コエンザイムQ10に効果はある?
コエンザイムQ10(CoQ10、ユビキノン、還元型コエンザイムQ10(ユビキノール))論文11本で格付け2026-10-04 更新
結論
健康な人の疲れに効くかは、まだ分かっていません。
- 疲れが少し減ったという結果は、主に病気のある人のもの
- 健康な人だけの試験では、はっきりした差が出なかった
- スタチン(コレステロールの薬)の筋肉痛への効果も、結果が一致しない
効くと言われていること
論文ではS〜D の決め方は格付けの決め方
飲む前に:公的機関の注意があります代わりにできること
運動を続けると、疲れた感じが少し減るという結果も
運動の格付け:B(根拠は限定的)
対象:病気のない成人(座りがちな人・日常的に疲れを感じる人・高齢者)
運動を数週間以上続けると、運動しない人などより疲れた感じが少し減ったという結果があります。ただ、病気のない人だけの結果はまだはっきりしません。
疲れのサプリと運動の格付けを見る飲む前に知っておくこと
薬を飲んでいる人は、飲む前に医師・薬剤師に相談してください。厚生労働省の情報サイト(eJIM)は、ワルファリン(血液を固まりにくくする薬)やインスリンと影響し合う可能性があるとしています(出典: ejim.mhlw.go.jp)。食品安全委員会は、データが足りず、安全にとれる上限の量を決められないとしています。厚生労働省は、医薬品の1日量(30mg)を超える製品の安全性に気をつけるよう指導しています(出典: mhlw.go.jp)。
機能性表示食品として売られているとき
還元型コエンザイムQ10などを機能性関与成分とする機能性表示食品の届出があります(2026年10月3日時点)。国が1つずつ審査した食品ではなく、届出の根拠はこのページの格付けとは別のものです。表示を見るときに確かめること
機能性表示食品として売られているとき
還元型コエンザイムQ10などを機能性関与成分とする機能性表示食品の届出があります(2026年10月3日時点)。国が1つずつ審査した食品ではなく、届出の根拠はこのページの格付けとは別のものです。表示を見るときに確かめること- 国の審査
- 機能性表示食品は、事業者が科学的根拠などを消費者庁に届け出て、機能を表示する食品です。国が1つずつ審査した食品ではありません。パッケージには「本品は、特定保健用食品と異なり、機能性及び安全性について国による評価を受けたものではありません。届け出られた科学的根拠等の情報は消費者庁のウェブサイトで確認できます。」と書くことが決められています。
- 届出番号
- パッケージの「届出番号」を消費者庁の届出データベースに入れると、届け出た事業者が書いた、安全性と機能性の根拠の要約を見られます。
- 「報告されています」
- 消費者庁の手引きは、根拠がその商品(最終製品)を使った臨床試験か、論文を集めて評価した研究レビューかが分かる表現にするよう求めています。研究レビューが根拠のときは、商品についてのレビューでも成分についてのレビューでも「報告されている」ことが分かる表現にし、例として「〜の機能があることが報告されています」を挙げています。最終製品を使った臨床試験で根拠を説明するときの例は「〜の機能があります」です。成分についての研究レビューが根拠のときは、その商品自体に機能があるという根拠ではないことが分かる表現にするとしています。
- 量
- パッケージには、1日あたりの摂取目安量と、その量に含まれる機能性関与成分の量が書かれています。このページの試験で使われた量と比べてください。
- 疲労感:1日100〜300mg程度を数週間〜数か月(研究で多い用量)
- スタチンによる筋肉痛:1日100〜600mgを30〜90日
- 薬
- 薬を飲んでいる人は、医師か薬剤師に相談してから使ってください。パッケージにも、この注意を書くことが決められています。
よくある質問
やめてもいい?
