高麗人参に効果はある?
高麗人参(朝鮮人参)(オタネニンジン、朝鮮人参、紅参、コウジン、Panax ginseng)論文11本で格付け2026-10-04 更新
結論
疲れや認知機能に効くかは、まだはっきりしません。
- 疲れが少し減ったという解析と、はっきりした差が出なかった解析がある
- 健康な人の認知機能には、説得力のある根拠がない
- 糖尿病の人や、抗うつ薬などを飲んでいる人は医師などに相談
効くと言われていること
論文ではS〜D の決め方は格付けの決め方
飲む前に:公的機関の注意があります代わりにできること
運動を続けると、疲れた感じが少し減るという結果も
運動の格付け:B(根拠は限定的)
対象:病気のない成人(座りがちな人・日常的に疲れを感じる人・高齢者)
運動を数週間以上続けると、運動しない人などより疲れた感じが少し減ったという結果があります。ただ、病気のない人だけの結果はまだはっきりしません。
疲れのサプリと運動の格付けを見る飲む前に知っておくこと
糖尿病の人は、使う前に医師などに相談してください。厚生労働省の情報サイト(eJIM)が米国NCCIHの情報として、血糖値に影響しうるためそう勧めていて、ワルファリンへの影響は研究で一致しないこと、妊娠中は安全でない可能性があることも載せています(出典: ejim.mhlw.go.jp)。カナダ保健省の製品の基準(出典: webprod.hc-sc.gc.ca)は、糖尿病の人と、抗うつ薬・血液を固まりにくくする薬・ジゴキシンを使う人に、医師などに相談するよう定めています。
よくある質問
やめてもいい?
疲労感、認知機能を目的に飲んでいる場合は、続けることを支持するはっきりした結果はありません(格付けはB・B)。
ただし、医師に勧められて飲んでいる人、薬を飲んでいる人、検査で不足を指摘された人は、自分の判断でやめずに、医師か薬剤師に相談してください。続ける場合は、このページの「飲む前に知っておくこと」(公的機関の注意情報)を先に読んでください。
飲んで効いた気がするのはなぜ?
成分を含まないもの(プラセボ)を飲んだ人でも、体調が良くなったと感じることはよくあります。飲んでいるという安心感や期待で、感じ方が変わるためです。体調にはもともと波があるので、つらい時期に飲み始めると、自然に戻った分まで効いたように感じることもあります。えびらぼでは、こうした分を差し引けるように、成分を含まないものと比べた試験の結果を重視して格付けしています。
形や量が違えば効く?
格付けは、試験で使われた形と量での結果です。
- 疲労感:朝鮮人参・紅参のエキスや粉末を1日数百mg〜3gを数週間〜16週間
- 認知機能:高麗人参・紅参の製剤(研究により数百mg〜数g、数週間〜数か月)
これと違う形や量で効くかどうかは、その形や量で試した試験が無いと分かりません。吸収が良いことと、体に効果が出ることは別で、試験で確かめる必要があります。
効いたという論文もあるのでは?
1件の試験では、偶然や試験のやり方の偏りで、良い結果が出ることがあります。このページでは11件の論文を読み、そのうち9件は複数の試験をまとめた研究です。格付けは、試験どうしで結果が一致するかと、試験の質で決めています(格付けの決め方)。効いたという試験があっても、ほかの試験と合わせると、はっきりした差が出ないことがあります。
効果ごとの論文の中身
疲れがとれる?
Bランク・根拠は限定的対象:疲労感のある成人(慢性的な疲労、がんなど病気に伴う疲労を含む)
疲れた感じが少し減ったという解析はありますが、まだはっきりしません。全体としてはっきりした差が出なかった解析もあり、がんに伴う疲れでも試験によって結果が一致していません。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本・ほかの成分と運動
効果の大きさ
19件をまとめると、効果量(差の大きさをそろえた数字)は−0.36(95%信頼区間(結果のぶれの幅) −0.82〜0.11)で、はっきりした差は出ませんでした。差が出た解析でも、効果量は0.3〜0.5程度の「小さい」差でした。
- 試験の内容
- 朝鮮人参・紅参のエキスや粉末を1日数百mg〜3gを数週間〜16週間
- 根拠にした論文
- メタ分析 4本・ランダム化比較試験 2本
注意点
- 人参の種類:試験のまとめの多くはアメリカ人参(別の種)や人参を含む漢方処方を含んでおり、高麗人参だけの効果を区別するのは難しいです。
- がんに伴う疲労:化学療法中の大腸がん患者438人の試験[5]は改善を報告しましたが、進行がんの患者127人の試験[6]では、はっきりした差は出ませんでした。がんに伴う疲労への植物療法の解析[4]でも、人参では有意な効果はみられませんでした。
- 個別の試験:慢性疲労の人の50人のRCT(Sung 2020)や、リウマチ性疾患の人の120人のRCT(Cho 2024)では、有意差(偶然では説明しにくい差)はありませんでした。健康な日本人46人の3週間のRCT(Lee 2025)では、疲労感の改善が報告されています。
- 試験の質:試験には質の低いものが多くあります。
根拠にした論文
- 1.
