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えびらぼ

ビタミンB群に効果はある?

ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12、Bコンプレックス)論文12本で格付け2026-10-04 更新

結論

疲れが取れるかはまだはっきりせず、認知症でない高齢者の認知機能の衰えもほとんど防げません。

  • 疲れが少し減った試験は、ほかのビタミンやミネラルも入った製品が中心
  • B6を長い間たくさんとると、手足の神経の重い障害が起きることがある

効くと言われていること

論文では

S〜D の決め方は格付けの決め方

飲む前に:公的機関の注意があります

代わりにできること

運動を続けると、疲れた感じが少し減るという結果も

運動の格付け:B(根拠は限定的)

対象:病気のない成人(座りがちな人・日常的に疲れを感じる人・高齢者)

運動を数週間以上続けると、運動しない人などより疲れた感じが少し減ったという結果があります。ただ、病気のない人だけの結果はまだはっきりしません。

疲れのサプリと運動の格付けを見る

飲む前に知っておくこと

複数の製品を一緒に使う人は、ビタミンB6の合計の量に気をつけてください。B6(ピリドキシン)をサプリで長い間大量にとると、手足の感覚が鈍くなり、体の動きを思うように調節できなくなる重い神経の障害が起こることがあります。欧州食品安全機関(EFSA)は2023年に、大人の上限量を1日12mgとしました。厚生労働省の情報サイト(eJIM)が、米国の公的機関(ODS)の情報を訳して、こうした注意を載せています(出典: ejim.mhlw.go.jp)。

よくある質問

やめてもいい?

疲労感、認知機能(高齢者)を目的に飲んでいる場合は、続けることを支持するはっきりした結果はありません(格付けはB・D)。

ただし、医師に勧められて飲んでいる人、薬を飲んでいる人、検査で不足を指摘された人は、自分の判断でやめずに、医師か薬剤師に相談してください。続ける場合は、このページの「飲む前に知っておくこと」(公的機関の注意情報)を先に読んでください。

飲んで効いた気がするのはなぜ?

成分を含まないもの(プラセボ)を飲んだ人でも、体調が良くなったと感じることはよくあります。飲んでいるという安心感や期待で、感じ方が変わるためです。体調にはもともと波があるので、つらい時期に飲み始めると、自然に戻った分まで効いたように感じることもあります。えびらぼでは、こうした分を差し引けるように、成分を含まないものと比べた試験の結果を重視して格付けしています。

形や量が違えば効く?

格付けは、試験で使われた形と量での結果です。

  • 疲労感:ビタミンB群を多く含むマルチビタミン・ミネラル、またはB1単独を数日〜数週間
  • 認知機能(高齢者):葉酸・ビタミンB12・B6(単独または組み合わせ)を数か月〜数年

これと違う形や量で効くかどうかは、その形や量で試した試験が無いと分かりません。吸収が良いことと、体に効果が出ることは別で、試験で確かめる必要があります。

効いたという論文もあるのでは?

1件の試験では、偶然や試験のやり方の偏りで、良い結果が出ることがあります。このページでは12件の論文を読み、そのうち8件は複数の試験をまとめた研究です。格付けは、試験どうしで結果が一致するかと、試験の質で決めています(格付けの決め方)。効いたという試験があっても、ほかの試験と合わせると、はっきりした差が出ないことがあります。

効果ごとの論文の中身

B

疲れがとれる?

Bランク・根拠は限定的対象:健康な成人(一部は栄養状態がやや低い人)

ビタミンB群を多く含むサプリで、疲れた感じや活力が少し改善したという結果はありますが、まだはっきりしません。調べられたのは主にほかのビタミンやミネラルも入った製品で、ビタミンB群だけの試験はわずかです。

くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本・ほかの成分と運動

効果の大きさ

マルチビタミン・ミネラルの8試験をまとめると、プラセボ(成分の入っていないもの)と比べた疲労感の改善は、効果量(差の大きさをそろえた数字)0.27の「小さい」程度でした。疲労感について、ビタミンB群だけの効果を試験をまとめて調べた研究(メタ分析)はありません。

試験の内容
ビタミンB群を多く含むマルチビタミン・ミネラル、またはB1単独を数日〜数週間
根拠にした論文
メタ分析 2本・ランダム化比較試験 3本・系統的レビュー 1本