疲労感、スタチンによる筋肉痛を目的に飲んでいる場合は、続けることを支持するはっきりした結果はありません(格付けはB・B)。
ただし、医師に勧められて飲んでいる人、薬を飲んでいる人、検査で不足を指摘された人は、自分の判断でやめずに、医師か薬剤師に相談してください。続ける場合は、このページの「飲む前に知っておくこと」(公的機関の注意情報)を先に読んでください。
飲んで効いた気がするのはなぜ?
成分を含まないもの(プラセボ)を飲んだ人でも、体調が良くなったと感じることはよくあります。飲んでいるという安心感や期待で、感じ方が変わるためです。体調にはもともと波があるので、つらい時期に飲み始めると、自然に戻った分まで効いたように感じることもあります。えびらぼでは、こうした分を差し引けるように、成分を含まないものと比べた試験の結果を重視して格付けしています。
形や量が違えば効く?
格付けは、試験で使われた形と量での結果です。
- 疲労感:1日100〜300mg程度を数週間〜数か月(研究で多い用量)
- スタチンによる筋肉痛:1日100〜600mgを30〜90日
これと違う形や量で効くかどうかは、その形や量で試した試験が無いと分かりません。吸収が良いことと、体に効果が出ることは別で、試験で確かめる必要があります。
効いたという論文もあるのでは?
1件の試験では、偶然や試験のやり方の偏りで、良い結果が出ることがあります。このページでは11件の論文を読み、そのうち8件は複数の試験をまとめた研究です。格付けは、試験どうしで結果が一致するかと、試験の質で決めています(格付けの決め方)。効いたという試験があっても、ほかの試験と合わせると、はっきりした差が出ないことがあります。
効果ごとの論文の中身
疲れがとれる?
Bランク・根拠は限定的対象:健康な成人、線維筋痛症・慢性疲労症候群などの患者
疲れた感じがわずかに減ったという結果はありますが、まだはっきりしません。主に病気のある人の結果で、健康な人に限ると、はっきりした差は出ませんでした。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文5本・ほかの成分と運動
- 試験の内容
- 1日100〜300mg程度を数週間〜数か月(研究で多い用量)
- 確実性(中心にした解析の著者による評価)
- 低い
- 根拠にした論文
- メタ分析 3本・系統的レビュー 1本・ランダム化比較試験 1本
注意点
根拠にした論文
- 1.
メタ分析・Tsai(2022年)・Frontiers in Pharmacology・13研究・1,126人
RCT13件(1,126人)の統合。CoQ10で疲労感がプラセボより下がった(効果量-0.40)。用量が多く期間が長いほど効果が大きい傾向。本文では健康な人の3試験のサブグループは有意でなく(p=0.191)、出版バイアスの可能性(Egger検定p=0.008)も示された。
Effectiveness of Coenzyme Q10 Supplementation for Reducing Fatigue: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. doi:10.3389/fphar.2022.883251
- 2.
メタ分析・Deng(2025年)・British Journal of Nutrition・24研究
健康な成人のプラセボ対照研究24件のメタ分析。血中CoQ10は確実に上がったが、運動能力への効果は小さく一貫しない。主観的な疲労感の軽減は示唆的で、外れ値を除くとより一貫した。ばらつきとバイアスのため、確実性は全体で低〜非常に低い(GRADE)。
Coenzyme Q10 supplementation increases blood concentrations but shows limited and inconsistent effects on exercise performance: a systematic review and meta-analysis. doi:10.1017/s0007114525106211
- 3.
メタ分析・Magalhães(2026年)・Journal of Clinical Psychopharmacology・5研究・474人
うつ病の人(病気に伴うものを含む)のRCT5件(474人)の統合。うつ症状は改善した(効果量-0.68)が、疲労感には有意な効果がなかった(-0.33、95%CI -1.38〜0.72)。疲労感の解析は2試験のみ。
Effects of Coenzyme Q10 Supplementation on Depressive Symptoms and Fatigue: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. doi:10.1097/jcp.0000000000002112
- 4.
