転倒は運動で防げる? ビタミンDとどちらが確か?
転倒・骨折のサプリと運動の格付け・2026-10-12 更新
結論
転倒を防ぐなら、ビタミンDより運動です。
- 自宅などで暮らす60歳以上の人は、バランスや動作の運動で転倒が減る(S)
- 一般の中高年・高齢者がビタミンDを飲んでも、転倒や骨折はほとんど減らない(D)
- カルシウムでも、骨折の減り方は意味のある差の目安に届かない(D)
運動とサプリの格付け
論文では転倒(地域で暮らす高齢者)
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- S運動(バランス運動を含む)根拠が強い・転倒の予防対象:地域で暮らす60歳以上の人108件の試験をまとめたコクラン・レビュー(国際的な非営利団体コクランが決まった手順で作るまとめ)で、対照と比べて転倒の回数が23%、1回以上転倒する人が15%減った(確実性は高い)。バランス運動と筋トレなどを組み合わせると、転倒の回数は34%減った(確実性は中)
- DビタミンD(転倒)効かないという根拠・骨折・転倒の予防(一般の高齢者)対象:地域で暮らす一般の中高年・高齢者(ビタミンD不足で選ばれていない人)ビタミンDだけを飲んでも、転倒にはっきりした差は出なかった(81件の試験をまとめた解析と、2回以上転倒した人の割合を調べた2万人規模の試験。ビタミンD不足で選んでいない人)
転倒(血中ビタミンDが低い施設入所者)
骨折(地域で暮らす人が中心の中高年・高齢者)
- ビタミンD(骨折)対象:地域で暮らす一般の中高年・高齢者(ビタミンD不足で選ばれていない人)効かないという根拠
- カルシウム対象:50歳以上の成人(大半は地域で暮らす人、閉経後の女性を含む)効かないという根拠
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- DビタミンD(骨折)効かないという根拠・骨折・転倒の予防(一般の高齢者)対象:地域で暮らす一般の中高年・高齢者(ビタミンD不足で選ばれていない人)ビタミンDだけでは、骨折のリスクはプラセボ(成分の入っていないもの)などとほぼ同じ(相対リスク1.00、36試験・92,045人、確実性は高い)
- Dカルシウム効かないという根拠・骨折の予防対象:50歳以上の成人(大半は地域で暮らす人、閉経後の女性を含む)カルシウムだけで全骨折のリスク比0.91(95%信頼区間(結果のぶれの幅)0.81〜1.01、確実性は中)。ビタミンDと一緒に飲んでも骨折は100人あたり約1人減る程度で(解析全体の追跡期間の中央値は約2年)、意味のある差の目安に届かない
格付けは根拠の強さで、効果の大きさの順ではありません。行ごとに対象者と比べた相手(成分を含まないもの・運動しない人・飲む前の自分など)が違うので、数字の大小は比べられません。
運動でどれくらい変わる?
S
高齢者の転倒は、運動で約2割減ります
運動の格付け:S(根拠が強い)
地域で暮らす高齢者が運動をすると、転倒が約2割減ることが確かめられています。効果が確かなのはバランスや動作の運動を含むプログラムで、筋トレだけやウォーキングだけでは、効果がはっきりしていません。
始め方
持病がある人や薬を飲んでいる人は、始める前に医師に相談してください。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、高齢者に、筋力・バランス・柔軟性などを組み合わせた運動を週3日以上行うことを勧めています。強度や量は体の状態に合わせて調整し、できるものから始めるよう書いています。体の機能が落ちている人には、転倒に注意するよう求めています。睡眠薬や血圧・血糖の薬などが転倒の原因になることもあるとしています(出典: mhlw.go.jp)。
自分で始める
- 研究で調べられていたのは、バランスや動作の運動、筋トレ、太極拳、ダンス、ウォーキングなどと、その組み合わせです。転倒の回数がはっきり減ったのは、バランス・動作の運動(確実性は高い)と、それに筋トレなどを組み合わせたプログラム(確実性は中)でした(Sherrington 2019)。
- 医療専門職(主に理学療法士)が指導した試験で、効果が大きくなっていました。転倒の危険が高い人に限った試験か、75歳以上か、集団か個別かでは、効果に有意な違いはありませんでした(Sherrington 2020)。
- 1年以上運動を続けた試験をまとめた解析では、転倒とけがを伴う転倒が減りました。骨折は減る傾向でしたが、はっきりした差ではありませんでした(de Souto Barreto 2019)。
この比べ方で言えること・言えないこと
言えること
- 地域で暮らす60歳以上の人では、運動で転倒の回数も、転倒する人の割合も減ることが確かめられています(S)。効果が確かめられたのは、バランスや動作の運動を含むプログラムです。
- 一般の中高年・高齢者がビタミンDを飲んでも、転倒や骨折はほとんど減りません(D)。カルシウムも、骨折の減り方が意味のある差の目安に届きません(D)。
- 施設に入所していて血中ビタミンDが低い人では、カルシウムなどと一緒に飲んだ試験を含めて、転倒の回数が約4割減ったという結果があります(B)。転倒した人の割合はほとんど変わらず、不足の程度で効果は変わらないとする大規模な解析もあるため、まだはっきりしません。骨折が減ったという結果は、主に施設入所者がカルシウムと一緒に飲んだ試験によるものとみられます。
言えないこと
- 格付けの比べ方:格付けは根拠の強さを表すもので、効果の大きさを比べるものではありません。サプリと運動を直接比べた試験もありません。
- 運動の種類:筋トレだけ、ダンス、ウォーキングだけのプログラムでは、転倒が減るかははっきりしません。指導者なしで自宅で行う筋トレの試験では、転倒は有意には減りませんでした。
- 骨折:運動のSは転倒についての格付けです。運動で骨折が減るという結果は確実性が低く、骨折については格付けしていません。
- ジムやサービス:格付けしたのは運動そのものの効果で、特定のジムやサービスの効果ではありません。
ビタミンD・カルシウムと運動の、転倒と骨折への効果を、試験をまとめた論文などで格付けした結果を並べました。転倒と骨折、地域で暮らす人と施設に入所している人では結果が違うので、表を分けています。誤りを知らせる