注意点

  • B1が不足ぎみの人:B1が不足ぎみの集団から選んだ高齢女性80人の試験[5]では、B1を1日10mg、6週間飲むと、プラセボより疲労感が減りました。不足していない人に当てはまるかは分かりません。
  • 資金:最大規模の試験(215人)は、サプリ企業の資金で行われました[2]。
  • 解析の方法:系統的レビュー(関係する研究をもれなく集めて評価した研究)[3]は、有意でない結果もあったと指摘しています。多くの項目を調べると偶然の差が出やすくなりますが、その分の補正(多重比較の補正)も、あまり行われていなかったとしています。
  • 医薬品:日本ではビタミンB1誘導体などを含む医薬品もありますが、ここではサプリとしての研究を扱っています。

格付けの理由

健康な人を対象にしたRCT(くじ引きでグループを分けて比べた試験)をまとめた解析[1]で、疲労感が小さく改善しました。ただし、ビタミンB群以外も含む配合品の試験なので、B群単独の効果は分かりません。B12をまとめた解析[4]では、疲労を調べた試験が1件しかなく、解析できませんでした。小規模な配合品の試験が中心のため、B(根拠は限定的)としました。

根拠にした論文

  1. 1.

    メタ分析・Long(2013年)・Psychosomatic Medicine・8研究

    健康な人を対象にしたマルチビタミン・ミネラル(28日以上)のランダム化プラセボ対照試験8件のメタ分析。ストレス(効果量0.35)、不安(0.32)、疲労感(0.27、95%CI 0.15〜0.40)が改善し、抑うつは有意差なし。B群を高用量含む製品の方が有効かもしれないとしている。

    Effects of Vitamin and Mineral Supplementation on Stress, Mild Psychiatric Symptoms, and Mood in Nonclinical Samples: A Meta-Analysis doi:10.1097/psy.0b013e31827d5fbd

  2. 2.

    ランダム化比較試験・Kennedy(2010年)・Psychopharmacology・215人

    30〜55歳の働く男性215人のランダム化プラセボ対照試験。高用量ビタミンB群+C+ミネラルを33日間飲むと、ストレス・心の健康・活力の評価が改善し、負荷の高い認知課題の前後で『頭の疲れ』の自己評価が低かった。

    Effects of high-dose B vitamin complex with vitamin C and minerals on subjective mood and performance in healthy males doi:10.1007/s00213-010-1870-3

  3. 3.

    系統的レビュー・Óvári(2021年)・Nutrición Hospitalaria・7研究

    高用量ビタミンB群配合のマルチビタミン・ミネラルの二重盲検RCT 7件の系統的レビュー。健康な人ではストレス、体力、集中力、活力の自己評価が改善する傾向だったが、有意でない結果も多く、多重比較の補正はほとんどされていなかった。

    Potential mental and physical benefits of supplementation with a high-dose, B-complex multivitamin/mineral supplement: What is the evidence? doi:10.20960/nh.03631

  4. 4.

    メタ分析・Markun(2021年)・Nutrients・16研究・6,276人

    明らかなB12不足のない人を対象にしたB12単独またはB群のRCT 16件(6,276人)。原因不明の疲労を調べた試験は1件だけで解析できなかった。認知機能・抑うつにも有意な効果はなかった。

    Effects of Vitamin B12 Supplementation on Cognitive Function, Depressive Symptoms, and Fatigue: A Systematic Review, Meta-Analysis, and Meta-Regression doi:10.3390/nu13030923

  5. 5.

    ランダム化比較試験・Smidt(1991年)・Journal of Gerontology・80人

    ビタミンB1がやや不足ぎみの集団から選んだ健康な高齢女性80人の二重盲検RCT。B1 10mg/日を6週間飲むと、プラセボと比べ食欲・体重・全般的な幸福感が増し、疲労感が減った。

    Influence of Thiamin Supplementation on the Health and General Well-being of an Elderly Irish Population with Marginal Thiamin Deficiency doi:10.1093/geronj/46.1.m16

  6. 6.

    ランダム化比較試験・Suzuki(1996年)・Metabolic Brain Disease・16人

    男性運動選手16人のプラセボ対照試験。運動前3日間B1 100mg/日を飲むと、血中B1が正常な群で運動直後の自覚的な疲労の訴えの数が減った。

    Effects of thiamine supplementation on exercise-induced fatigue doi:10.1007/bf02080935

D

認知機能(高齢者)に効く?