系統的レビュー・Mehrabani(2019年)・Complementary Therapies in Medicine・16研究
介入研究16件の系統的レビュー。健康な人・線維筋痛症・スタチン関連の疲労・多発性硬化症・末期心不全の人などで、10件がCoQ10の疲労感への有意な効果を示した。十分な人数と追跡期間の試験が必要とした。
Effect of coenzyme Q10 supplementation on fatigue: A systematic review of interventional studies. doi:10.1016/j.ctim.2019.01.022
- 5.
ランダム化比較試験・Mizuno(2020年)・Nutrients・62人
1〜6か月続く軽い疲れがある健康な成人の12週間の二重盲検試験(還元型CoQ10 100mg/日20人、150mg/日22人、プラセボ20人)。どちらの用量でも、認知課題の後の疲労感と眠気がプラセボより有意に改善した。
Ubiquinol-10 Intake Is Effective in Relieving Mild Fatigue in Healthy Individuals. doi:10.3390/nu12061640
スタチンによる筋肉痛に効く?
Bランク・根拠は限定的対象:スタチン(コレステロールの薬)を飲んで筋肉の症状がある人
スタチンによる筋肉痛が和らいだという試験と、そうでない試験があり、結果は一致していません。スタチンが原因の筋肉痛だと確かめた人の試験では、はっきりした差は出ませんでした。欧州動脈硬化学会は、使うことを勧めていません。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本
- 試験の内容
- 1日100〜600mgを30〜90日
- 根拠にした論文
- メタ分析 4本・ランダム化比較試験 1本・専門家の合意声明 1本
注意点
- 結果のばらつき:改善を示した解析[2]は、試験間のばらつきが非常に大きく(I²=93%)、1試験を除くと有意でなくなります(本文)。
- 原因の確かめ:スタチンによる筋肉痛を訴える人の一部は、プラセボ(成分の入っていないもの)と比べて調べると、実際にはスタチンが原因でないことがあります[5]。
- 学会などの見解:欧州動脈硬化学会(2015)[6]はCoQ10の補充を推奨していません。厚生労働省の統合医療サイト(eJIM)も、全体の根拠は効果を支持しないとしています(出典: ejim.mhlw.go.jp)。
根拠にした論文
- 1.
メタ分析・Kennedy(2020年)・Atherosclerosis・7研究・321人
スタチン関連の筋肉痛がある人のプラセボ対照RCT7件(321人)の統合。筋肉痛に有意な効果はなく(平均差-0.42、95%CI -1.47〜0.62)、スタチンを続けられた人の割合も改善しなかった。8件中、効果ありは2件のみ。
Effect of Coenzyme Q10 on statin-associated myalgia and adherence to statin therapy: A systematic review and meta-analysis. doi:10.1016/j.atherosclerosis.2020.03.006
- 2.
メタ分析・Kovacic(2025年)・Journal of Nutritional Science・7研究・389人
スタチン服用者のRCT7件(389人、1日100〜600mgを30〜90日)の統合。筋肉痛の強さが下がった(平均差-0.96、95%CI -1.88〜-0.03)。4件で効果あり、3件で有意差なし。本文ではばらつきが非常に大きく(I²=93.3%)、1研究を除くと有意でなくなる解析があった。
Effects of coenzyme Q10 supplementation on myopathy in statin-treated patients: a systematic review and meta-analysis. doi:10.1017/jns.2025.10043
- 3.
メタ分析・Qu(2018年)・Journal of the American Heart Association・12研究・575人
RCT12件(575人)の統合。CoQ10で筋肉痛(平均差-1.60)・筋力低下・こむら返り・だるさなどスタチン関連の筋肉症状が改善したが、筋肉の酵素(CK)は変わらなかった。
Effects of Coenzyme Q10 on Statin-Induced Myopathy: An Updated Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. doi:10.1161/jaha.118.009835
- 4.
