ウォーキングで血糖値(HbA1c)は下がる?
ウォーキングだけを調べた論文6件から・2026-10-12 更新
結論
2型糖尿病の人がウォーキングをすると、運動しない人よりHbA1cが約0.5ポイント下がることが示されています。指導を受けながら歩いた試験で下がり、指導なしの試験全体では、はっきりした差は出ませんでした。
- 2型糖尿病の人の、HbA1cは下がる? … A(根拠あり)
記号は、研究の質・結果の一致・効果の大きさなどから評価したもので、運動どうしの効き目の順位ではありません。運動全体(種類を問わない研究)では、「血糖値」はS(根拠が強い)です。運動全体の格付けを見る
2型糖尿病の人の、HbA1cは下がる?
Aランク・根拠あり対象:2型糖尿病の成人(体重が多めの人が中心)
2型糖尿病の人がウォーキングをすると、運動しない人よりHbA1cが約0.5ポイント下がることが示されています。指導を受けながら歩いた試験で下がり、指導なしの試験全体では、はっきりした差は出ませんでした。
くわしく効果の大きさ・注意点・論文6本
- 根拠にした論文
- メタ分析 6本
注意点
- 指導の有無:解析[1]では、指導つきの試験で0.58ポイント下がり、指導なしの試験でははっきりした差は出ませんでした。指導なしでも、歩数計や仲間の支えを使った試験に限ると0.53ポイント下がりました。
- 歩数計を使う取り組み:歩数計や活動量計を使った介入で0.22ポイント下がった解析[5]と、歩数計の介入ではっきりした差が出なかった解析[6]があります。
- 試験のやり方:解析[1]の試験は8〜36週、1回20〜120分、週3〜7回でした。
- 試験の質:解析[1]は試験の間のばらつきが大きく、解析[3]のHbA1cは、血糖を下げる飲み薬と併用した3件・77人の結果です。
- ノルディックウォーキング:ポールを使う解析[4]では、糖尿病の人で0.49ポイント下がりました。
根拠にした論文
- 1.
メタ分析・Qiu(2014年)・PLoS ONE・20研究・866人
2型糖尿病の人のRCT20件(866人)。ウォーキングだけを8週以上行うと、運動しない対照よりHbA1cが0.50ポイント下がった(16件)。指導つき(9件)は0.58ポイント低下、指導なし(7件)は有意差なし、指導なしでも歩数計などの工夫あり(5件)は0.53ポイント低下。
Impact of walking on glycemic control and other cardiovascular risk factors in type 2 diabetes: a meta-analysis doi:10.1371/journal.pone.0109767
- 2.
メタ分析・Yuan(2026年)・Experimental Gerontology・5研究・483人
2型糖尿病の人のRCT5件(483人)。ウォーキングを主にした8週以上の介入で、HbA1cが0.48ポイント下がった。食事や行動の指導を組み合わせた試験(0.58ポイント)や、歩数の目標がはっきりした試験(0.52ポイント)で下がり幅が大きかった。
Effect of walking training on blood glucose control and metabolic health in patients with type 2 diabetes: A systematic review and meta-analysis doi:10.1016/j.exger.2026.113239
- 3.
メタ分析・2023年・Journal of the ASEAN Federation of Endocrine Societies・3研究・77人
飲み薬で治療中の2型糖尿病の人の解析。運動しない対照と比べ、ウォーキングでHbA1cが0.35ポイント(3件・77人)、空腹時血糖が12.37mg/dL(7件・363人)下がった。
Effect of Yoga and Walking on Glycemic Control for the Management of Type 2 Diabetes: A Systematic Review and Meta-Analysis doi:10.15605/jafes.038.02.20
- 4.
メタ分析・Chen(2026年)・Journal of Diabetes Research・6研究・321人
糖尿病・その予備群の人のRCT6件(321人)。ポールを使うノルディックウォーキングで、HbA1cが全体で0.37ポイント、糖尿病の人(4件・85人)で0.49ポイント下がった。空腹時血糖にははっきりした差が出なかった。
Effect of Nordic Walking on Anthropometrics, Glycemia, and Lipid Profile in Adults With Prediabetes or Diabetes: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials doi:10.1155/jdr/5886930
- 5.