Dランク・効かないという根拠対象:認知症でない高齢者(主に60〜70代、一部は軽度認知障害)

認知症でない高齢者が飲んでも、認知機能の衰える速さは、ビタミンB群の入っていないものを飲んだ人とほとんど変わらないことが示されています。差があっても、ごくわずかです。

注意点

  • 軽度認知障害の人:血中ホモシステインが高い70歳超の軽度認知障害の人が高用量の葉酸・B12・B6を24か月飲むと、脳の萎縮の進行が遅くなったという試験があります[6]。ただし、認知機能そのものの改善は確認されていません。
  • 国による違い:穀物への葉酸添加が義務でない国(日本を含む)の試験では、葉酸を中心にしたビタミンB群の補給で、小さな改善がみられたとする解析もあります[5]。
  • 不足している人:B12などが明らかに不足している人の治療は、これとは別の話です。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本・ほかの成分と運動

効果の大きさ

11試験をまとめると、認知機能の差はほぼゼロでした。認知の老化を治療1年あたり1か月を超えて遅らせるほどの効果は否定されました。最新のまとめ[3]では、結果が極端に外れた試験と、参加者と研究者の片方にしか中身を伏せていない試験(単盲検)を除くと、効果量(差の大きさをそろえた数字)0.11の「ごくわずか」な差でした。

試験の内容
葉酸・ビタミンB12・B6(単独または組み合わせ)を数か月〜数年
確実性(中心にした解析の著者による評価)
中程度
根拠にした論文
メタ分析 4本・コクラン・レビュー 1本・ランダム化比較試験 1本

格付けの理由

大規模試験・約2万2000人をまとめた解析[1]では、認知機能に有意差(偶然では説明しにくい差)はありませんでした。認知的な老化を治療1年あたり1か月を超えて遅らせる効果も否定されました。認知機能が正常な人を対象にしたコクラン・レビュー(国際的な非営利団体コクランが決まった手順で作るまとめ)[2]も、5年までの全般的な認知機能に『おそらくほとんど効果なし』(確実性は中程度)としています。外れ値と単盲検の試験を除いた最新の解析[3]では、改善はごくわずか(効果量0.11)で実感できる大きさに届かないため、D(効かないという根拠)としました。

根拠にした論文

  1. 1.

    メタ分析・Clarke(2014年)・The American Journal of Clinical Nutrition・11研究・21,771人

    11の大規模試験(認知領域の試験1,340人、全般認知の試験20,431人)の統合。B群でホモシステインは26〜28%下がったが、認知機能に有意差はなく(差0.00、-0.01)、治療1年あたり1か月を超えて認知的な老化を遅らせる効果は否定された。

    Effects of homocysteine lowering with B vitamins on cognitive aging: meta-analysis of 11 trials with cognitive data on 22,000 individuals doi:10.3945/ajcn.113.076349

  2. 2.

    コクラン・レビュー・Rutjes(2018年)・Cochrane Database of Systematic Reviews・14研究・27,882人

    コクランレビューのB群の比較(14試験・認知機能が正常な主に60〜70代の27,882人)。葉酸・B12・B6は5年までのどの時点でも全般的な認知機能におそらくほとんど効果なし(効果量-0.03〜0.06)、5〜10年でも効果がない可能性。確実性は主に中程度〜低。

    Vitamin and mineral supplementation for maintaining cognitive function in cognitively healthy people in mid and late life doi:10.1002/14651858.cd011906.pub2

  3. 3.

    メタ分析・Berg(2025年)・Nutrition Reviews・17研究・5,275人

    60歳以上・26週以上のRCT 17件(5,275人)。全体では効果量0.42だがばらつきが非常に大きく確実性は非常に低い。外れ値と単盲検の試験を除くと効果量0.11(95%CI 0.03〜0.19、確実性は高い)のごくわずかな改善で、認知機能の状態による違いはなかった。

    Efficacy of B Vitamin Supplementation on Global Cognitive Function in Older Adults: A Systematic Review and Meta-analysis doi:10.1093/nutrit/nuaf155

  4. 4.