メタ分析・Banach(2015年)・Mayo Clinic Proceedings・6研究・302人
スタチン服用者のRCT6件(302人)の統合。CoQ10は筋肉痛(効果量-0.53、95%CI -1.33〜0.28)にも筋肉の酵素(CK)にも有意な効果がなく、用量との関係もなかった。
Effects of coenzyme Q10 on statin-induced myopathy: a meta-analysis of randomized controlled trials. doi:10.1016/j.mayocp.2014.08.021
- 5.
ランダム化比較試験・Taylor(2015年)・Atherosclerosis・41人
スタチンで筋肉痛の経験がある120人のうち、スタチンとプラセボの二重盲検比較で痛みが確認された41人をCoQ10 600mg/日とプラセボに分けた8週間のRCT。痛みはCoQ10の有無に関係なく増え、筋力も変わらなかった。
A randomized trial of coenzyme Q10 in patients with confirmed statin myopathy. doi:10.1016/j.atherosclerosis.2014.12.016
- 6.
専門家の合意声明・Stroes(2015年)・European Heart Journal
欧州動脈硬化学会のコンセンサス声明(本文より)。高用量でもCoQ10がスタチン関連の筋肉症状を減らすことは二重盲検RCTやメタ分析で裏づけられなかったとして、治療・予防のためのCoQ10(とビタミンD)の補充を推奨しない。
Statin-associated muscle symptoms: impact on statin therapy-European Atherosclerosis Society Consensus Panel Statement on Assessment, Aetiology and Management. doi:10.1093/eurheartj/ehv043
このページについて
サプリの広告や販売リンクは載せていません。専門家の監修は受けていません。格付けは格付けの決め方に沿って、論文の結果から決めています。最終更新日は2026-10-04です。誤りに気づいたら誤りを知らせるから送ってください。
このページの言葉
- プラセボ
- 見た目は同じで、調べている成分を含まないもの。「飲んだ」という思い込みや、自然に良くなる分を差し引くために、比べる相手として使います。
- ランダム化比較試験(RCT)
- 参加者を、くじ引きのような偶然でグループに分けて、たとえば成分を飲むグループとプラセボを飲むグループの結果を比べる試験。分け方の偏りが結果に混ざりにくい方法です。
- メタ分析・統合
- 同じテーマの試験の結果を集めて、まとめて計算し直した研究。1つの試験より、偶然に左右されにくくなります。
- 系統的レビュー
- 決めた手順で、関係する研究をもれなく集めて評価した研究。メタ分析を含むことが多いです。
- 効果量
- 測り方の違う試験どうしでも比べられるように、差の大きさをそろえた数字(このサイトでは主に、平均の差を標準化したもの)。マイナスの符号は減った向きを表し、符号を除いた大きさが 0.2 前後で「小さい」、0.5 前後で「中くらい」、0.8 以上で「大きい」が目安です。
- 確実性
- 結果がどのくらい確かかについて、解析した研究者が付けた評価(高・中・低・非常に低)。低いほど、今後の研究で結果が変わる可能性が高いことを表します。
- 有意差
- 偶然だけでは説明しにくい差があること。差が大きいという意味ではありません。
- 95%信頼区間(95%CI)
- 結果の数字のぶれの幅。本当の値がおそらく入っている範囲の目安です。差の範囲が 0(比の場合は 1)をまたぐときは、差がない可能性を否定できません。
- GRADE
- 結果がどのくらい確かかを、研究の質やばらつきから「高・中・低・非常に低」で評価する国際的な方法。
- eJIM
- 厚生労働省の「『統合医療』に係る情報発信等推進事業」のサイト。サプリなどについて、海外の公的機関の情報を翻訳して載せています。
運動の効果も同じ基準で格付けしています
運動は19項目中4項目がSでした
- サプリ119項目
- ABCD
- 3%
- 運動19項目
- SAB
- 21%
S(根拠が強い)は、サプリが119項目中4項目、運動が19項目中4項目でした。運動のSは筋力・筋量(筋トレ)、血圧、血糖値、転倒の予防です。サプリと運動では調べた効果や対象者が違うため、同じ目的で直接比べた結果ではありません。
運動のTier表を見る