メタ分析・Li(2023年)・Journal of Integrative and Complementary Medicine・19研究
人参または人参を含む処方の疲労に関するRCT 19件の統合。全体では疲労の重さに有意な減少はなかった(効果量−0.36、95%CI −0.82〜0.11)。配合処方(−0.39)、慢性疲労(−0.30)、病気と関係ない一般的な疲労(−0.48)のサブグループでは小さく減少。有害事象は増えなかった。
Ginseng and Ginseng Herbal Formulas for Symptomatic Management of Fatigue: A Systematic Review and Meta-Analysis. doi:10.1089/jicm.2022.0532
- 2.
メタ分析・Bach(2016年)・Journal of Korean Medical Science・12研究・630人
RCT 12件(630人)の統合。4件の統合で疲労は小さく減少(効果量0.34、95%CI 0.16〜0.52)したが、8件の統合で運動能力は向上しなかった(−0.01)。試験が少なく小規模なため、著者は臨床的な根拠は不十分とした。
Efficacy of Ginseng Supplements on Fatigue and Physical Performance: a Meta-analysis. doi:10.3346/jkms.2016.31.12.1879
- 3.
メタ分析・Zhu(2022年)・Medicine・12研究・1,298人
病気に伴う疲労への人参のRCT 12件(成人患者1298人)の統合。固定効果モデルで人参に有利な小さな効果(効果量0.33)。
Efficacy of ginseng supplements on disease-related fatigue: A systematic review and meta-analysis. doi:10.1097/md.0000000000029767
- 4.
メタ分析・Matsas(2026年)・Diseases
がんに伴う疲労への植物療法のプラセボ対照RCT 14件の統合。全体では小さな改善(効果量0.31)だったが、サブグループでは人参もガラナも有意な効果がなかった。多くの試験はバイアスのリスクが高いか不明で、根拠の確実性は非常に低い。
Efficacy of Phytotherapy for Cancer-Related Fatigue: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. doi:10.3390/diseases14020039
- 5.
ランダム化比較試験・Kim(2020年)・European Journal of Cancer・438人
化学療法中の大腸がん患者438人の二重盲検第III相RCT(紅参1日2000mg vs プラセボ、16週間)。紅参群で疲労の評価(BFI)が改善し、とくに気分と歩行の項目で差があった。全体スコアの改善は計画どおり服用した人の解析で有意。好中球減少は紅参群で多かった。
Korean red ginseng for cancer-related fatigue in colorectal cancer patients with chemotherapy: A randomised phase III trial. doi:10.1016/j.ejca.2020.02.018
- 6.
ランダム化比較試験・Yennurajalingam(2017年)・Journal of the National Comprehensive Cancer Network・127人
進行がんで疲労のある患者127人の二重盲検RCT(高麗人参エキス400mgを1日2回、28日間)。29日目の疲労スコアの改善はプラセボと有意差がなかった(7.5 vs 6.5)。両群とも改善し、著者はがんに伴う疲労に勧める根拠はないとした。
A Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled Trial of Panax Ginseng for Cancer-Related Fatigue in Patients With Advanced Cancer. doi:10.6004/jnccn.2017.0149
認知機能に効く?
Bランク・根拠は限定的対象:健康な成人、および軽度認知障害・認知症の高齢者
記憶の一部や、認知症の検査の点数がわずかに良くなったという結果はありますが、まだはっきりしません。健康な人では、効くという説得力のある根拠はないとされています。認知症などの人でも、良くなった幅は治療として意味のある差に届きません。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文5本
- 試験の内容
- 高麗人参・紅参の製剤(研究により数百mg〜数g、数週間〜数か月)
- 根拠にした論文
- コクラン・レビュー 1本・メタ分析 3本・系統的レビュー 1本
注意点
- 研究の新しさ:コクラン・レビュー(国際的な非営利団体コクランが決まった手順で作るまとめ)[1]は2009年までの文献を調べたもので、古くなっています。
- 健康な人:健康な人のサプリメントの系統的レビュー(関係する研究をもれなく集めて評価した研究)[5]でも、人参を含む成分の研究は一貫せず不正確で、方法に問題が多いとされました。
- 認知症の試験:認知症の解析は中国語・韓国語のデータベースの試験を含み、小規模な試験が中心です。アルツハイマー病の4試験の解析(Wang 2016)は、すべて標準治療に人参を加えた群と標準治療だけの群を比べたものでした。
- 飲む期間:一度だけ飲んで一時的な変化を見た試験と、長く飲み続けた試験が混ざっています。
根拠にした論文
- 1.
コクラン・レビュー・Geng(2010年)・Cochrane Database of Systematic Reviews・9研究
コクランレビュー(2009年2月まで検索)。RCT 9件(健康な人8件、加齢に伴う記憶障害1件)が該当し、データを使えたのは健康な人の5件で統合はできなかった。一部の認知機能や生活の質の改善はあったが、健康な人での認知機能向上に説得力のある根拠はなく、認知症では質の高い根拠がないと結論。
Ginseng for cognition. doi:10.1002/14651858.cd007769.pub2
- 2.