    メタ分析・Ford(2019年)・Drugs & Aging・31研究・17,029人

    プラセボ対照試験31件(認知障害あり1,925人・なし15,104人)。B群で認知機能検査(MMSE)の点数は、認知障害のある人(平均差0.16)でもない人(0.04)でも改善しなかった。ホモシステインが高い人で小さな改善を示した試験が2件あったが、臨床的意義は不明。

    Effect of Vitamin B Supplementation on Cognitive Function in the Elderly: A Systematic Review and Meta-Analysis doi:10.1007/s40266-019-00649-w

  5. 5.

    メタ分析・Zhang(2024年)・Nutrients・23研究

    60歳以上のRCTの論文23本のメタ分析。葉酸を中心としたB群で認知機能が全体に小さく改善(効果量0.18)。穀物への葉酸添加が義務でない国では0.27の改善、義務の国では有意差なし(0.03)。

    A Comparative Study Evaluating the Effectiveness of Folate-Based B Vitamin Intervention on Cognitive Function of Older Adults under Mandatory Folic Acid Fortification Policy: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials doi:10.3390/nu16142199

  6. 6.

    ランダム化比較試験・Smith(2010年)・PLoS ONE・271人

    70歳超の軽度認知障害の271人の二重盲検RCT。葉酸0.8mg・B12 0.5mg・B6 20mgを24か月飲むと、MRIでの脳萎縮の速さが年1.08%→0.76%に遅くなり(MRI完了168人)、ホモシステインが13µmol/L超の人では53%遅かった。

    Homocysteine-Lowering by B Vitamins Slows the Rate of Accelerated Brain Atrophy in Mild Cognitive Impairment: A Randomized Controlled Trial doi:10.1371/journal.pone.0012244

このページについて

サプリの広告や販売リンクは載せていません。専門家の監修は受けていません。格付けは格付けの決め方に沿って、論文の結果から決めています。最終更新日は2026-10-04です。誤りに気づいたら誤りを知らせるから送ってください。

このページの言葉
プラセボ
見た目は同じで、調べている成分を含まないもの。「飲んだ」という思い込みや、自然に良くなる分を差し引くために、比べる相手として使います。
ランダム化比較試験(RCT)
参加者を、くじ引きのような偶然でグループに分けて、たとえば成分を飲むグループとプラセボを飲むグループの結果を比べる試験。分け方の偏りが結果に混ざりにくい方法です。
メタ分析・統合
同じテーマの試験の結果を集めて、まとめて計算し直した研究。1つの試験より、偶然に左右されにくくなります。
系統的レビュー
決めた手順で、関係する研究をもれなく集めて評価した研究。メタ分析を含むことが多いです。
コクラン・レビュー
国際的な非営利の団体コクランが、決まった手順で作る系統的レビュー。利害関係のある企業からの資金は受けない決まりで作られます。
効果量
測り方の違う試験どうしでも比べられるように、差の大きさをそろえた数字(このサイトでは主に、平均の差を標準化したもの)。マイナスの符号は減った向きを表し、符号を除いた大きさが 0.2 前後で「小さい」、0.5 前後で「中くらい」、0.8 以上で「大きい」が目安です。
確実性
結果がどのくらい確かかについて、解析した研究者が付けた評価(高・中・低・非常に低)。低いほど、今後の研究で結果が変わる可能性が高いことを表します。
有意差
偶然だけでは説明しにくい差があること。差が大きいという意味ではありません。
95%信頼区間(95%CI)
結果の数字のぶれの幅。本当の値がおそらく入っている範囲の目安です。差の範囲が 0(比の場合は 1)をまたぐときは、差がない可能性を否定できません。
eJIM
厚生労働省の「『統合医療』に係る情報発信等推進事業」のサイト。サプリなどについて、海外の公的機関の情報を翻訳して載せています。

運動の効果も同じ基準で格付けしています

運動は19項目中4項目がSでした

掲載した項目の内訳Sの割合
サプリ119項目
3%
運動19項目
21%

S(根拠が強い)は、サプリが119項目中4項目、運動が19項目中4項目でした。運動のSは筋力・筋量(筋トレ)、血圧、血糖値、転倒の予防です。サプリと運動では調べた効果や対象者が違うため、同じ目的で直接比べた結果ではありません。

運動のTier表を見る

ほかの成分の格付け(Tier表)