜1.67、P=0.04)。

    Effect of n-3 long-chain polyunsaturated fatty acids on mild cognitive impairment: a meta-analysis of randomized clinical trials. doi:10.1038/s41430-019-0544-4

  3. 3.

    ランダム化比較試験・Zhang(2018年)・Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry・240人

    軽度認知障害の中国の高齢者240人の二重盲検RCT。DHA 2g/日を24か月で、全検査IQ・言語性IQ・数唱などの点数がプラセボより高くなった。

    DHA supplementation improves cognitive function via enhancing Aβ-mediated autophagy in Chinese elderly with mild cognitive impairment: a randomised placebo-controlled trial. doi:10.1136/jnnp-2017-316176

  4. 4.

    ランダム化比較試験・Mengelberg(2022年)・International Journal of Geriatric Psychiatry・72人

    ニュージーランドの軽度認知障害の高齢者72人のRCT。DHA 1491mg+EPA 351mg/日を12か月飲んでも、認知機能の指標に有意な効果はなかった。

    The effects of docosahexaenoic acid supplementation on cognition and well-being in mild cognitive impairment: A 12-month randomised controlled trial. doi:10.1002/gps.5707

  5. 5.

    系統的レビュー・Butler(2018年)・Annals of Internal Medicine・38研究

    米国医療研究品質局の支援による、認知機能が正常な人と軽度認知障害の人のサプリの38試験の系統的レビュー。オメガ3の根拠は不十分または弱く、認知機能の低下を減らさないことを示唆。認知機能の保護にどのサプリも勧められないとした。

    Over-the-Counter Supplement Interventions to Prevent Cognitive Decline, Mild Cognitive Impairment, and Clinical Alzheimer-Type Dementia: A Systematic Review. doi:10.7326/m17-1530

このページについて

サプリの広告や販売リンクは載せていません。専門家の監修は受けていません。格付けは格付けの決め方に沿って、論文の結果から決めています。最終更新日は2026-10-04です。誤りに気づいたら誤りを知らせるから送ってください。

このページの言葉
プラセボ
見た目は同じで、調べている成分を含まないもの。「飲んだ」という思い込みや、自然に良くなる分を差し引くために、比べる相手として使います。
ランダム化比較試験(RCT)
参加者を、くじ引きのような偶然でグループに分けて、たとえば成分を飲むグループとプラセボを飲むグループの結果を比べる試験。分け方の偏りが結果に混ざりにくい方法です。
メタ分析・統合
同じテーマの試験の結果を集めて、まとめて計算し直した研究。1つの試験より、偶然に左右されにくくなります。
系統的レビュー
決めた手順で、関係する研究をもれなく集めて評価した研究。メタ分析を含むことが多いです。
コクラン・レビュー
国際的な非営利の団体コクランが、決まった手順で作る系統的レビュー。利害関係のある企業からの資金は受けない決まりで作られます。
効果量
測り方の違う試験どうしでも比べられるように、差の大きさをそろえた数字(このサイトでは主に、平均の差を標準化したもの)。マイナスの符号は減った向きを表し、符号を除いた大きさが 0.2 前後で「小さい」、0.5 前後で「中くらい」、0.8 以上で「大きい」が目安です。
確実性
結果がどのくらい確かかについて、解析した研究者が付けた評価(高・中・低・非常に低)。低いほど、今後の研究で結果が変わる可能性が高いことを表します。
有意差
偶然だけでは説明しにくい差があること。差が大きいという意味ではありません。
95%信頼区間(95%CI)
結果の数字のぶれの幅。本当の値がおそらく入っている範囲の目安です。差の範囲が 0(比の場合は 1)をまたぐときは、差がない可能性を否定できません。
リスク比(相対リスク)・率比
起きた人の割合を2つのグループで比べた比。率比は、観察した人数と期間をそろえた起きる頻度(たとえば100人が1年あたりに起こす回数)の比。どちらも 1 なら差がなく、0.8 なら2割少ないことを表します。
eJIM
厚生労働省の「『統合医療』に係る情報発信等推進事業」のサイト。サプリなどについて、海外の公的機関の情報を翻訳して載せています。

運動の効果も同じ基準で格付けしています

運動は19項目中4項目がSでした

掲載した項目の内訳Sの割合
サプリ119項目
3%
運動19項目
21%

S(根拠が強い)は、サプリが119項目中4項目、運動が19項目中4項目でした。運動のSは筋力・筋量(筋トレ)、血圧、血糖値、転倒の予防です。サプリと運動では調べた効果や対象者が違うため、同じ目的で直接比べた結果ではありません。

運動のTier表を見る

ほかの成分の格付け(Tier表)