メタ分析・de Oliveira(2024年)・Nutrition, Metabolism and Cardiovascular Diseases・24研究・1,969人
2型糖尿病の人のRCT24件(1969人)。歩数計や活動量計で運動を促す取り組みで、HbA1cが0.22ポイント下がった。歩数計で1日の歩数は2131歩増えた。
Pedometer- and accelerometer- based physical activity interventions in Type 2 diabetes: A systematic review and meta-analysis doi:10.1016/j.numecd.2023.11.017
- 6.
メタ分析・Qiu(2014年)・BMC Medicine・11研究
2型糖尿病の人のRCT11件。歩数計を使うと1日の歩数は1822歩増えたが、HbA1cにははっきりした差が出なかった(10件・1423人、+0.02ポイント)。
Step counter use in type 2 diabetes: a meta-analysis of randomized controlled trials doi:10.1186/1741-7015-12-36
始める前に
糖尿病の人、薬を飲んでいる人、健診で血糖値が高いと言われた人は、運動を始める前に医師に相談してください。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、2型糖尿病の人は低血糖の有無と合併症の有無を事前に確かめるよう書いています。増殖性網膜症がある場合や、血糖の管理が極端に悪い場合(たとえば空腹時血糖が250mg/dL以上)、高度の糖尿病性神経障害や壊疽がある場合は、運動は禁忌としています。合併症や血糖の状況がわからない人は、かかりつけの医師に確かめてから始めるよう勧めています(出典: mhlw.go.jp)。
運動の始め方
持病や、運動で悪くなるおそれのある痛みがある人は、始める前に医師などに相談し、軽い運動から少しずつ増やしてください。インスリンなどで治療中の人は低血糖に、血液をサラサラにする薬を使う人は転倒や打撲に気をつけてください。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」の注意です(出典: mhlw.go.jp)。
運動の試験で報告された有害事象
転倒予防の試験(Sherrington 2019)では、不調の多くは筋肉痛などの軽いものでした。一方で、筋肉や関節の不調は、結腸がん治療後の患者の試験(Courneya 2025)で運動をした人の18.5%、比べた相手の11.5%に起き、腰痛へのヨガの研究(Wieland 2022)でも、ヨガをした人で増えていました。
自分で始める
お金をかけずに始めるなら、歩くことと、自宅での筋トレ・バランス運動が研究されています。歩数計を使った取り組みでは、増えた歩数が1〜2年で小さくなりました。ウォーキングの研究の多くは指導つきで、一人で同じ効果が出るとは限りません。
研究で分かっていること
- ふだんの歩数を測り、その後の死亡を追った15の研究をまとめると、1日の歩数が多い人ほど死亡のリスクが低くなっていました。60歳以上では1日6000〜8000歩、60歳未満では8000〜1万歩あたりから先は、歩数が増えても死亡のリスクはほとんど下がりませんでした。歩数と死亡の関係をみた研究で、歩いたことで死亡が減ったかどうかは確かめられていません。[1]
- 試験をまとめた研究では、高齢者が自宅で行う筋トレ・運動でも、筋力やバランスが少し改善しました。1回の時間で分けると、効果がみられたのは1回30分以下の区分だけでしたが、時間の区分どうしには、はっきりした差は出ませんでした。指導つきの方が効果はやや大きいという研究もあります。[1][2][3]
- 歩数計を使って歩数を増やす取り組みの試験をまとめると、始めてから4か月以内の時点で、1日の歩数が平均約1100歩増えました。この差は1年後には約460歩に小さくなり、2年後にははっきりした差がなく、3〜4年後には約430歩の差がありました。スマホアプリや活動量計は、単純な歩数計より効果が小さいという結果でした。[1]
- ウォーキングだけの試験をまとめた研究でも、上の血圧が平均約4mmHg下がっています。ただ、その試験の多くは指導つきでした。[1]
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