メタ分析・Zeng(2024年)・Phytotherapy Research・15研究・671人
RCT 15件(671人、健康な人と認知機能障害・統合失調症・入院患者・アルツハイマー病の患者)の統合。記憶はわずかに改善(効果量0.19)し、高用量でやや大きかった(0.33)が、全般的な認知機能(0.06)、注意(0.06)、実行機能(−0.03)には有意な効果がなかった。
Effects of Ginseng on Cognitive Function: A Systematic Review and Meta-Analysis. doi:10.1002/ptr.8359
- 3.
メタ分析・Chen(2026年)・Current Neuropharmacology・9研究・617人
軽度認知障害・アルツハイマー病・認知症の高齢者617人を含む9研究の統合。MMSEが0.38点上昇し、ADAS-Cogが2.21点低下(改善)したが、臨床的に意味のある水準には届かなかった。研究が少なく、ばらつきも中程度。
Ginseng for Cognitive Function in Elderly Adults with Mild Cognitive Impairment, Alzheimer's Disease, or Dementia: A Systematic Review and Meta-Analysis. doi:10.2174/011570159x415818251222083130
- 4.
メタ分析・Kim(2025年)・Complementary Medicine Research・8研究
主観的な物忘れ・軽度認知障害・アルツハイマー病の人を対象にしたRCT 8件の統合(韓国のデータベースを含む)。MMSEが0.68点上昇(ばらつき大)、ADAS-Cogが1.10点低下(改善)した。
Cognitive Benefits of Ginseng: A Systematic Review and Meta-Analysis of Changes in Mini-Mental State Examination and Alzheimer's Disease Assessment Scale-Cognitive Subscale Scores. doi:10.1159/000547543
- 5.
系統的レビュー・Crawford(2021年)・The Journal of Alternative and Complementary Medicine
健康な成人の認知機能向上をうたう9成分(人参を含む、69報)の系統的レビュー。根拠の確実性は低く、研究結果は一貫せず不正確で、方法に問題のある研究も多いため、推奨はできないとした。人参だけの研究数は抄録に記載なし。
Dietary Supplement Ingredients for Optimizing Cognitive Performance Among Healthy Adults: A Systematic Review. doi:10.1089/acm.2021.0135
このページについて
サプリの広告や販売リンクは載せていません。専門家の監修は受けていません。格付けは格付けの決め方に沿って、論文の結果から決めています。最終更新日は2026-10-04です。誤りに気づいたら誤りを知らせるから送ってください。
このページの言葉
- プラセボ
- 見た目は同じで、調べている成分を含まないもの。「飲んだ」という思い込みや、自然に良くなる分を差し引くために、比べる相手として使います。
- ランダム化比較試験(RCT)
- 参加者を、くじ引きのような偶然でグループに分けて、たとえば成分を飲むグループとプラセボを飲むグループの結果を比べる試験。分け方の偏りが結果に混ざりにくい方法です。
- メタ分析・統合
- 同じテーマの試験の結果を集めて、まとめて計算し直した研究。1つの試験より、偶然に左右されにくくなります。
- 系統的レビュー
- 決めた手順で、関係する研究をもれなく集めて評価した研究。メタ分析を含むことが多いです。
- コクラン・レビュー
- 国際的な非営利の団体コクランが、決まった手順で作る系統的レビュー。利害関係のある企業からの資金は受けない決まりで作られます。
- 効果量
- 測り方の違う試験どうしでも比べられるように、差の大きさをそろえた数字(このサイトでは主に、平均の差を標準化したもの)。マイナスの符号は減った向きを表し、符号を除いた大きさが 0.2 前後で「小さい」、0.5 前後で「中くらい」、0.8 以上で「大きい」が目安です。
- 確実性
- 結果がどのくらい確かかについて、解析した研究者が付けた評価(高・中・低・非常に低)。低いほど、今後の研究で結果が変わる可能性が高いことを表します。
- 有意差
- 偶然だけでは説明しにくい差があること。差が大きいという意味ではありません。
- 95%信頼区間(95%CI)
- 結果の数字のぶれの幅。本当の値がおそらく入っている範囲の目安です。差の範囲が 0(比の場合は 1)をまたぐときは、差がない可能性を否定できません。
- 臨床的に意味のある差
- 本人が「良くなった」と感じられる、最小の差の目安。統計で差があっても、この目安より小さければ実感は難しいとされます。
- eJIM
- 厚生労働省の「『統合医療』に係る情報発信等推進事業」のサイト。サプリなどについて、海外の公的機関の情報を翻訳して載せています。
運動の効果も同じ基準で格付けしています
運動は19項目中4項目がSでした
- サプリ119項目
- ABCD
- 3%
- 運動19項目
- SAB
- 21%
S(根拠が強い)は、サプリが119項目中4項目、運動が19項目中4項目でした。運動のSは筋力・筋量(筋トレ)、血圧、血糖値、転倒の予防です。サプリと運動では調べた効果や対象者が違うため、同じ目的で直接比べた結果ではありません。
運動のTier表を見る